疾患・作用機序まとめ 新薬承認・薬価収載

2023年に承認された新薬一覧のまとめとアクセス数ランキング

本記事では2023年(2023年1月1日~12月31日)に承認された新薬の

  • アクセス数ランキング
  • 一覧(新有効成分含有、新配合薬のみ)

をご紹介します。

再生医療等製品を含む。

 

ちなみに、適応拡大等も含めた全ての承認情報についてはPMDAのHPに載っているので、そちらもご参考にしてみてください。今回の記事では適応拡大については割愛していますので。

PMDA|新医薬品の承認品目一覧令和5年度承認品目一覧(新医薬品)

 

※2025年以降の薬剤師国家試験のヤマ・新薬対策にもお役立て頂けると思います。

薬剤師国家試験対策:ランキングから考える新薬のヤマ!

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新薬のアクセス数ランキング:2023年1月1日~12月31日

2023年1月1日から12月31日のアクセス数ランキングです(2023年内に承認された新有効成分含有もしくは新配合薬のみ)。

記事の公開時期(承認時期)によって、公開期間が異なりますので、アクセス数はご参考程度に留めていただければと思います^^;

 

ランキング アクセス数 医薬品名
(一般名)
承認年月 効能・効果(略) 作用機序
1位 18,900 ウゴービ
(セマグルチド)
2023年3月
肥満症 GLP-1受容体作動薬
2位 17,000 レケンビ
(レカネマブ)
2023年9月 アルツハイマー型認知症 抗アミロイドβ抗体薬
3位 16,200 アポハイド
(オキシブチニン)
2023年3月 手掌多汗症 抗コリン薬
4位 14,600 オンボー
(ミリキズマブ)
2023年3月 潰瘍性大腸炎 抗IL-23抗体薬
5位 9,000 レクビオ
(インクリシラン)
2023年9月 高コレステロール血症 PCSK9に対する
siRNA治療薬
6位 7,800 リットフーロ
(リトレシチニブ)
2023年6月 円形脱毛症 JAK3/TEC阻害薬
7位 6,700 フォゼベル
(テナパノル)
2023年9月 高リン血症 NHE3阻害薬
8位 6,200 コレチメント
(ブデソニド)
2023年6月 潰瘍性大腸炎 経口ステロイド薬
9位 5,300 フェスゴ
(ペルツズマブ/トラスツズマブ)
2023年9月 乳がん/大腸がん 抗HER2/HER3抗体薬
10位 5,100 ベスレミ
(ロペグインターフェロン)
2023年3月 真性多血症 PEG化IFN製剤

 

木元 貴祥
2023年は色々な疾患に対する新薬が登場しました。

 

特に注目されたのは、GLP-1受容体作動薬では初となる肥満症治療薬のウゴービ皮下注(セマグルチド)です。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

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その他、アルツハイマー型認知症に対して新規作用機序を有するレケンビ(レカネマブ)も非常に注目されています。特に薬価がどうなるのか、注目されていましたね。

レケンビ(レカネマブ)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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では、2023年に承認された順に薬剤一覧を紹介していきます☆

 

2023年3月27日承認:新薬11製品

●ドプテレット錠20mg(一般名:アバトロンボパグマレイン酸塩)
:「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

新規のトロンボポエチン受容体作動薬ですね。類薬にはムルプレタ錠(一般名:ルストロンボパグ)があります。

 

●エムパベリ皮下注1080mg(一般名:ペグセタコプラン)
:「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン)の作用機序【PNH】

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補体C3とC3bを阻害する作用を有するPEG化ペプチド製剤です!

