11.血液・造血器系 12.悪性腫瘍

ダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序【末梢性T細胞リンパ腫】

2022年5月12日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を対象疾患とするダルビアス(ダリナパルシン)の承認が了承されました。

現時点では未承認のためご注意ください。

ソレイジア・ファーマ|申請のニュースリリース

基本情報

製品名ダルビアス点滴静注用135mg
一般名ダリナパルシン
製品名の由来
製薬会社製造販売:ソレイジア・ファーマ(株)
販売:日本火薬(株)
効能・効果再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
用法・用量通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を
1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。
この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
収載時の薬価
発売日

 

ダルビアスは有機ヒ素化合物に分類されている新規化合物で、ヒ素を含んだ医薬品としては、無機ヒ素化合物のトリセノックス点滴静注(三酸化二ヒ素)に次ぐものです。

 

木元 貴祥
トリセノックスは急性前骨髄球性白血病で使用されていますね。

 

今回は末梢性T細胞リンパ腫とダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序について解説します。

 

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)

末梢性T細胞リンパ腫(“PTCL”と略されます)は、血液腫瘍の一種ですが、あまり聞きなれない疾患かもしれません。

血液中にはご存知の通り、「白血球」と呼ばれる細胞が存在し、主に免疫を司っていますが、大きく“顆粒球”と“リンパ球”に分類されます。

 

  • 顆粒球:「好中球」、「好酸球」、「好塩基球」の3つの総称
  • リンパ球:「T細胞」、「B細胞」、「NK細胞」の3つの総称

 

今回ご紹介するPTCLは、血球細胞の中でも「リンパ球のT細胞」が異常増殖することで発症する疾患です。

症状としては、リンパ節の腫れやしこり、発熱、大量の寝汗、体重減少などがみられることがあります。

 

基本的な治療は抗がん剤の多剤併用による化学療法で、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4種類の薬剤を用いるCHOPチョップ療法が一般的に行われています。1)

このCHOP療法で腫瘍細胞が消えた(完全奏効)場合、治療は終了で、以後は経過観察のみです。

 

ただし、CHOP療法で治療効果が認められなかった難治性の場合、または完全奏効後に再発した場合には、次に使用できる薬剤は限られていました。

 

木元 貴祥
ダルビアスはCHOP療法で抵抗性が見られた場合や再発の場合に使用できます。

 

類薬として、以下の薬剤も使用可能ですね。

 

ダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序

ダルビアスは有機ヒ素化合物で、腫瘍細胞に作用すると、活性酸素の増加、およびミトコンドリア障害作用を引き起こします。

ダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序:ミトコンドリア障害作用

 

その結果、シトクロムCの増加や、タンパク質分解酵素のカスパーゼが増加し、アポトーシスが誘導されると考えられています。

 

木元 貴祥
ミトコンドリアに作用するのは面白い作用機序ですね~。正常細胞への影響も気になるところです。

 

エビデンス紹介

根拠となった臨床試験は、日本を含むアジア圏で行われた第Ⅱ相臨床試験です。2)

論文未公表のため、学会情報を掲載しています。

 

本試験は再発または難治性の末梢T細胞リンパ腫患者さんを対象に、ダルビアス単剤の有効性と安全性を検討した試験です。

 

主要評価項目は「6サイクル終了後の全奏効率」とされ、結果は19%(90%CI:11.2-29.9%)と、予め設定した下限値10%を超えたため、達成しています。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

前述の臨床試験では発熱(42%)、貧血(25%)、血小板減少症(20%)、食欲不振(20%)が発現していました。

 

用法・用量

通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/m2(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬します。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返します。

患者の状態により適宜減量

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ダルビアスはこんな薬

  • 有機ヒ素化合物でミトコンドリア障害作用を有する
  • 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫に使用する

 

再発・難治性の末梢性T細胞リンパ腫は治療選択肢が限られていたため、新たな治療の登場は朗報ではないでしょうか。

 

以上、今回は末梢性T細胞リンパ腫とダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序について解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版
  2. Blood (2021) 138 (Supplement 1): 1376.

 

失敗しない薬剤師の転職とは?

数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト

どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。

  • 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
  • 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
  • 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!

上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!

薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較

続きを見る

コロナ渦で改定しました。

 

日々の情報収集に最適

薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選
  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
私の勉強法紹介

-11.血液・造血器系, 12.悪性腫瘍
-