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2022年8月18日、新薬7製品が薬価収載されました!
前回から見送られていたモノヴァー(デルイソマルトース第二鉄)は、今回も見送りです。同様に見送られていたメグルダーゼ静注用(グルカルピダーゼ)もまだ議題に挙がっていません。
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モノヴァー(デルイソマルトース第二鉄)の作用機序・特徴【鉄乏性貧血】
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その他、糖尿病治療薬のリベルサス錠(セマグルチド)は、費用対効果評価による薬価引き下げが了承され、2022年11月1日から薬価が下がります。
2022年8月18日:薬価収載の7製品
2022年8月18日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。
製品名 (一般名) |
規格 | 薬価 | 効能・効果 (簡略) |
エパデールEMカプセル (イコサペント酸エチル) |
2g1包 | 113.00円 | 高脂血症 |
イグザレルト錠 (リバーロキサバン) |
2.5mg1錠 | 117.80円 | 血液凝固阻止剤 |
ジェセリ錠 (ピミテスピブ) |
40mg1錠 | 6,265.00円 | 消化管間質腫瘍 |
ラゲブリオカプセル (モルヌピラビル) |
200mg1カプセル | 2,357.80円 | SARS-CoV-2による 感染症 |
ボックスゾゴ皮下注用 (ボソリチド) |
0.4mg1瓶(溶解液付) 0.56mg1瓶(溶解液付) 1.2mg1瓶(溶解液付) |
121,034円 124,241円 124,994円 |
軟骨無形成症 |
ダルビアス点滴静注用 (ダリナパルシン) |
135mg1瓶 | 31,692円 | 末梢性T細胞リンパ腫 |
エジャイモ点滴静注 (スチムリマブ) |
1.1g22mL1瓶 | 244,074円 | 寒冷凝集素症 |
薬価の算定方法
各薬剤の薬価算定方法は2022年8月10日の中医協総会の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。
エパデールEM:規格間調整(エパデールS)
エパデールEMはエパデールSの改良版のため、規格間調整によって算定されました。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しています。
- エパデールEMカプセル2g:113.00円(1日薬価:113.00円)
当初算定案では「類似薬に比して、投与回数の減少等高い医療上の有用性を有することが、客観的に示されていること」に該当するため、加算(5%)の要望がありましたが、以下の理由より残念ながら却下されていました。。
上記不服意見に対する見解
- 審査報告書では、「既存品と同等の有効性及び安全性が期待できる薬剤であると判断でき、トリグリセリドが高値を示す脂質異常症患者における本薬投与の選択肢を増やす薬剤として本剤を臨床現場に提供する意義はある」と評価されていることから、本剤は既存品と同等であり、EPA製剤の選択肢の一つにすぎないと考えられ、類似薬に比して高い医療上の有用性を有するとまでは認められない。
⇒当初算定案どおりとする
ピーク時の予測販売金額は40億円です。
作用機序や特徴、既存品との比較については以下の記事で解説しています♪
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エパデールEM(イコサペント酸エチル)の作用機序|エパデールとの違い【高脂血症】
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イグザレルト錠2.5mg:規格間調整
イグザレルト錠2.5mgは、既存の10mg/15mgに追加された新用量・剤形追加に係る医薬品のため、規格間調整によって算定されました。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しています。
- イグザレルト錠2.5mg:117.80円(1日薬価:235.60円)
ピーク時の予測販売金額は62億円です。
作用機序や特徴については以下の記事で解説しています。
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イグザレルト(リバーロキサバン)の作用機序と副作用【静脈血栓塞栓症】
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ジェセリ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(スチバーガ)【加算あり】
ジェセリは、同じく消化管間質腫瘍(GIST)に使用するスチバーガ(レゴラフェニブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
元々の薬価は1錠5,966.70円でしたが、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)の対象のため、1.05倍の以下の薬価に決定しました。
- スチバーガ錠40mg:5,682.60円(1日薬価:17,047.80円)
- ジェセリ錠40mg:6,265.00円(1日薬価:17,900.00円)
加算の根拠
- 有用性加算(Ⅱ):本剤はHSP90を標的とする新規作用機序医薬品であり、主要評価項目であるPFSを有意に延長した等の臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。
ピーク時の予測販売金額は1.0億円です。
疾患解説と作用機序については以下の記事をご覧くださいませ。
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ジェセリ(ピミテスピブ)の作用機序【GIST】
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ラゲブリオ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ベクルリー)【加算あり】
ラゲブリオは、同じくSARS-CoV-2による感染症に使用するベクルリー(レムデシビル)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
元々の薬価は1カプセル2,143.40円でしたが、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)の対象のため、1.1倍の以下の薬価に決定しました。
