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2022年6月20日、「軟骨無形成症」を対象疾患とするボックスゾゴ皮下注用(ボソリチド)が承認されました!
BioMarin Pharmaceutical Japan|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ボックスゾゴ皮下注用0.4mg/0.56mg/1.2mg |
一般名 | ボソリチド(遺伝子組換え) |
製品名の由来 | VOX(VOはVOsoritideより、またVOXはラテン語で「声」を意味する) +ZO(接続)+GO(英語のGO)に由来する。 |
製造販売 | BioMarin Pharmaceutical Japan(株) |
効能・効果 | 骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症 |
用法・用量 | 通常、ボソリチド(遺伝子組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、 2歳未満の患者には30μg/kgを1日1回、皮下注射する。 ただし、1回投与量は1mgを超えないこと。 |
収載時の薬価 | 0.4mg1瓶:121,034円 0.56mg1瓶:124,241円 1.2mg1瓶:124,994円 |
発売日 | 2022年8月25日新発売(HP) |
ボックスゾゴは、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体に分類されています!
これまで、軟骨無形成症に対しては、対処療法や成長ホルモン療法しかありませんでした。
今回は軟骨無形成症とボックスゾゴ(ボソリチド)の作用機序について解説します。
軟骨無形成症とは
軟骨無形成症(achondroplasia:ACHと略される)は、四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患の代表で、およそ2万出生に1人の割合で発生する指定難病です。1)
国内の患者数はおおよそ6,000人と推察されています。
代表的な症状としては、
- 低身長:一般的な成人と比較して男性で約45cm、女性で約40cmの低身長
- 腕及び下肢の近位部分の不均衡な短縮等の骨格構造の変化
- 頚部の屈曲制限、後弓反張、四肢麻痺、深部腱反射の亢進、下肢のクローヌス
- 中枢性無呼吸
などが挙げられています。
また、死亡率が高く、平均寿命は健常人と比較して約10年短いとされています。
原因
原因は遺伝子異常によるとされていますが、先天性ではなく、約90%以上は新規突然変異によるものと考えられています。1)
通常、骨の骨端線(成長板)と呼ばれる部位で軟骨細胞が増殖・成長することで、骨が伸長・成長します。そして、軟骨細胞の増殖の際、負の調節因子として働いているタンパク質が「FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)」です。
軟骨無形成症ではFGFR3遺伝子変異によって、FGFR3が常に活性化されています。すると、下流にあるRAF-1と呼ばれるタンパク質が活性化し、それによって、軟骨細胞の増殖が抑制されます。
治療
現在、根本的な治療法はありません。
よって、各症状に応じた対症療法が基本です。
例えば、頭蓋内圧亢進症状がある場合にはシャント手術、低身長に対しては創外固定を用いた四肢延長術や成長ホルモン療法などが行われます。
ボックスゾゴ(ボソリチド)の作用機序
ボックスゾゴはC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体に分類されています。
通常、生体内にも内因性CNPは存在していますが、エンドペプチダーゼによって速やかに分解されてしまいます。
ボックスゾゴは、内因性CNPのC末端側にアミノ酸2残基(Pro-Gly)を付加して修飾したペプチドです。修飾することで、エンドペプチダーゼ耐性を有するようになり、内因性CNPと比べて半減期が延長しています!
投与されたボックスゾゴは、軟骨細胞のNPR-B(ナトリウム利尿ペプチド受容体B)に作用します。NPR-Bは、FGFR3の下流にあるRAF-1と拮抗しています。
つまり、NPR-Bが活性化されると、RAF-1の働きが抑制されるため、FGFR3からの負の活性化が解除さるというわけですね!
このような作用機序によって、軟骨細胞の増殖・成長が促進され、結果として骨の成長・伸長に繋がると考えられています!
もちろん、軟骨細胞が成長できることが前提のため、骨端線が存在している必要があります。従って、効能・効果は「“骨端線閉鎖を伴わない=骨端線が存在している”軟骨無形成症」、と縛りが付いています。
通常、成長期を過ぎると骨端線は消失します。
エビデンス紹介
根拠となった主な臨床試験は以下の通りです。
- 111-206試験:5歳未満を対象
- 111-301試験:5歳以上18歳未満を対象2)
今回は代表として、111-301試験をご紹介します。2)
本試験は、5歳以上18歳未満の軟骨無形成症患者さんを対象に、プラセボとボックスゾゴを比較する国際共同第Ⅲ相臨床試験(日本人含む)です。
主要評価項目は「立位身長に基づく、52週時の年間成長速度のベースラインからの変化量」とされ、結果は以下の通りでした。
プラセボ | ボックスゾゴ | |
52週時の年間成長速度の ベースラインからの変化量 |
0.13cm/年(95%CI:−0.18~0.45) | 1.71cm/年(95%CI:1.40~2.01) |
変化量の差:1.57(95%CI:1.22~1.93) p<0.0001 |
副作用
10%以上に認められる副作用として、低血圧、嘔吐(27%)、注射部位反応(85%)、血中アルカリホスファターゼ増加などが認められています。
重大な副作用は特に挙げられていませんね。
用法・用量、在宅自己注射
通常、ボソリチド(遺伝子組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1日1回、皮下注射します。
ただし、1回投与量は1mgを超えないこと。
2022年8月10日の中医協総会にて、在宅自己注射が了承されましたので、2022年8月18日から在宅自己注射が可能です。
収載時の薬価
収載時(2022年8月18日)の薬価は以下の通りです。
- ボックスゾゴ皮下注用0.4mg:121,034円
- ボックスゾゴ皮下注用0.56mg:124,241円
- ボックスゾゴ皮下注用1.2mg:124,994円
算定根拠については以下で解説しています。
-
【新薬:薬価収載】7製品(2022年8月18日)
続きを見る
まとめ・あとがき
ボックスゾゴはこんな薬
- C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)類縁体
- NPR-Bに作用し、FGFR3からの負の活性化を解除することで骨の成長を促進させる
- 1日1回皮下注投与
これまで、軟骨無形成症の治療は対症療法が基本だったため、新たな治療選択肢が望まれていました。
ボックスゾゴは新規の作用機序を有しているため、予後改善に寄与できるのではないでしょうか。
以上、今回は軟骨無形成症とボックスゾゴ(ボソリチド)の作用機序について解説しました!
引用文献・資料等
- 難病情報センター|軟骨無形成症(指定難病276)
- 111-301試験:Lancet. 2020 Sep 5;396(10252):684-692.
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