 

抗補体C5抗体製剤(ソリリスユルトミリス)が投与された一部の患者さんでは、補体C3を介した血管外溶血を認めることがあり、課題となっていました。

 

木元 貴祥
エムパベリはC3の経路をストップすることが可能ですね。

 

●①オンボー点滴静注300mg、②同皮下注100mgオートインジェクター、③同皮下注100mg シリンジ(一般名:ミリキズマブ(遺伝子組換え))
:①「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
②③「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

オンボー(ミリキズマブ)の作用機序【潰瘍性大腸炎】

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IL-23のp19サブユニットを特異的に阻害する抗体薬です。

 

点滴静注は寛解導入療法、皮下注製剤は維持療法に使用します。

 

●パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg(一般名:ペグバリアーゼ(遺伝子組換え))
:「フェニルケトン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

パリンジックは、フェニルケトン尿症で蓄積しているフェニルアラニンを分解する作用を有しています!

 

●オファコルカプセル50mg(一般名:コール酸)
:「先天性胆汁酸代謝異常症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

先天性胆汁酸代謝異常症は、肝臓内でのコレステロールから胆汁酸までの生合成経路に関与する酵素のうちいずれか一つの遺伝性欠損を病因とし、複数の欠損症からなる疾患です。

オファコルは、先天性胆汁酸代謝異常症患者に対して、酵素の欠損に起因して合成されないコール酸を補充する目的で使用します。

 

日本では未承認だったことから、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと評価され、厚労省から開発要請を受けていました。

 

●アトガム点滴静注液250mg(一般名:抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン)
:「中等症以上の再生不良性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

アトガムは、ヒト胸腺細胞で免疫されたウマの血漿から分離精製したIgGで、強力なT細胞抑制作用を有しています。

 

その免疫抑制作用によって再生不良性貧血の症状を改善し、海外では第一選択薬の一つとして使用されています。

 

こちらも日本では未承認だったことから、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと評価され、厚労省から開発要請を受けていました。

 

●フルミスト点鼻液(一般名:経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)
:「インフルエンザの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

国内初の鼻腔噴霧型インフルエンザ弱毒生ワクチンですね!!対象年齢は「2歳以上19歳未満」です。

 

2016年に申請されていましたが、臨床試験等で疑義があり、時間がかかったとのこと。

 

木元 貴祥
注射不要で鼻からの噴霧で接種できるため、子供にとってはよい選択肢になりそうですね。

 

ただし、発売予定時期は2024年度とのことですので、もう暫く先になりますね。

 

●ゴービック水性懸濁注シリンジ(一般名:沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルb型混合ワクチン)
:「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

 

既に承認されている4種混合ワクチンのテトラビック皮下注にHibワクチンを加えた5種混合ワクチンです。

 

木元 貴祥
定期接種の接種回数の削減が期待できそうですね。

 

●ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(一般名:ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え))
:「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序【真性多血症】

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2週間に1回の皮下投与で使用するPEG化インターフェロン製剤です。

 

独自の技術によって化学的に単一なため、半減期が延長しているとのこと。

 

●ウゴービ皮下注0.25mgSD、同皮下注0.5mgSD、同皮下注1.0mgSD、同皮下注1.7mgSD、同皮下注2.4mgSD(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))
:「肥満症」を効能・効果とする新効能・新用量・その他・剤形追加に係る医薬品。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

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有効成分のセマグルチドは、既に2型糖尿病治療薬のオゼンピック皮下注リベルサス錠として使用されています。

 

ウゴービもオゼンピックも有効成分が同一の皮下注製剤ですが、医療上の使用環境の違いを考慮して別製品名とされました。

 

木元 貴祥
肥満症の医療用医薬品としては、サノレックス(マジンドール)に次いで2製品目ですね!

 

●アポハイドローション20%(一般名:オキシブチニン塩酸塩)
:「原発性手掌多汗症」を効能・効果とする新効能・新剤形医薬品。

アポハイドローション(オキシブチニン)の作用機序【手掌多汗症】

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アポハイドの有効成分のオキシブチニンは抗コリン薬に分類されていて、過活動膀胱の治療薬等でも使用されていますね。

 

原発性局所多汗症のうち、「原発性腋窩多汗症」については、最近以下の2製品が承認されています。

 

木元 貴祥
原発性手掌多汗症に使用する抗コリン薬の外用薬は初の登場です!

