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2020年3月25日、「緑内障、高眼圧症」を対象疾患とするアイラミド配合懸濁性点眼液(ブリモニジン/ブリンゾラミド)が承認されました!
千寿製薬|ニュースリリース
基本情報
製品名 | アイラミド配合懸濁性点眼液 |
一般名 | ●ブリモニジン酒石酸塩 ●ブリンゾラミド |
製品名の由来 | 本剤はブリモニジン酒石酸塩とブリンゾラミドを含有する配合点眼液である。 ブリモニジン酒石酸塩の単剤であるアイファガン点眼液0.1%の「アイ」と、 ブリンゾラミドの「ラミド」とを組み合わせて「アイラミド」とした。 |
製薬会社 | 製造販売元:千寿製薬(株) 販売:武田薬品工業(株) 提携:大塚製薬株(株) |
効能・効果 | 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合 :緑内障、高眼圧症 |
用法・用量 | 1回1滴、1日2回点眼する。 |
収載時の薬価 | 492.20円 |
ブリモニジンはアドレナリンα2受容体作動薬、ブリンゾラミドは炭酸脱水酵素阻害薬に分類されています。
ブリモニジンとブリンゾラミドの単剤は既に以下が承認・販売されています。
- ブリモニジン:アイファガン点眼液0.1%
- ブリンゾラミド:エイゾプト懸濁性点眼液1%
今回は緑内障を中心に、アイラミド配合点眼液の作用機序について解説します。
緑内障と症状
緑内障は眼の病気です。
眼の見えている範囲が徐々に狭くなったりボヤけたりしていき、治療が遅れてしまうと最悪失明に至ってしまいます。
高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症すると推定されています。1)
緑内障の原因と眼房水の排出経路
緑内障は眼の中の圧力(眼圧)が異常に上昇することで視神経が圧迫されて生じます。
眼圧を調整する物質として眼の中の水(眼房水)があります。
通常は、眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしていますね。
何らかの異常によって眼房水の量が増えてしまうと、眼の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が上昇してしまいます。
通常、眼房水は以下の排出経路によって排出されます。
- 主経路:シュレム管(経線維柱帯流出路)による排出(約90%)
- 副経路:ブドウ膜強膜流出路による排出(約10%)
Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.
しかし緑内障では様々な原因によって上記の排出経路が障害されて眼の中に貯留してしまいます。
また、緑内障は原因によって大きく以下の分類があります。
①原発緑内障 | 排泄経路が障害されているもの。 隅角が開いている「原発開放隅角緑内障」と、 隅角が閉じている「原発閉塞隅角緑内障」に分類される。 |
②小児緑内障 | 先天性のもの。 |
③続発緑内障 | 他の原因(外傷や網膜剥離、薬物の副作用等)によるもの。 |
緑内障の治療
緑内障の治療の原則は眼圧を下げることです。
主な治療には以下がありますが、「原発開放隅角緑内障」の場合は主には薬物治療が基本となります。
- 薬物治療
- レーザー治療
- 手術
薬物治療のうち、局所投与薬(点眼薬等)には以下の選択肢があります。2)
- プロスタノイド受容体関連薬:プロスタノイドFP受容体作動薬、プロスタノイドEP2受容体選択性作動薬
- アドレナリンβ受容体遮断薬
- 炭酸脱水酵素阻害薬
- アドレナリンα2受容体刺激薬
- アドレナリンα1受容体遮断薬
- 副交感神経刺激薬
- イオンチャネル開口薬
- ROCK阻害薬
第一選択薬で推奨されているのはプロスタノイド受容体関連薬で、その他にはアドレナリンβ受容体遮断薬がよく用いられています。
プロスタノイドFP受容体作動薬(プロスタグランジンF2α誘導体製剤)については以下の記事で作用機序や一覧表をまとめていますのでご参考ください。
