9.眼疾患

セタネオ点眼液(セペタプロスト)の作用機序【緑内障】

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2025年7月31日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて、「緑内障、高眼圧症」を効能・効果とするセタネオ点眼液(セペタプロスト)の承認が了承されました!

参天製薬|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名 セタネオ点眼液0.002%
一般名 セペタプロスト
製品名の由来
製造販売 参天製薬(株)
効能・効果 緑内障、高眼圧症
用法・用量 1回1滴、1日1回点眼する
収載時の薬価
発売日

 

セタネオは、FP受容体作動に加えてEP3受容体作動も有する新規作用機序のプロスタノイド受容体関連薬です!

 

木元 貴祥
木元 貴祥
従来のFP受容体作動薬よりも眼圧効果作用が高いことが期待されていますよ♪EP3受容体作動薬は国内初です。

 

今回は緑内障を中心に、セタネオ点眼液(セペタプロスト)の作用機序・特徴について解説します。

 

緑内障と症状

緑内障は眼の病気です。

眼の見えている範囲が徐々に狭くなったりボヤけたりしていき、治療が遅れてしまうと最悪失明に至ってしまいます。

 

高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症すると推定されています。1)

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ただし、早期に治療を開始すれば失明することはほぼありませんので、早めの発見・診断・治療が重要です。

 

緑内障の原因と眼房水の排出経路

緑内障は眼の中の圧力(眼圧)が異常に上昇することで視神経が圧迫されて生じます。

 

眼圧を調整する物質として眼の中の水(眼房水)があります。

通常は、眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしていますね。

 

何らかの異常によって眼房水の量が増えてしまうと、眼の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が上昇してしまいます。

 

 

通常、眼房水は以下の排出経路によって排出されます。

  • 主経路:シュレム管(経線維柱帯流出路)による排出(約90%
  • 副経路:ブドウ膜強膜流出路による排出(約10%

Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ほとんどがシュレム管による主経路ですが、一部、ブドウ膜強膜による副経路ですね。

 

しかし緑内障では様々な原因によって上記の排出経路が障害されて眼の中に貯留してしまいます。

また、緑内障は原因によって大きく以下の分類があります。

①原発緑内障 排泄経路が障害されているもの。
隅角が開いている「原発開放隅角緑内障」と、
隅角が閉じている「原発閉塞隅角緑内障」に分類される。
②小児緑内障 先天性のもの。
③続発緑内障 他の原因(外傷や網膜剥離、薬物の副作用等)によるもの。

 

緑内障の治療

緑内障の治療の原則は眼圧を下げることです。

 

主な治療には以下がありますが、「原発開放隅角緑内障」の場合は主には薬物治療が基本となります。

  • 薬物治療
  • レーザー治療
  • 手術

 

薬物治療のうち、局所投与薬(点眼薬等)には以下の選択肢があります。2)

 

木元 貴祥
木元 貴祥
主には眼房水の産生抑制、もしくは排出促進ですね。

 

第一選択薬で推奨されているのはプロスタノイド受容体関連薬で、その他にはアドレナリンβ受容体遮断薬がよく用いられています。

 

プロスタノイドFP受容体作動薬(プロスタグランジンF2α誘導体製剤)については以下の記事で作用機序や一覧表をまとめていますのでご参考ください。

【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧

続きを見る

 

最近では、新規作用機序のプロスタノイドEP2受容体作動であるエイベリス(一般名:オミデネパグ)も登場してきました。

エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】

続きを見る

 

基本は単剤から治療を開始しますが、眼圧が十分に下がらない場合、別の単剤への切り替え(作用機序の異なる薬剤等)、もしくは副作用に注意しながら併用療法が行われます。

 

今回ご紹介するセタネオ点眼液は、

  • プロスタノイドFP受容体作動
  • プロスタノイドEP3受容体作動

を共に有する新規のプロスタノイド受容体関連薬で、第一選択薬として使用可能です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
EP3受容体作動は国内では初の登場ですね(EP2受容体作動はエイベリス)。

 

セタネオ点眼液(セペタプロスト)の作用機序・特徴

セタネオは、プロスタノイドFP受容体およびEP3受容体に対するデュアル作動薬です。

 

投与後、エステラーゼによって速やかに加水分解され、活性代謝物が両受容体に作用することで、

  • FP受容体を介した副経路(ブドウ膜強膜流出路)からの眼房水排出
  • EP3受容体を介した主経路(シュレム管)+副経路からの眼房水排出

によって、眼内圧の低下が期待されています。3)

セタネオ(セペタプロスト)の作用機序:FP受容体作動&EP3受容体作動のデュアル作用によって眼内圧を低下させる

 

木元 貴祥
木元 貴祥
両経路から眼房水の排出を促進するため、より低濃度で副作用を軽減しながら従来のFP受容体作動薬と同程度の効果が期待できそうです!

 

エビデンス紹介:国内第Ⅲ相試験

根拠となった臨床試験は、国内で実施された第Ⅲ相試験です。4)

本試験は、開放隅角緑内障または高眼圧症患者さんを対象に、0.005%ラタノプロスト点眼液に対する0.002% セタネオ点眼液の1日1回点眼における眼圧下降効果の非劣性を検証した臨床試験です。

 

論文等で結果は未公表ですが、メーカーの資料4)によると、ラタノプロストに対する非劣性が確認されていました。

 

参考までに、先行して米国・日本で実施された第Ⅱ相試験(ANGEL試験)5)でも、0.005%ラタノプロスト点眼液と0.002% セタネオ点眼液の有効性は同程度であり、副作用の頻度はセタネオ群で低い傾向が認められていました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
副作用のプロファイルは同じでしたが、頻度が若干、セタネオ群で低かったですね。第Ⅲ相試験の詳細も気になるところです。

 

副作用

後日更新予定です。

前述の臨床試験では、FP受容体作動薬で特徴的な副作用である結膜充血や睫毛・眼瞼の変化がセタネオ投与でも認められていました。

 

用法・用量

1回1滴、1日1回点眼します。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

類薬(プロスタノイド受容体関連薬)との違い・比較

既に国内では、類薬として

  • プロスタノイドFP受容体作動薬:4製品
  • プロスタノイドEP2受容体選択性作動薬:1製品(エイベリス

が承認・販売されています。

エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】

続きを見る

 

木元 貴祥
木元 貴祥
セタネオを含めたプロスタノイド受容体関連薬については、正式承認後にまとめる予定です!

 

まとめ・あとがき

セタネオはこんな薬

  • FP受容体作動+EP3受容体作動を有する新規作用機序のプロスタノイド受容体関連薬
  • 主経路と副経路から眼房水の排出を促進することで眼圧を低下させる
  • 1日1回の点眼

 

木元 貴祥
木元 貴祥
緑内障の治療の中心はFP受容体作動薬ですが、継続していると、治療効果が得られないこともしばしばあります。

 

セタネオはEP3受容体作動といった新規作用機序も有しているので、新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。

 

以上、今回は緑内障を中心に、セタネオ点眼液(セペタプロスト)の作用機序・特徴やエビデンスについて解説しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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