 

2023年4月28日承認:人工妊娠中絶薬のメフィーゴパック

●メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)
:「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新投与経路医薬品。

メフィーゴ(ミフェプリストン/ミソプロストール)の作用機序【経口妊娠中絶薬】

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ミフェプリストンはプロゲステロン受容体拮抗薬で、黄体ホルモンの働きを抑制することで妊娠継続を中断させる働きがあります。

また、ミフェプリストンを経口投与した後、36~48時間経過後にミソプロストールをバッカル投与するとのことです。ミソプロストールはNSAIDsによる胃潰瘍・十二指腸潰瘍治療薬としてサイトテック錠が承認されていますね。

 

ミソプロストールは子宮収縮作用を有しているため、サイトテック錠は「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」に対して投与禁忌とされています。流産の可能性があるためですね。

 

木元 貴祥
このような作用によって人工妊娠中絶を誘発させると考えられています。

 

なお、メフィーゴパックは母体保護法指定医師のもと、保険適用外で使用されます。

 

2023年6月26日承認:新薬3製品

●オンキャスパー点滴静注用3750(一般名:ペグアスパルガーゼ)
:「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序・特徴【急性リンパ性白血病】

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L-アスパラギナーゼ(L-ASP)をPEG化して長時間作用するようにした製剤です。

 

木元 貴祥
免疫原性が減少し、過敏症の発現リスクも低下しているとのことですね。

 

●リトゴビ錠(一般名:フチバチニブ)
:「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

リトゴビ(フチバチニブ)の作用機序【胆道がん】

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新規のFGFR阻害薬ですね。

同様の効能効果・作用機序を有する薬剤としては、ペマジール錠(ペミガチニブ)についで2製品目です。

ペマジール(ペミガチニブ)の作用機序【胆道がん】

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●リットフーロカプセル50mg(一般名:リトレシチニブトシル酸塩)
:「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

リットフーロカプセル(リトレシチニブ)の作用機序【円形脱毛症】

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リットフーロは新規の経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬です。

既に経口JAK阻害薬のオルミエント(バリシチニブ)が円形脱毛症に対して適応を有していますね。

 

木元 貴祥
今後の使い分けが期待されます!

 

2023年8月1日承認:HIV治療薬新薬1製品(2剤形)

●シュンレンカ錠300mg(一般名:レナカパビルナトリウム)
●シュンレンカ皮下注463.5mg(一般名:レナカパビルナトリウム)
:「多剤耐性HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

シュンレンカ皮下注/錠(レナカパビル)の作用機序【HIV】

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シュンレンカは、国内初のカプシド阻害薬のため、多剤耐性HIVに対しても効果が期待されています。

 

木元 貴祥
2023年6月2日に申請され、2か月経たずに迅速承認されました!

 

HIV-1感染症に対する注射薬は、ボカブリア/リカムビスに次ぐものですが、皮下注製剤としてはシュンレンカが初ですね。

ボカブリア/リカムビス(カボテグラビル/リルピビリン)の作用機序【HIV】

続きを見る

 

2023年8月2日承認:1製品

●ダイチロナ筋注(一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA ワクチン)
:「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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木元 貴祥
初の国産のmRNAワクチンですね!

 

初認当初は初回免疫として使用できないため、供給されませんでした。その後、オミクロン対応株も承認されたため、供給開始されています。

 

2023年9月25日承認:新薬13製品

●フォゼベル錠5mg、同10mg、同20mg、同30mg(一般名:テナパノル塩酸塩)
:「透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

フォゼベル(テナパノル)の作用機序【高リン血症】

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高リン血症に対しては、初のNHE3阻害剤ですね!腸管からのリン吸収を抑制することで、高リン血症を抑制すると考えられています。

 

●コルスバ静注透析用シリンジ17.5μg、同25.0μg、同35.0μg(一般名:ジフェリケファリン酢酸塩)
:「血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

木元 貴祥
κオピオイド受容体作動薬に分類されていて、当効能・効果は世界初とのことです。

 

●ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ、同23.0mgシリンジ、同32.4mgシリンジ(一般名:ジルコプランナトリウム)
:「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ジルビスク皮下注(ジルコプラン)の作用機序【重症筋無力症】

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新規の補体C5阻害薬ですね。

これまでC5阻害薬は抗体薬が中心でしたが、ジルビスクは15個のアミノ酸から構成される大環状ペプチド製剤です。

 

木元 貴祥
当疾患では初の在宅自己注射可能製剤です。

 

●リスティーゴ皮下注280mg(一般名:ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え))
:「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

リスティーゴ皮下注(ロザノリキシズマブ)の作用機序【重症筋無力症】

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ヒト胎児性Fc受容体(FcRn)を阻害するモノクローナル抗体薬ですね。

リスティーゴは、当疾患の原因とされているIgG自己抗体のFcRnを介したリサイクル経路を阻害することで、進行を抑制すると考えられています。

 

●レクビオ皮下注300mgシリンジ(一般名:インクリシランナトリウム)
:「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

レクビオ(インクリシラン)の作用機序・特徴:レパーサとの違い【脂質異常症】

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木元 貴祥
当疾患では初のRNA干渉を利用したsiRNA治療薬です!!

 

PCSK9の発現量を低下させることで、肝臓におけるLDL-コレステロールの取り込みを促進させ、血中LDL-コレステロールの低下につながると考えられています。

 

●レケンビ点滴静注200mg、同500mg(一般名:レカネマブ(遺伝子組換え))
:「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

レケンビ(レカネマブ)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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国内では初となる抗アミロイドβ抗体薬ですね。

 

早期のアルツハイマー型認知症に対して症状進行を抑制することが期待されているものの、特徴的な副作用(ARIA:アミロイド関連画像異常)や、対象患者さんの絞り込み、薬価の問題等が懸念されます。

 

既に「軽度認知障害の脳内アミロイドベータプラークの可視化」を目的とするビザミルやアミヴィッドの適応拡大も承認されています。

 

木元 貴祥
「最適使用推進ガイドライン」の対象品目のため、対象施設・対象患者さんの要件等は要チェックになると思われます。

 

●オルツビーオ静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000、同静注用4000(一般名:エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え))
:「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

オルツビーオ(エフアネソクトコグ)の作用機序・特徴【血友病】

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血友病Aに対する新規の補充療法薬ですね!

これまでの補充療法薬は週に数回の投与が必要でしたが、オルツビーオはタンパク質等で修飾することで、週1回の投与で治療が可能です。

 

ただ、類薬のヘムライブラ(エミシズマブ)は最長4週間毎の投与が可能なため、使い分け等は気になるところです。

ヘムライブラ(エミシズマブ)の作用機序と二重特異性抗体【血友病A】

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●キュービトル20%皮下注1g/5mL、同20%皮下注2g/10mL、同20%皮下注4g/20mL、同20%皮下注8g/40mL、同20%皮下注10g/50mL(一般名:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射))
:「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

無又は低ガンマグロブリン血症ではIgGの補充療法が標準治療のため、キュービトルによって補充が可能です。

 

●アレックスビー筋注用(一般名:乾燥組換えRSウイルスワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来))
:「RSウイルスによる感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アレックスビー筋注用の作用機序【RSウイルス感染ワクチン】

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呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)に対する初のワクチンです!

