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2024年6月24日、「てんかん」を対象疾患とするブリィビアクト錠/点滴静注(ブリーバラセタム)が承認されました!
ユーシービージャパン|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ①ブリィビアクト錠25mg/50mg ②ブリィビアクト静注25mg |
一般名 | ブリーバラセタム |
製品名の由来 | 該当資料なし |
製造販売 | ユーシービージャパン(株) |
効能・効果 | ①てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む) ②一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するブリーバラセタム経口製剤の代替療法 :てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」 |
用法・用量 | ①通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与する。 なお、症状により1日200mgを超えない範囲で適宜増減できる。 ② ●ブリーバラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合:通常、ブリーバラセタム経口投与と 同じ 1 日用量及び投与回数にて、1 回量を 2 分から 15 分かけて静脈内投与する。 ●ブリーバラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:通常、成人にはブリーバラセタムとして 1 日 50mg を 1 日 2 回に分け、1 回量を 2 分から 15 分かけて静脈内投与する。 いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1 日最高投与量は 200mg とする。 |
収載時の薬価 | 25mg錠:373.30円 50mg錠:609.30円 静注:薬価未収載 |
発売日 | 錠剤:2024年8月30日(HP) |
ブリィビアクトはシナプス小胞タンパク2A(SV2A)に結合することで、てんかんの症状を抑制します。作用機序としては、イーケプラ(レベチラセタム)と同様ですね。
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イーケプラ(レベチラセタム)の作用機序と副作用【てんかん】
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今回はてんかんとブリィビアクトの作用機序について解説していきます。
てんかんとは
日本におけるてんかん患者は約100万人と報告されています。
通常、脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働くことで正常な状態を保っています。
しかし、何らかの原因で興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。
そうすると脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。
これが、てんかんによる発作の発生機序です。
てんかんの種類と治療
てんかんは、発作のタイプによって、「部分てんかん」(約60%)と、「全般てんかん」(約40%)に大別されています。
部分てんかんは、脳の一部が興奮することで引き起こされ、全般てんかんは脳の全体もしくは大部分が興奮することで引き起こされます。
部分てんかんの第一選択薬として、テグレトール(カルバマゼピン)、ラミクタール(ラモトリギン)、イーケプラ(レベチラセタム)、次いでエクセグラン(ゾニサミド)、トピナ(トピラマート)が推奨されています。1)
今回ご紹介するブリィビアクトは、イーケプラと同じ作用機序かつ、同治療ラインで効果が認められているため、同列で推奨されるものと予想しています。
なお、全般てんかんの中でも重篤な発作型の一つでもある“強直間代発作”は、突然の転倒による重篤なけがの恐れがあるほか、その発作頻度は「てんかん患者の予期せぬ突然死」の最も重要な危険因子とされ、てんかんの中でも極めて重篤な発作型の一つです。
また、てんかんの発作症状が持続したり、意識障害があるまま短時間で反復したりする状態が「てんかん重積状態」です。こちらについては別記事で解説しますね。
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ブコラム口腔用液(ミダゾラム)の作用機序・特徴【てんかん】
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イーケプラについては、てんかん重積状態にも使用可能ですが、現時点ではブリィビアクトは使用できません。
脳の興奮系と抑制系
脳の興奮系と抑制系のバランスは以下の神経によって調整されています。
- 興奮系神経:グルタミン神経
- 抑制系神経:GABA(γ-アミノ酪酸)神経
