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2026年5月29日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて、「緑内障、高眼圧症」を対象疾患とするロープレッサ点眼液(ネタルスジル)の承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
参天製薬|申請のニュースリリース
基本情報
| 製品名 | ロープレッサ点眼液0.02% |
| 一般名 | ネタルスジルメシル酸塩 |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | 参天製薬(株) |
| 効能・効果 | 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合 :緑内障、高眼圧症 |
| 用法・用量 | 1日1回点眼 |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
同様の作用機序を有する類薬として、1日2回点眼製剤であるグラナテック点眼液(リパスジル)が承認されていますが、ロープレッサは1日1回の点眼で治療が可能です。
また、ROCK阻害以外の作用(ノルエピネフリントランスポーター阻害作用)も有していますので、新たな選択肢として期待できるのではないでしょうか。
今回は緑内障を中心に、ロープレッサ(ネタルスジル)の作用機序・特徴について解説します。
緑内障と症状
緑内障は眼の病気です。
眼の見えている範囲が徐々に狭くなったりボヤけたりしていき、治療が遅れてしまうと最悪失明に至ってしまいます。
高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症すると推定されています。1)
緑内障の原因と眼房水の排出経路
緑内障は眼の中の圧力(眼圧)が異常に上昇することで視神経が圧迫されて生じます。
眼圧を調整する物質として眼の中の水(眼房水)があります。
通常は、眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしていますね。
何らかの異常によって眼房水の量が増えてしまうと、眼の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が上昇してしまいます。

通常、眼房水は以下の排出経路によって排出されます。
- 主経路:シュレム管(経線維柱帯流出路)による排出(約90%)
- 副経路:ブドウ膜強膜流出路による排出(約10%)

Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.
しかし緑内障では様々な原因によって上記の排出経路が障害されて眼の中に貯留してしまいます。
また、緑内障は原因によって大きく以下の分類があります。
| ①原発緑内障 | 排泄経路が障害されているもの。 隅角が開いている「原発開放隅角緑内障」と、 隅角が閉じている「原発閉塞隅角緑内障」に分類される。 |
| ②小児緑内障 | 先天性のもの。 |
| ③続発緑内障 | 他の原因(外傷や網膜剥離、薬物の副作用等)によるもの。 |
緑内障の治療
緑内障の治療の原則は眼圧を下げることです。
主な治療には以下がありますが、「原発開放隅角緑内障」の場合は主には薬物治療が基本となります。
- 薬物治療
- レーザー治療
- 手術
薬物治療のうち、局所投与薬(点眼薬等)には以下の選択肢があります。2)
- プロスタノイド受容体関連薬:プロスタノイドFP受容体作動薬、プロスタノイドEP2受容体選択性作動薬
- アドレナリンβ受容体遮断薬
- 炭酸脱水酵素阻害薬
- アドレナリンα2受容体刺激薬
- アドレナリンα1受容体遮断薬
- 副交感神経刺激薬
- イオンチャネル開口薬
- Rhoキナーゼ阻害薬(ROCK阻害薬)
第一選択薬で推奨されているのはプロスタノイド受容体関連薬で、その他にはアドレナリンβ受容体遮断薬がよく用いられています。
プロスタノイドFP受容体作動薬(プロスタグランジンF2α誘導体製剤)については以下の記事で作用機序や一覧表をまとめていますのでご参考ください。
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【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧
続きを見る
最近では、新規作用機序のプロスタノイドEP2受容体作動であるエイベリス(一般名:オミデネパグ)も登場してきました。
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エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】
続きを見る
基本は単剤から治療を開始しますが、眼圧が十分に下がらない場合、別の単剤への切り替え(作用機序の異なる薬剤等)、もしくは副作用に注意しながら併用療法が行われます。
今回ご紹介するロープレッサは、「Rhoキナーゼ阻害薬(ROCK阻害薬)」に分類されていて、プロスタノイド受容体関連薬などで効果不十分な場合に第二選択薬として使用される薬剤です。
最近では、α2受容体刺激薬とROCK阻害薬の配合剤も登場してきています。
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グラアルファ配合点眼液(ブリモニジン/リパスジル)の作用機序【緑内障】
続きを見る
ロープレッサ点眼液(ネタルスジル)の作用機序:ROCK阻害+NET阻害
ロープレッサは、新規のROCK阻害薬です。
Rhoキナーゼ(ROCK)を阻害することで、眼房水の主経路における排出を促進すると考えられています。
また、眼にはノルアドレナリンの再取り込みを担っているノルエピネフリントランスポーター(NET:Norepinephrine Transporter)が存在していますが、ロープレッサはNET阻害作用も有しています。3)
NET阻害によってノルアドレナリンが上昇することで、血管が収縮し、眼房水の産生が抑制されると考えられています。
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エビデンス紹介:J-ROCKET試験
根拠となった臨床試験は、国内で実施された第Ⅲ相試験(J-ROCKET試験)です。4)
本試験は、原発開放隅角緑内障または眼圧亢進症の日本人患者さんを対象に、ロープレッサ群(1日1回点眼)と、既存のROCK阻害薬であるグラナテック群(1日2回点眼)の眼圧下降効果と安全性を4週間にわたって直接比較した単盲検試験です。
本試験の主要評価項目は「投与4週後における平均日中眼圧のベースラインからの変化量」とされ、結果は以下の通りでした。
| 試験群 | ロープレッサ群 | グラナテック群 |
| ベースラインの平均日中眼圧 | 20.5 mmHg | 20.8 mmHg |
| 投与後4週の平均日中眼圧 | 16.0 mmHg | 17.7 mmHg |
| 投与4週後における平均日中眼圧の ベースラインからの変化量 |
-4.7 mmHg (22.6%低下) |
-3.0 mmHg (14.3%低下) |
| 群間差:-1.67 優越性のp=0.0001 |
||
| 結膜充血の発現率 | 54.9% | 62.6% |
ロープレッサは、グラナテックよりも有意な眼圧低下効果が認められ、さらにROCK阻害薬に特徴的な結膜充血の発現頻度も低いという結果でした!
その他、ラタノプロスト単剤療法で眼圧低下が不十分な原発開放隅角緑内障または眼圧亢進症の日本人患者さんを対象に、ラタノプロスト+ロープレッサ群とラタノプロスト単剤群を比較したJ-ROCKET-2試験においてもラタノプロスト+ロープレッサ群で有意な眼圧低下効果が認められていました。5)
副作用
正式承認後に更新予定です。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
臨床試験では、1日1回点眼とされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
グラナテックとの違い・比較
既に国内では、同様の作用機序を有するROCK阻害薬としてグラナテックがあります。

まとめ・あとがき
ロープレッサはこんな薬
- 新規のROCK阻害薬で、NET阻害作用も有する
- 1日1回の点眼
- グラナテックに対して優越性が確認されている
緑内障は自覚症状がないまま進行し、失明に至る恐れのある恐ろしい疾患です。
ロープレッサは、1日1回の点眼で既存の治療薬以上の眼圧下降効果が期待できるため、他の薬で目標眼圧に達しなかった患者さんにとって非常に強力な選択肢となりそうです。
以上、今回は緑内障を中心に、ロープレッサ(ネタルスジル)の作用機序・特徴について解説しました。
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