RSウイルスのF糖タンパク質抗原と、AS01Eと呼ばれるアジュバントを組み合わせることで感染抑制効果を発揮します。

 

木元 貴祥
60歳以上の成人に対して使用します。

 

●エプキンリ皮下注4mg、同皮下注48mg(一般名:エプコリタマブ(遺伝子組換え))
:「再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

エプキンリ(エプコリタマブ)の作用機序【DLBCL】

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CD3とCD20に共に結合可能な二重特異性抗体に分類されていますね。

 

木元 貴祥
二重特異性抗体薬は、大細胞型B細胞リンパ腫では初です。

 

●クイントバック水性懸濁注射用(一般名:沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン)
:「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)による感染症を予防する5種混合ワクチンですね。

 

5種混合ワクチンは、2023年3月27日に承認されたゴービックに続いて2製品目です。

 

●アレモ皮下注15mg、同皮下注60mg、同皮下注150mg、同皮下注300mg(一般名:コンシズマブ(遺伝子組換え))
:「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アレモ皮下注(コンシズマブ)の作用機序・特徴【血友病】

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木元 貴祥
国内初の抗TFPIモノクローナル抗体薬ですね。

 

インヒビターを保有するあらゆるタイプの血友病に対して、出血抑制が期待されています。

 

●フェスゴ配合皮下注MA、同配合皮下注IN(一般名:ペルツズマブ(遺伝子組換え)・トラスツズマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え))
:「HER2陽性の乳がん」、「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

フェスゴ配合皮下注(ペルツズマブ/トラスツズマブ)の作用機序【乳がん/大腸がん】

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パージェタ(ペルツズマブ)とハーセプチン(トラスツズマブ)の配合皮下注製剤ですね!

 

木元 貴祥
皮下組織における浸透性を向上させるために、ボルヒアルロニダーゼ アルファが配合されています。

 

ボルヒアルロニダーゼを配合しているのは、ダラキューロ(ダラツムマブ)に次いで2製品目でしょうか。いずれも皮下注投与によって投与時間の大幅な削減が期待できます。

ダラキューロ/ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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2023年11月28日承認:レプリコンワクチンのコスタイベ

●コスタイベ筋注用(一般名:サポメラン):「SARS-CoV-2 による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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新型コロナウイルスに対する新規のmRNAワクチン(起源株)です。

 

これまでのmRNAワクチンと異なり、接種後に細胞内でmRNAが複製されることによって、持続的に抗原タンパク質が合成されるといった特徴があります。

 

そのため、少ない接種量で持続的な効果が期待されていますね。副反応の低下も期待されています。

 

ただ、現在のワクチン接種は「追加接種時にはXBB.1系統を含有する1価のワクチンを用いる」との方針が示されていますが、今回のコスタイベは起源株を使用しているため、暫くは上市しないとのこと。

 

木元 貴祥
現在、起源株とオミクロン株BA.4-5系統による2価ワクチンが開発中のため、そちらに期待ですね。

 

2023年11月30日承認:フェトロージャ点滴静注用

●フェトロージャ点滴静注用1g(一般名:セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物)
:「セフィデロコルに感性の大腸菌、シトロバクター属、肺炎桿菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア・マルセスセンス、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、緑膿菌、バークホルデリア属、ステノトロホモナス・マルトフィリア、アシネトバクター属(ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る)による各種感染症」を効能・効果する新有効成分含有医薬品。

フェトロージャ(セフィデロコル)の作用機序【CRE】

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セファロスポリン系抗菌薬を改良した「シデロフォアセファロスポリン系抗菌薬」とのことで、この分類は国内初です。

 

木元 貴祥
ペニシリン結合タンパク質に結合して細胞壁合成を阻害します。

 

また、フェトロージャは厚労省がAMR対策の一環として新たに試行導入した「抗菌薬確保支援事業」の制度を利用した初の薬剤です(厚労省の公募公示)。

 

2023年の新薬について所感

以上、2023年に承認された新薬を一覧としてご紹介しました。

 

2023年は疾患として特筆すべきものはありませんが、アクセス数1位・2位の以下の新薬は非常に注目されている印象です。

  1. ウゴービ(セマグルチド):肥満症治療薬
  2. レケンビ(レカネマブ):アルツハイマー型認知症治療薬

 

木元 貴祥
数年後の薬剤師国家試験でも必ず出題されますね!(たぶん)

 

その他の新規性では

等は注目です!

 

以上、2023年に承認された新薬・新医療用配合剤などについて、アクセス数ランキングと共にご紹介しました!^^

 

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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