PASSMED公式LINEの登録者特典|当サイトに掲載している図表の元データ&学習支援AI 薬科GPTをプレゼント♪

2025年12月3日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「子宮筋腫に基づく諸症状の改善」を効能・効果とするイセルティ錠(リンザゴリクス)の承認が了承されました!
キッセイ薬品工業|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | イセルティ錠100mg |
| 一般名 | リンザゴリクスコリン (国内開発番号:KLH-2109) |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | キッセイ薬品工業(株) |
| 効能・効果 | 子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善 ▶過多月経、下腹痛、腰痛、貧血 |
| 用法・用量 | 通常、成人には200mgを1日1回経口投与する。 なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。 |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
イセルティは新規のGnRH受容体拮抗薬(GnRHアンタゴニスト製剤)ですね!
-
-
レルミナ(レルゴリクス)の作用機序・特徴【子宮筋腫】
続きを見る
前立腺がんでは同様の作用機序を有するゴナックス(テガレリクス)が使用されていますね。
今回は子宮筋腫の概要と共に、イセルティ(リンザゴリクス)の作用機序、類薬のレルミナとの違いについてご紹介します。
子宮筋腫と女性ホルモン
子宮筋腫は子宮にできる腫瘍です。
悪性腫瘍(がん)ではなく、良性の腫瘍のため、転移などは起こさず致死的ではありません。
女性では珍しくない病気で、大きさが小さいものを含めると、30歳以上の女性の2割~3割にみられると言われています。
また、発生の部位によって、以下の3つの種類があります。
- 粘膜下筋腫:子宮の内側の粘膜
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉内
- 漿膜下筋腫:子宮の外側
発生や腫瘍の増大には卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が原因と考えられています。
従って、閉経後は女性ホルモン分泌が無くなるため、腫瘍は次第に縮小し、症状も落ち着きます。
では簡単に女性ホルモンが分泌されるまでのメカニズムについて説明します。
間脳にある視床下部と呼ばれる部位は様々なホルモンの分泌を調整しています。
例えば、視床下部から分泌されるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は下垂体前葉のGnRH受容体に作用し、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促進します。
LHとFSHは卵巣に作用し、それぞれプロゲステロンとエストロゲンの分泌を促します。

子宮筋腫の症状
腫瘍が小さい場合、ほとんど症状はありません。1)
大きくなると出血による貧血、月経痛、過多月経、過長月経などの症状が現れます。
またこの症状はプロゲステロンやエストロゲンの分泌が過剰になればなるほど強く出てしまい、QOLの低下にも繋がります。
子宮筋腫の治療
腫瘍が小さく症状が無い場合、無治療で経過観察を行います。1)
しかし腫瘍が大きい場合や症状が出ている場合、基本的には手術療法を行いますが、閉経間近の方や合併症で手術ができない方は薬物療法を行います。
主に使用される薬剤はLH-RH※アゴニスト製剤の以下があります。
- リュープリン注射用(一般名:リュープロレリン)⇒4週間に一度注射する
- スプレキュア点鼻液(一般名:ブセレリン)⇒1日3回、毎日点鼻する
※LH-RHはGnRHと同義です。
LH-RHアゴニスト製剤はGnRH受容体を一過性に刺激することから、投与初期にはLHとFSHが過剰に分泌されるフレアアップ現象が起こります。
その他、ガイドラインではGnRHアンタゴニスト製剤のレルミナ(レルゴリクス)も治療選択肢として掲載されています。1)
-
-
レルミナ(レルゴリクス)の作用機序・特徴【子宮筋腫】
続きを見る
イセルティ(リンザゴリクス)の作用機序と特徴
イセルティは新規のGnRHアンタゴニスト製剤です。
GnRHが下垂体前葉のGnRH受容体に結合できなくなり、LHとFSHの分泌が抑制されます。
その結果、卵巣からの女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)の分泌が抑制され、子宮筋腫に伴う諸症状の改善効果が得られると考えられます。

また、GnRH受容体の刺激作用は無いことからフレアアップ現象は発現しないと考えられます。
エビデンス紹介:KLH2301試験、KLH2302試験
根拠となった臨床試験は、リュープリンなどのGnRHアゴニスト製剤に対するイセルティの非劣性が証明されたKLH2301試験および、プラセボと比較検討したKLH2302試験です。2)
現時点では論文等が未報告ですが、メーカーのニュースリリースによれば、GnRHアゴニスト製剤に対する非劣勢および、プラセボに対する優越性が確認されているようでした。
副作用
正式承認後に更新予定です。
類薬のレルミナと同様、ほてり、不正子宮出血、月経過多、頭痛、多汗症、性器出血などが挙げられると考えられます。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
なお、エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるため、類薬のレルミナは6か月を超える投与は原則として行わないこととされています。
また、海外の添付文書を確認する限り、食事の影響はなさそうでした。類薬のレルミナは食事の影響がありますので、使い分けのヒントになるかもしれませんね!
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
レルミナとイセルティの違い:比較一覧表
イセルティが承認されれば、子宮筋腫に使用可能なGnRHアンタゴニスト製剤は2製品になります。
現時点までの情報を元に、2製品の違いについて一覧表を作成しました。

イセルティについては、子宮内膜症の第Ⅲ相試験を実施中とのことですので、今後の適応拡大が期待できると思います!
また、食事の影響が異なります。レルミナは食事の影響を受けますが、イセルティは食事の影響を受けにくいとされています。
正式承認後に情報追記・修正予定です!
まとめ・あとがき
イセルティはこんな薬
- 子宮筋腫に使用可能な国内2製品目のGnRHアンタゴニスト製剤
- LHとFSHの分泌抑制によって女性ホルモンの分泌を抑制する
- 1日1回の経口投与
これまで、子宮筋腫に使用するGnRHアンタゴニスト製剤はレルミナしかありませんでしたが、新たな選択肢としてイセルティが登場しました。
以上、今回は子宮筋腫とイセルティ(リンザゴリクス)の作用機序についてご紹介しました!
引用文献・資料等
- 日本産科婦人科学会|産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023
- キッセイ薬品工業ニュースリリース|GnRHアンタゴニスト「リンザゴリクス」の子宮筋腫を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験の結果について
\ 新薬情報オンラインの運営者が執筆! /
薬剤師におススメの記事
失敗しない薬剤師の転職とは?
数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト。
どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。
- 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
- 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
- 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!
上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!
-
-
薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較
続きを見る
日々の情報収集に最適
-
-
薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選


