-
【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧
続きを見る
最近では、新規作用機序のプロスタノイドEP2受容体作動であるエイベリス(一般名:オミデネパグ)も登場してきました。
-
エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】
続きを見る
基本は単剤から治療を開始しますが、眼圧が十分に下がらない場合、別の単剤への切り替え(作用機序の異なる薬剤等)、もしくは副作用に注意しながら併用療法が行われます。
今回ご紹介するアイラミド配合点眼液はα2受容体刺激薬と炭酸脱水酵素阻害薬の配合剤ですので、最初からは使用できません。
アイラミド配合点眼液(ブリモニジン/ブリンゾラミド)の作用機序
アイラミドの有効成分は、
- ブリモニジン:アドレナリンα2受容体作動薬
- ブリンゾラミド:炭酸脱水酵素阻害薬
です。
眼には様々な受容体が存在していて、ブリモニジンの明確な作用機序は不明とされていますが、アドレナリンα2受容体に作用することで
- 眼房水の産生抑制
- 眼房水の副経路(ブドウ膜強膜)からの排出促進
の作用を発揮すると考えられています。
また、眼房水が産生される際には炭酸脱水酵素という酵素が大きく関わっています。
毛様体側で二酸化炭素(CO2)と水(H2O)から重炭酸イオン(HCO3-)が合成されますが、その過程で作用するのが炭酸脱水酵素です。
毛様体側の重炭酸イオン(HCO3-)が後眼房側に移行すると、それに伴ってナトリウムイオン(Na+)と水(H2O)が移行していきますが、この移行した水が眼房水です。
よって、ブリンゾラミドによって炭酸脱水酵素が阻害されると、重炭酸イオン(HCO3-)が後眼房側に移行できなくなり、眼房水の産生も抑制されるということになります。
副作用
霧視(5%以上)、眼刺激(1~5%未満)、点状角膜炎(1~5%未満)などが報告されています。
用法・用量
1回1滴、1日2回点眼します。
収載時の薬価
収載時(2020年5月20日)の薬価は以下の通りです。
- アイラミド配合懸濁性点眼液1mL:492.20円
算定根拠等については以下の記事をご確認ください。
-
【新薬:薬価収載】18製品+再生医療等製品(2020年5月20日)
続きを見る
まとめ・あとがき
アイラミドはこんな薬
- 初のα2受容体作動薬と炭酸脱水酵素阻害薬の配合剤
- ブリモニジンのα2受容体作動による眼房水の産生抑制と排出促進
- ブリンゾラミドの炭酸脱水酵素阻害による眼房水の産生抑制
炭酸脱水酵素阻害薬とβ受容体遮断薬は既にいくつか承認・販売されていますが、α2受容体作動薬との配合は初です。
- コソプト配合点眼液
- アゾルガ配合懸濁性点眼液
α2受容体作動薬とβ受容体遮断薬の配合剤も国内初のアイベータ配合点眼液(ブリモニジン/チモロール)が承認・販売されていますので、もしご興味あればご確認ください。
-
アイベータ配合点眼液(ブリモニジン/チモロール)の作用機序【緑内障】
続きを見る
その際にはアドヒアランスの向上する配合剤が使用されますが、一方で副作用にも注意が必要となってきます。
配合剤にはいくつか種類がありますので、今後、どの配合剤がどういった患者さんに適しているのか検討が進めば興味深いですね。
以上、今回は緑内障と初のα2受容体作動薬と炭酸脱水酵素阻害薬の配合剤であるアイラミド配合懸濁性点眼液について解説しました。
プロスタグランジンF2α誘導体製剤の配合剤一覧表にについては以下の記事でまとめていますので併せてご覧ください。
-
【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧
続きを見る
参考資料・論文等
- 日本眼科医会|よくわかる緑内障―診断と治療―
- 日本眼科学会|緑内障診療ガイドライン(第5版)
- アイラミド配合懸濁性点眼液|添付文書
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