グルタミン神経から分泌されるグルタミン酸が「NMDA受容体」や「AMPA受容体」に結合することで脳が興奮します。
一方、GABA神経から分泌されるGABAが「GABA受容体」に結合することで脳の興奮が抑制されます。
通常、てんかん発作時には興奮系の神経(グルタミン神経)が強く働いているため、
- 興奮系神経を抑制する
- 抑制系神経の働きを亢進する
といった治療が必要になります。
ブリィビアクト(ブリーバラセタム)の作用機序
グルタミン神経内のグルタミン酸は、SV2A(シナプス小胞タンパク質2A)と呼ばれる箇所から放出されます。
ブリィビアクトは、SV2Aに結合してグルタミン酸の放出を抑制するといった作用機序を有する薬剤です。
グルタミン酸の放出が抑制される結果、神経の異常興奮が抑えられ、てんかんの症状緩和に繋がると考えられます。
エビデンス紹介:3つの第Ⅲ相臨床試験
代表的な臨床試験として、海外で実施された3つの第Ⅲ相臨床試験があります。2)
統合解析の結果、いずれの用量(1日50mg、100mg、200mg)においてもプラセボと比較して有意な改善が認められています。また、イーケプラの既治療例においても効果が認められていました。
なお、イーケプラと併用した場合のブリィビアクトの上乗せは特段認められていなかったとのことです。2-3)
用法・用量
剤形としては、錠剤と注射剤がありますが、基本は錠剤による経口投与です。
注射剤は、一時的に経口投与ができない患者における経口製剤の代替療法として使用されます。
<錠剤>
通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与します。
なお、症状により1日200mgを超えない範囲で適宜増減できます。
<点滴静注>
- ブリーバラセタムの経口投与から本剤に切り替える場合:通常、ブリーバラセタム経口投与と同じ 1 日用量及び投与回数にて、1 回量を 2 分から 15 分かけて静脈内投与します。
- ブリーバラセタムの経口投与に先立ち本剤を投与する場合:通常、成人にはブリーバラセタムとして1 日 50mg を 1 日 2 回に分け、1 回量を 2 分から 15 分かけて静脈内投与します。
いずれの場合においても、症状により適宜増減できるが、1 日最高投与量は 200mg とします。
副作用
3%以上に認められる副作用として、傾眠(14.9%)、浮動性めまい(10.9%)、疲労などが報告されています。
重大な副作用として、
- 攻撃性(0.3%)
が挙げられていますので、特に注意が必要です。
添付文書では「攻撃性、激越、精神病性障害、易刺激性等の精神症状があらわれ、自殺企図に至ることもあるので、本剤投与中は患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。」との記載があります。
イーケプラとの副作用の違い
直接比較はできませんが、各添付文書・インタビューフォームから主な副作用の頻度を抜粋してみました。
副作用 | イーケプラ | ブリィビアクト |
浮動性めまい | 10.4% | 10.9% |
頭痛 | 11.8% | 2.8% |
傾眠 | 27.9% | 14.9% |
鼻咽頭炎 | 30.2% | 0.3% |
直接比較の臨床試験は実施されていないため、明確な比較・差は不明です。参考程度としてください。
ブリィビアクトのSV2Aへの親和性は、イーケプラよりも高いと考えられています。3)
そのためブリィビアクトでは、イーケプラでしばしば問題となる頭痛や傾眠の軽減が期待されています。ただし、メタ解析において、ブリィビアクトとイーケプラの頭痛や傾眠の頻度に差はなく、むしろブリィビアクトではめまいの頻度が増加するといった報告もありました。4)
収載時の薬価
収載時(2024年8月15日)の薬価は以下の通りです。
- ブリィビアクト錠25mg:373.30円(1日薬価:746.60円)
- ブリィビアクト錠50mg:609.30円
算定根拠については、以下の記事で解説しています♪
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【新薬:薬価収載】12製品(2024年8月15日)
続きを見る
イーケプラとの違い・比較
ブリィビアクトの類薬としては、部分てんかんに使用するイーケプラ(レベチラセタム)があります。
現時点で判明している情報を元に、一覧表としてまとめましたのでご参照ください♪
なお、ブリィビアクトは現時点では成人のみのため、小児には使用できません。
その他、イーケプラは腎機能による調節が必須ですが、ブリィビアクトは不要です。
まとめ・あとがき
ブリィビアクトはこんな薬
- 部分てんかんに使用する新規のSV2A作用薬
- グルタミン酸の放出を抑制し、神経の異常興奮を抑える
- 1日2回の投与
ブリィビアクトは、既に世界50か国以上で使用されている薬剤です。
これまで、SV2Aに作用する薬剤としてはイーケプラ(レベチラセタム)しかありませんでしたので、ブリィビアクトも新たな治療選択肢として期待されています。
以上、今回はてんかんとブリィビアクト(ブリーバラセタム)の作用機序についてご紹介しました!
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