- ベクルリー点滴静注用100mg:63,342円(1日薬価:63,342円)
- ラゲブリオカプセル200mg:2,357.80円(1日薬価:18,862.40円)
加算の根拠
- 有用性加算(Ⅱ):本剤は「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」で有効性の確立した承認薬として紹介されており標準的治療法になると考えられること、注射剤である比較薬に対し経口剤の本剤は利便性が向上していることから、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)を適用することが適当と判断した。
ピーク時の予測販売金額は138億円です。
作用機序について以下の記事をご覧ください♪
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ラゲブリオ(モルヌピラビル)の作用機序・特徴【COVID-19】
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ボックスゾゴ:原価計算方式【加算あり】
ボックスゾゴと同様の効能・効果を有する既収載品としてはソマトロピンが存在しますが、構造及び薬理作用が異なることから、本剤に新薬算定最類似薬はないと判断されています。
算定方式は原価計算方式 です。
有用性加算(Ⅱ)(A=5%)と市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象でしたが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数がゼロに。
結果、加算はなく以下の薬価に決定です。
- ボックスゾゴ皮下注用0.4mg:121,034円
- ボックスゾゴ皮下注用0.56mg:124,241円
- ボックスゾゴ皮下注用1.2mg:124,994円
加算の根拠
- 有用性加算(Ⅱ):本剤は、ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド類縁体であり、ナトリウム利尿ペプチド受容体Bを活性化することで線維芽細胞増殖因子受容体シグナル伝達を抑制し、軟骨内骨化を促進する新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算(Ⅰ):本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。
ピーク時の予測販売金額は232億円です。
ちなみに、ボックスゾゴは在宅自己注射が了承されましたので、2022年8月18日から在宅自己注射が可能です。
作用機序と疾患解説については以下をご覧ください♪
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ボックスゾゴ(ボソリチド)の作用機序・特徴【軟骨無形成症】
続きを見る
ダルビアス:類似薬効比較方式(Ⅰ)(イストダックス)
ダルビアスは、同じく末梢性T細胞リンパ腫に使用するイストダックス(ロミデプシン)の1日薬価に合わせて算出されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ) です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- イストダックス点滴静注用10mg:111,785円(1日薬価:25,152円)
- ダルビアス点滴静注用135mg:31,692円(1日薬価:25,152円)
ピーク時の予測販売金額は11億円です。
作用機序については以下の記事で解説しています♪
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ダルビアス(ダリナパルシン)の作用機序【末梢性T細胞リンパ腫】
続きを見る
エジャイモ:原価計算方式【加算あり】
エジャイモは同様の効能・効果、薬理作用を有する既収載品はないこと等から新薬算定最類似薬はないと判断されました。
算定方式は原価計算方式 です。
有用性加算(Ⅱ)(A=5%)と市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象でしたが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数がゼロに。
結果、加算はなく以下の薬価に決定です。
- エジャイモ点滴静注1.1g:244,074円
なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序だからですね。
加算の根拠
- 有用性加算(Ⅱ):寒冷凝集素症に対する既存治療は支持療法のみであったところ、本剤は6カ月以内の輸血歴を有する寒冷凝集素症患者に対して有効性が示されており、有効性が期待できることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算(Ⅰ):本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。
ピーク時の予測販売金額は22億円です。
費用対効果評価による薬価引き下げ(リベルサス):2022年11月1日より
2016年度より試行的に医薬品などの費用対効果評価が行われており、リベルサスはその対象とされていました。
その結果、2022年11月1日より、現在販売されているリベルサスの薬価は以下に減額されます。約2.5%の減ですね。
- リベルサス錠3mg:143.20 円 ⇒ 139.60 円
- リベルサス錠7mg:334.20 円 ⇒ 325.70 円
- リベルサス錠14mg:501.30 円 ⇒ 488.50 円
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リベルサス(経口のセマグルチド)の作用機序と特徴【糖尿病】
続きを見る
その他、腎細胞がん・肝細胞がんに使用されているカボメティクス(カボザンチニブ)の費用対効果評価も行われましたが、価格調整係数(β)が1.0のため価格調整において「変更なし」とされました。
あとがき
今回は7製品中4製品が加算品目でしたね!
これまで無償提供されていたラゲブリオカプセル(モルヌピラビル)は、今回薬価収載されます。今後、流通や保険償還がどのようになるのかは、通知等で確認したいと思います!
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ラゲブリオ(モルヌピラビル)の作用機序・特徴【COVID-19】
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以上、今回は2022年8月18日に薬価収載された新薬7製品についてご紹介しました!
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