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2025年12月、「食道がん」を対象疾患とする腫瘍溶解性ウイルスのテロメライシン(スラタデノツレブ)の製造販売承認申請が行われました!
オンコリスバイオファーマ|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | テロメライシン |
| 一般名 | スラタデノツレブ(開発コード:OBP-301) |
| 製造販売 | オンコリスバイオファーマ(株) 販売:富士フイルム富山化学(株) |
| 効能・効果 | 手術や化学放射線療法が不適格な局所進行食道がん |
| 用法・用量 | 放射線治療との併用において、内視鏡下で患部に3回投与? |
| 収載時の薬価 |
テロメライシンは、食道がんでは初となる「腫瘍溶解性ウイルス」です!
同様の作用機序を有するものとして、悪性神経膠腫に使用するデリタクト(テセルパツレブ)がありますが、使用しているウイルスの種類が異なっています。
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デリタクト(テセルパツレブ):腫瘍溶解性ウイルスの作用機序【悪性神経膠腫】
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今回は食道がんと共に、腫瘍溶解性ウイルスであるテロメライシン(スラタデノツレブ)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。
食道がんの概要
食道がんはその名の通り、食道に発生するがんです。
日本人の食道がんは約半数が食道の中央付近からでき、次に食道の下部に多くできると言われています。

がん情報サービス|1.食道について
治療
治療はがんの進行度(Stage0~Ⅳ)に応じて行われ、基本は手術と放射線治療と化学療法(抗がん剤治療)です。
Stage0~Ⅰの場合、手術もしくは化学放射線療法(化学療法+放射線療法)によって根治が期待できます。1)
食道の広範囲に進行しているStageⅡ~Ⅲの場合、手術の前後に化学療法を行ったり、手術ができなければ化学放射線療法を行ったりします。

がん情報サービス|1.食道について>ステージ(病期)と治療の選択
StageⅡ~Ⅲで手術も化学放射線療法もできない場合(上図の赤枠)、放射線や化学療法の単独治療や症状緩和の治療が検討されますが、効果は限定的のため、新たな治療選択肢が望まれていました。
今回ご紹介するテロメライシンは、StageⅡ~Ⅲで手術や放射線療法が適さない局所進行食道がんに対して、放射線療法との併用で使用可能です。
腫瘍溶解性ウイルスとは?
がん細胞に感染してがん細胞を死滅させるウイルスを総称して「腫瘍溶解性ウイルス」と呼んでいます。
アデノウイルス、レオウイルス、麻疹ウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルスを用いた開発が進んでいますが、今回ご紹介するテロメライシンはアデノウイルスを用いたものです。
なお、類薬のデリタクト(テセルパツレブ)は単純ヘルペスウイルスを利用していますね。
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デリタクト(テセルパツレブ):腫瘍溶解性ウイルスの作用機序【悪性神経膠腫】
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テロメライシンは、アデノウイルスの遺伝子を改変し、がん細胞に高発現している「テロメラーゼ逆転写酵素」存在下で特異的に増殖するようにしたウイルス製剤です。
では、少しテロメラーゼについて補足しますね。
テロメアとテロメラーゼ(テロメラーゼ逆転写酵素)
通常、生体内の細胞が分裂する際には、染色体(DNA)の複製(コピー)が行われます。
しかしながら、染色体を複製する度に、少しづつ染色体の端っこが短くなっていってしまいます。
染色体には重要な遺伝情報が載っているため、その本体部分が短くならないよう、あらかじめ染色体の端っこには「テロメア」と呼ばれる繰り返し配列が準備されています。

