新薬承認・薬価収載

【新薬+適応拡大+再生医療等製品承認】21製品+6製品(2021年3月23)

2021年3月23日、厚労省は新薬として審議品目20製品を承認しました!その他、報告品目として適応拡大やバイオシミラーなど6製品も承認されています。

また、再生医療等製品のブレヤンジも承認されていますね。

 

木元 貴祥
ブレヤンジはキムリア・イエスカルタに次いで3製品目のCAR-T細胞療法です。

 

今回は概要についてご紹介していきます!

 

新薬(審議品目):20製品

●ジョイクル関節注30mg(一般名:ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム)
:「変形性関節症(膝関節、股関節)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ジョイクル関節注(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)の作用機序【変形性関節症】

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木元 貴祥
ヒアルロン酸にNSAIDsを結合させた新規薬剤ですね!

 

既存のヒアルロン酸製剤は1週間毎に投与が必要ですが、ジョイクルは4週間毎の投与で効果を発揮します。

 

●ジクトルテープ75mg(一般名:ジクロフェナクナトリウム)
:「各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新効能・新剤形医薬品。

 

がん疼痛を効能・効果とするNSAIDsでは、ジクトルテープが初の貼付剤ですね。

 

●アリケイス吸入液590mg(一般名:アミカシン硫酸塩)
:「<適応菌種>アミカシンに感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)、<適応症>MACによる肺非結核性抗酸菌症」を効能・効果とする新投与経路医薬品。

アリケイス(アミカシン リポソーム製剤)の作用機序【肺MAC症】

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アミノグリコシド系抗菌薬のアミカシンをリポソーム化した初の吸入薬です!

 

木元 貴祥
MAC菌への移行性が高いため、全身性の副作用軽減も期待されていますよ。

 

●アキュミン静注(一般名:フルシクロビン(18F))
:「初発の悪性神経膠腫を疑う患者における腫瘍の可視化。ただし、磁気共鳴コンピューター断層撮影検査による腫瘍摘出計画時における腫瘍摘出範囲の決定の補助に用いる」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

フルシクロビンは、正常細胞よりもアミノ酸代謝が活性化されている腫瘍細胞に多く取り込まれる特徴を有しています。フッ素で標識されているため、腫瘍組織に取り込まれたフルシクロビンがPET検査で検出可能というわけですね。

 

●レミトロ点滴静注用300μg(一般名:デニロイキン ジフチトクス(遺伝子組換え))
:「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫および再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

ジフテリア毒素の一部とIL-2を結合させたタンパク製剤です!リンパ腫細胞のIL-2受容体に結合し、細胞内に取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮すると考えられています。

 

●イスツリサ錠1mg、同錠5mg(一般名:オシロドロスタットリン酸塩)
:「クッシング症候群」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

イスツリサ(オシロドロスタット)の作用機序【クッシング症候群】

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クッシング症候群で過剰となったいるコルチゾールの合成阻害薬ですね。

 

●ダラキューロ配合皮下注(一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え))
:「多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。

ダラキューロ/ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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有効成分のダラツムマブは、製品名ダラザレックスとして既に承認されています。ダラツムマブにボルヒアルロニダーゼアルファを配合することで、皮下組織内での薬剤の浸透・分散が促進されると考えられています。

 

木元 貴祥
その結果、投与時間の短縮(3〜5分で投与可能)、固定用量(対表面積によらず一定量)となりました。調製や投与時間の短縮はありがたい!

 

●ヴァイトラックビカプセル25mg、同カプセル100mg、同内用液20mg/mL(一般名:ラロトレクチニブ硫酸塩)
:「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ヴァイトラックビ(ラロトレクチニブ)の作用機序【NTRK陽性の固形がん】

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NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに使用する薬剤としては、ロズリートレク(エヌトレクチニブ)に次いで2製品目ですね。

 

●オスタバロ皮下注カートリッジ3mg(一般名:アバロパラチド酢酸塩)
:「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

【骨粗鬆症】PTH製剤一覧:オスタバロ・テリボン・フォルテオ

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新規の副甲状腺ホルモン(PTH)製剤ですね。類薬にはフォルテオやテリボンがありますので、上記の記事でまとめて解説しています。

 

木元 貴祥
オスタバロの最大投与期間は1年半までとのこと。

 

●ユプリズナ点滴静注100mg(一般名:イネビリズマブ(遺伝子組換え))
:「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ユプリズナ(イネビリズマブ)の作用機序【NMOSD】

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●ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注用140mg、(一般名:ポラツズマブ ベドチン(遺伝子組換え))
:「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)の作用機序・特徴【DLBCL】

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木元 貴祥
抗CD79bモノクローナル抗体と抗がん剤を結合させた新たなADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)ですね!

 

同日承認されたトレアキシン(ベンダムスチン塩酸塩)と併用で使用します。

 

●ケシンプタ皮下注20mgペン(一般名:オファツムマブ(遺伝子組換え))
:「再発性の多発性硬化症(再発寛解型多発性硬化症と疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症)」を効能・効果とする新投与経路、新効能医薬品。

 

有効成分のオファツムマブは既に製品名アーゼラ点滴静注として、慢性リンパ性白血病(CLL)に使用されています。今回はオファツムマブの皮下注製剤で、適応は多発性硬化症となります。

 

●ペマジール錠4.5mg(一般名:ペミガチニブ)
:「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ペマジール(ペミガチニブ)の作用機序【胆道がん】

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木元 貴祥
国内初のFGFR阻害薬ですね!

