PASSMED公式LINEの登録者特典|当サイトに掲載している図表の元データ&学習支援AI 薬科GPTをプレゼント♪
今回の記事では関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎、新型コロナウイルス感染症などで使用されているJAK阻害薬のまとめを紹介していきます。
JAK阻害薬には経口薬として以下の8製品がありますが、悪性腫瘍に使用するジャカビ(ルキソリチニブ)と外用薬のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)については今回は割愛します。
- ゼルヤンツ(一般名:トファシチニブ)
- オルミエント(一般名:バリシチニブ)
- スマイラフ(一般名:ペフィシチニブ)
- リンヴォック(一般名:ウパダシチニブ)
- ジセレカ(一般名:フィルゴチニブ)
- サイバインコ(一般名:アブロシチニブ)
- リットフーロ(一般名:リトレシチニブ)
- 【本記事では割愛】ジャカビ(一般名:ルキソリチニブ) ※骨髄線維症・真性多血症に使用
それぞれ効能・効果に違いがありますので、作用機序と共に各薬剤の一覧表や違いについて解説していきますね!
炎症性疾患(リウマチ・乾癬・アトピー性皮膚炎など)の発症機序
関節リウマチ、乾癬、アトピー性皮膚炎などの明確な発症原因は不明確ですが、
- 家族歴・既往歴
- 外的要因
- 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)
などによって、炎症反応が引き起こされることで発症すると考えられています。
様々な原因によって、マクロファージやTh2細胞(ヘルパーT細胞の一種)からTNFα、IL-4、IL-6、IL-13、IL-22などのサイトカイン・ケモカインや化学伝達物質が放出され、これが作用することで疾患を誘発すると考えられています。
関節リウマチ
ジセレカ(フィルゴチニブ)の記事内で解説しています!
-
ジセレカ(フィルゴチニブ)の作用機序【関節リウマチ/潰瘍性大腸炎】
続きを見る
潰瘍性大腸炎
ゼルヤンツ(トファシチニブ)の記事内で解説しています。
-
ゼルヤンツ(トファシチニブ)の作用機序【関節リウマチ/潰瘍性大腸炎】
続きを見る
潰瘍性大腸炎の適応症を有するJAK阻害薬はゼルヤンツのみでしたが、2022年にはジセレカ(フィルゴチニブ)も適応拡大されました。
-
ジセレカ(フィルゴチニブ)の作用機序【関節リウマチ/潰瘍性大腸炎】
続きを見る
乾癬
リンヴォック(ウパダシチニブ)の記事内で解説しています。
-
リンヴォック(ウパダシチニブ)の作用機序【関節リウマチ/乾癬/アトピー性皮膚炎】
続きを見る
アトピー性皮膚炎
サイバインコ(アブロシチニブ)の記事内で解説しています。
-
サイバインコ(アブロシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】
続きを見る
その他、外用JAK阻害薬のコレクチム軟膏(デルゴシチニブ)も使用されていますね。
-
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎】
続きを見る
SARS-CoV-2による肺炎
いわゆる、新型コロナウイルス感染症ですね。これはJAK阻害薬の中でもオルミエント(バリシチニブ)のみが適応を有しています。
新型コロナウイルス感染症とオルミエントの使い方については併用するベクルリー(レムデシビル)の記事で解説!
-
ベクルリー(レムデシビル)の作用機序・副作用【COVID-19】
続きを見る
円形脱毛症
オルミエント(バリシチニブ)の記事内で解説しています。経口のJAK阻害薬では初の適応症です。
-
オルミエント(バリシチニブ)の作用機序【リウマチ/アトピー/COVID-19/円形脱毛症】
続きを見る
その後、JAK阻害作用にTECファミリーキナーゼ阻害作用を有するリットフーロカプセル(リトレシチニブ)も登場しました。
-
リットフーロカプセル(リトレシチニブ)の作用機序【円形脱毛症】
続きを見る
JAK阻害薬の作用機序
炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、IL-2等が炎症を引き起こす際、それらが各受容体に結合して刺激が核に伝えられます。
各受容体には「ヤヌスキナーゼ(JAK)」と呼ばれるタンパク質が付随していて、JAKを介してシグナルが核へと届けられます。
JAKには結合するサイトカインの受容体に応じてJAK1・JAK2・JAK3が知られている。
核内に刺激が到達すると、炎症反応が引き起こされ、関節リウマチや乾癬、アトピー性皮膚炎などが進行してしまいます。
JAK阻害薬はJAKを阻害することで、TNFαやIL-6による刺激が核に伝わるのを遮断して炎症を抑えるといった作用機序です。
炎症が抑えられる結果、各疾患の進行や症状緩和に繋がると考えられていますね。
注意すべき副作用(経口JAK阻害薬)
いずれの経口JAK阻害薬も重大な副作用として、
- 感染症:帯状疱疹及び肺炎等
- 消化管穿孔
- 好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少
- 肝機能障害:ALT上昇、AST上昇等
- 間質性肺炎
- 静脈血栓塞栓症
が挙げられていますので注意が必要です。
特に結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などの重篤な感染症は注意すべきでしょう。
経口のJAK阻害薬の比較一覧表
JAKが関与する代表的なサイトカインの受容体としては以下が知られています。
サイトカイン | 関与するJAK |
IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15 | JAK1、JAK3 |
IL-6 | JAK1、JAK2 |
IFN-α | JAK1 |
IFN-γ | JAK1、JAK2 |
G-SCF | JAK1、JAK2 |
日本薬理学雑誌 144 巻 (2014) 4 号, 160-166
各JAKへの選択性として、
- スマイラフ(ペフィシチニブ)とゼルヤンツ(トファシチニブ):JAK1とJAK3
- オルミエント(バリシチニブ):JAK1とJAK2
- リンヴォック(ウパダシチニブ)とジセレカ(フィルゴチニブ)とサイバインコ(アブロシチニブ):JAK1
を選択的に阻害することが知られています。
Expert Opin Investig Drugs. 2016 Dec;25(12):1355-1359. J Pharmacol Sci. 2017 Jan;133(1):25-33.
その他、効能・効果や用法・用量にも少し違いがありますので、以下に比較表としてまとめてみました☆
腎機能に関する禁忌項目や相互作用などに差があることが分かりますね。参考にしていただければ幸いです!
まとめ
JAK阻害薬はこんな薬
- 炎症性サイトカインのシグナル伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害する
- 経口薬8製品と外用薬1製品があり、それぞれ適応症が異なる
近年、様々な疾患でJAK阻害薬が開発されています。新型コロナウイルス感染症治療薬として登場したのはびっくりしました!
↓↓各薬剤のリンクはこちら↓↓
\ 新薬情報オンラインの運営者が執筆! /
薬剤師におススメの記事
失敗しない薬剤師の転職とは?
数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト。
どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。
- 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
- 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
- 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!
上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!
-
薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較
続きを見る
日々の情報収集に最適
-
薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選