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター|<プレスリリース>「副腎のテロメアが男女の寿命差に関係する?」
細胞分裂を繰り返し、やがてテロメアが短くなりすぎて染色体の本体に到達すると、細胞は「もうコピーできない!」と判断して分裂をやめてしまいます。
この「分裂が止まった状態」が、いわゆる「細胞の老化」です。
テロメアが短くなるほど、体全体の老化が進むと考えられているため、「生命の回数券」と考えることもできますね。
そんなテロメアですが、実は長さを回復できる酵素があって、それが「テロメラーゼ」です。
え!?テロメアを回復できるから若返り!?
と思われるかもしれませんが、過剰に働いてしまうと細胞が死ななくなってしまうため、がん化する可能性もあります。ですので、通常の細胞にはほとんど発現しておらず、主に発現しているのは「生殖細胞」と「幹細胞」と「がん細胞」です。
がん細胞は無秩序に増殖するため、自らテロメラーゼを過剰に産生しています。
そしてテロメラーゼの中心を担っている酵素が「テロメラーゼ逆転写酵素」です。
テロメライシン(スラタデノツレブ)の作用機序と特徴
テロメライシンは、内視鏡下でがん細胞に直接注射して投与します(局所投与)。
注射等で全身に投与してしまうと、前述の生殖細胞や幹細胞にも影響を及ぼしてしまう可能性があるためです。
がん細胞においては85%以上にテロメラーゼ逆転写酵素が発現2)していることが知られていて、投与されたテロメライシンはがん細胞に感染し、がん細胞内でどんどん増殖していきます。
最終的には増殖したテロメライシンによってがん細胞が破壊(腫瘍溶解)され、周囲にテロメライシンが拡散されていきます。
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拡散したテロメライシンは別のがん細胞に次々に感染していき、腫瘍溶解を引き起こし続けることでがん細胞を死滅させていくといった作用機序です(直接的な作用)。
一方、正常細胞にはテロメラーゼ逆転写酵素がほとんど発現していないため、テロメライシンが正常細胞に感染しても増殖しません。ですので、正常細胞にはほとんど影響を及ぼさないといった特徴もあります。
その他、死滅したがん細胞からは抗原が多量に提示されることから、体内の免疫系が活性化することも知られています。そのため、免疫チェックポイント阻害薬等の免疫に関与している薬剤と併用することで全身のがん細胞を攻撃できるといった作用も期待されています!(間接的な作用)
エビデンス紹介:国内第Ⅱ相試験
根拠となった国内第Ⅱ相臨床試験をご紹介します。3)
現時点では論文等が未公表のため、学会発表のデータを掲載しています。
本試験は手術や化学放射線療法が不適格なStageⅡ~Ⅲの局所進行食道がん患者さんを対象に、テロメライシン+放射線療法の有効性と安全性を検討した国内第Ⅱ相試験です。
テロメライシンは、患者の腫瘍内に1日目、18日、32日目の3回、1~2×1012個のウイルス粒子を投与し、同時に6週間の間に合計で60Gyの放射線を照射
主要評価項目は「24週までの局所完全奏効(L-CR)率」とされました(90%信頼区間下限値は、日本の食道がん全国登録における放射線治療のみを受けた患者の結果である30.2%と設定)。
しかしながら、結果は以下の通りで、24週時点では90%信頼区間(CI)の下限値を下回ったため、主要評価項目は達成できませんでした。
- 24週までのL-CR率:41.7%(90%CI:27.7%-56.7%)
- 18か月までの最終L-CR率:50.0%(90%信頼区間:35.3%-64.7%)
副作用
主な副作用はとして、リンパ球数減少や発熱などが報告されていました。
類薬のデリタクト(テセルパツレブ)では、重大な副作用として、脳浮腫や痙攣、出血なども報告されていますので、同様の注意が必要かもしれません。
用法・用量
後日更新予定です。
臨床試験では、内視鏡下で腫瘍内に1日目、18日、32日目の3回、1~2×1012個のウイルス粒子を注射で投与し、同時に6週間の間に合計で60Gyの放射線を照射とされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
テロメライシンはこんな薬
- 食道がんに対する初の腫瘍溶解性ウイルス製品
- 類薬としては、悪性神経膠腫に使用するデリタクト(テセルパツレブ)がある
- がん細胞に高発現しているテロメラーゼ逆転写酵素によって特異的に増殖する
- 直接的な作用(がんに感染して破壊させる)と間接的な作用(体内の免疫系を活性化させる)によって抗腫瘍効果を発揮する
腫瘍溶解性ウイルスはユニークな作用機序で、正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。
以上、今回は腫瘍溶解性ウイルスであるテロメライシン(スラタデノツレブ)の作用機序やエビデンスについて解説しました!
引用文献・資料等
- がん情報サービス|食道がん
- 岡山医学会雑誌 第120巻 May 2008, pp 13-21
- OBP101JP試験:ESMO 2025 #2117P
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