 

ペマジールの副作用として高リン血症があるため、その対処薬として同日、炭酸ランタン顆粒分包「ニプロ」が承認されています。詳しくは上記記事をご確認ください♪

 

●イズカーゴ点滴静注用10mg(一般名:パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え))
:「ムコ多糖症II型」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

独自技術の「J Brain Cargo」によって、BBB(血液脳関門)を通過させることを可能とした薬剤です!

これまでBBBによって中枢神経系へ作用する薬剤の開発は困難でしたが、新たな技術によって効率的に中枢神経内へ移行することが可能です。すごいですねぇ~!

 

●レコベル皮下注12μgペン、同皮下注36μgペン、同皮下注72μgペン(一般名:ホリトロピン デルタ(遺伝子組換え))
:「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

木元 貴祥
不妊治療に用いる新規の遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン(r-hFSH)製剤ですね。

 

●リオナ錠250mg(一般名:クエン酸第二鉄水和)
:「鉄欠乏性貧血」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

●ロナセン錠2mg、同錠4mg、同錠8mg、同散2%(一般名:ブロナンセリン)
:「統合失調症」を効能・効果に対して小児適応を追加する新用量医薬品。

 

木元 貴祥
統合失調症では初の小児適応となります!

 

●ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg(一般名:ベネトクラクス)
:「急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

ベネクレクスタ(ベネトクラクス)の作用機序と副作用【CLL/AML】

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急性骨髄性白血病(AML)の初回治療において、同日承認されているビダーザ(アザシチジン)と併用において使用可能となります!

 

●ヴォリブリス錠2.5mg(一般名:アンブリセンタン)
:「肺動脈性肺高血圧症」の効能・効果について、8歳以上の小児に使えるようにする新用量医薬品。

【肺動脈性高血圧症】エンドセリン受容体拮抗薬の作用機序と一覧・使い分け

続きを見る

 

エンドセリン受容体拮抗薬の中では、トラクリア錠(一般名:ボセンタン)に次いで2製品目の小児適応となりました。

 

●レンビマカプセル4mg、同カプセル10mg(一般名:レンバチニブメシル酸塩)
:「切除不能な胸腺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。

レンビマ(レンバチニブ)の作用機序【肝細胞/甲状腺/子宮体/腎細胞がん】

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適応拡大・バイオシミラー(報告品目):6製品

●アダリムマブBS皮下注20mgシリンジ0.2mL「MA」、同皮下注40mgシリンジ0.4mL「MA」、同皮下注80mgシリンジ0.8mL「MA」、同皮下注40mgペン0.4mL「MA」(アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続3])

 

ヒュミラのバイオシミラー(バイオ後続品)としては3製品名の登場ですね。既に「FKB」、「第一三共」が承認販売されています。

ヒュミラには12の適応症がありますが「FKB」と「第一三共」は、うち7つの適応しか有していませんでした。今回の「MA」では9つの適応となり、BSでは最多の適応症です!

 

●インスリンアスパルトBS注ソロスターNR「サノフィ」、同BS注カートNR「サノフィ」、同BS注100単位/mL NR「サノフィ」(一般名:インスリンアスパルト(遺伝子組換え)[インスリンアスパルト後続1]):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とするバイオ後続品(バイオシミラー:BS)。

 

木元 貴祥
ノボラピッドの初のBSですね!サノフィがノボのBSを開発するとは数年前では予想がつきませんでした(笑)

 

●コレクチム軟膏0.25%、同軟膏0.5%(一般名:デルゴシチニブ)
:「アトピー性皮膚炎」を効能・効果に対して小児用量が追加されました。それに伴い、0.25%製剤が追加。

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】

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コレクチムは初の外用JAK阻害薬として登場しましたが、今回、2歳以上16歳未満の小児への適応拡大が承認されました。

 

●トレアキシン点滴静注用25mg、同点滴静注用100mg(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)
:「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

血液
トレアキシン(ベンダムスチン)の作用機序と副作用【悪性リンパ腫】

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先ほどご紹介したポライビーとの併用で使用するため、効能・効果が追加されています。

ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)の作用機序・特徴【DLBCL】

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●ビダーザ注射用100mg(一般名:アザシチジン)
:「急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新効能医薬品。

 

木元 貴祥
こちらも先ほどご紹介したベネクレクスタとの併用で使用するため、適応拡大されていますね。
ベネクレクスタ(ベネトクラクス)の作用機序と副作用【CLL/AML】

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●炭酸ランタン顆粒分包250mg「ニプロ」、同顆粒分包500mg「ニプロ」(一般名:炭酸ランタン水和物、ニプロ)
:「FGFR阻害剤投与に伴う高リン血症の改善」を効能・効果とする新効能医薬品。

 

こちらも先ほどご紹介のFGFR阻害薬であるペマジールの高リン血症対処薬として適応拡大されています。

ペマジール(ペミガチニブ)の作用機序【胆道がん】

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再生医療等製品:1製品

●ブレヤンジ静注(一般名:リソカブタゲン マラルユーセル)
:「以下の再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫)、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする再生医療等製品。

ブレヤンジ(リソカブタゲン マラルユーセル)の作用機序【DLBCL】

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CAR-T細胞療法はキムリアイエスカルタに次いで2製品目ですね。

 

上記2製品と異なる適応症は、

  • 形質転換低悪性度非ホジキンリンパ腫
  • 濾胞性リンパ腫

で、これらはブレヤンジのみです。

 

あとがき

今回は多くの新薬が承認されましたね。新有効成分含有の新薬は順調に行けば2021年5月頃の薬価収載でしょうかね。

 

個人的な注目は、

あたりでしょうか。

 

治療成績の向上を期待したいと思います♪

 

以上、今回は2021年3月23日に承認された新薬や適応拡大について概略をご紹介しました~!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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