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2021年12月24日、レルミナ(レルゴリクス)の効能・効果に「子宮内膜症に基づく疼痛の改善」を追加することが承認されました!
あすか製薬|ニュースリリース
基本情報
製品名 | レルミナ錠 |
一般名 | レルゴリクス |
製品名の由来 | Relugolix+Illuminate (レルミナで女性の未来を明るくするというイメージ) |
製薬会社 | 製造販売:あすか製薬(株) 販売:武田薬品工業(株) |
効能・効果 | 〇子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善 過多月経、下腹痛、腰痛、貧血 〇子宮内膜症に基づく疼痛の改善 |
用法・用量 | レルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口投与する。 なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。 |
収載時の薬価 | レルミナ錠40mg:905.70円(1日薬価:905.70円) |
レルミナはGnRH受容体拮抗薬(アンタゴニスト)に分類されており、子宮筋腫に対しては初の作用機序を有する薬剤として2019年1月8日に承認されました。
前立腺がんでは同様の作用機序を有するゴナックス(一般名:テガレリクス)が使用されていますね。
今回は代表疾患として子宮筋腫とレルミナ(レルゴリクス)の作用機序についてご紹介します。
子宮筋腫と女性ホルモン
子宮筋腫は子宮にできる腫瘍です。
悪性腫瘍(がん)ではなく、良性の腫瘍のため、転移などは起こさず致死的ではありません。
女性では珍しくない病気で、大きさが小さいものを含めると、30歳以上の女性の2割~3割にみられると言われています。
また、発生の部位によって、以下の3つの種類があります。
- 粘膜下筋腫:子宮の内側の粘膜
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉内
- 漿膜下筋腫:子宮の外側
発生や腫瘍の増大には卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)が原因と考えられています。
従って、閉経後は女性ホルモン分泌が無くなるため、腫瘍は次第に縮小し、症状も落ち着きます。
では簡単に女性ホルモンが分泌されるまでのメカニズムについて説明します。
間脳にある視床下部と呼ばれる部位は様々なホルモンの分泌を調整しています。
例えば、視床下部から分泌されるGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)は下垂体前葉のGnRH受容体に作用し、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促進します。
LHとFSHは卵巣に作用し、それぞれプロゲステロンとエストロゲンの分泌を促します。
子宮筋腫の症状
腫瘍が小さい場合、ほとんど症状はありません。
大きくなると出血による貧血、月経痛、過多月経、過長月経などの症状が現れます。
またこの症状はプロゲステロンやエストロゲンの分泌が過剰になればなるほど強く出てしまい、QOLの低下にも繋がります。
子宮筋腫の治療
腫瘍が小さく症状が無い場合、無治療で経過観察を行います。
しかし腫瘍が大きい場合や症状が出ている場合、基本的には手術療法を行いますが、閉経間近の方や合併症で手術ができない方は薬物療法を行います。
主に使用される薬剤はLH-RH※アゴニスト製剤の以下があります。
- リュープリン注射用(一般名:リュープロレリン)⇒4週間に一度注射する
- スプレキュア点鼻液(一般名:ブセレリン)⇒1日3回、毎日点鼻する
※LH-RHはGnRHと同義です。
LH-RHアゴニスト製剤はGnRH受容体を一過性に刺激することから、投与初期にはLHとFSHが過剰に分泌されるフレアアップ現象が起こります。
レルミナ(レルゴリクス)の作用機序と特徴
レルミナはGnRH受容体拮抗薬(アンタゴニスト)です!
GnRHが下垂体前葉のGnRH受容体に結合できなくなり、LHとFSHの分泌が抑制されます。
その結果、卵巣からの女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)の分泌が抑制され、子宮筋腫に伴う諸症状の改善効果が得られると考えられます。
また、GnRH受容体の刺激作用は無いことからフレアアップ現象は発現しないと考えられます。
エビデンス紹介:TAK-385/CCT-002試験、TAK-385‐3008試験
リュープリンに対するレルミナの非劣性が証明されたTAK-385/CCT-002試験および、プラセボと比較検討したTAK-385‐3008試験が根拠となっています。1)
TAK-385/CCT-002試験は過多月経を有する子宮筋腫患者さんを対象に、リュープリン(一般名:リュープロレリン)に対するレルミナの非劣性を検証した国内第Ⅲ相臨床試験です。
本試験の主要評価項目は「投与6週後から12週後までのPBACスコア*合計点が10点未満である症例の割合」とされました。
試験群 | リュープリン群 | レルミナ群 |
PBACスコア*合計点が10点未満である症例の割合 | 83.1% | 82.2% |
群間差:-0.9 非劣性のp=0.0013 |
*PBACスコア:月経時の出血量を評価するスコア
上記臨床試験の結果、リュープリンと比較してレルミナの非劣性が確認されています。
副作用
主な副作用として、ほてり、不正子宮出血、月経過多、頭痛、多汗症、性器出血などが報告されています。
重大な副作用としては、
- うつ状態(1%未満)
- 肝機能障害(頻度不明)
- 狭心症(1%未満)
が挙げられていますので、特に注意が必要です。
用法・用量
通常、成人にはレルゴリクスとして40mgを1日1回食前に経口投与します。
なお、初回投与は月経周期1~5日目に行うこととされています。
収載時の薬価
収載時(2019年2月26日)の薬価は以下の通りです。
- レルミナ錠40mg:905.70円(1日薬価:905.70円)
算定方法等については以下の記事をご参照ください。
>>【新薬:薬価収載】13製品+再生医療等製品(2019年2月26日)
まとめ・あとがき
レルミナはこんな薬
- GnRH受容体拮抗薬(アンタゴニスト)
- LHとFSHの分泌抑制によって女性ホルモンの分泌を抑制する
- 1日1回の経口投与
これまで子宮筋腫に使用する薬物療法としては注射剤か点鼻薬しかありませんでした。1日1回の経口投与は患者さんにとって簡便で、副作用等の発現時には簡単に休薬が可能です。
治療選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか。
以上、今回は子宮筋腫とGnRH受容体拮抗薬のレルミナ(レルゴリクス)の作用機序についてご紹介しました!
引用文献・資料等
- レルミナ錠 添付文書
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