11.血液・造血器系 12.悪性腫瘍

オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序・特徴【急性リンパ性白血病】

2022年6月30日、「急性リンパ性白血病(ALL)、悪性リンパ腫」を対象疾患とするオンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の製造販売承認申請が行われました。

日本セルヴィエ|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名オンキャスパー?海外では「ONCASPAR」
一般名ペグアスパルガーゼ
製品名の由来
製造販売日本セルヴィエ(株)
効能・効果急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫?
用法・用量14日毎に筋注もしくは静注?
収載時の薬価
発売日

 

急性リンパ性白血病では、ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)がよく使用されていますが、オンキャスパーはL-アスパラギナーゼをポリエチレングリコール(PEG)で修飾したPEG化L-アスパラギナーゼ製剤です!

 

PEG化することで、血中半減期の延長(作用時間の延長)と、免疫原性の低下による過敏反応の低下が期待されていますね。

 

木元 貴祥
ロイナーゼは、しばしば過敏反応によって治療継続困難となるケースもありますからね・・・。期待です。

 

今回は代表疾患として、急性リンパ性白血病と共に、オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序について解説します。

 

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急性リンパ性白血病(ALL)

白血病は「血液のがん」です。

 

血液細胞には、白血球、赤血球、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気が白血病です。

急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphocytic Leukemia)は、白血球の中でも「リンパ球」が腫瘍化する疾患で、予後は不良とされています。

特に小児のがんの中ではALLが最も多いとされています。

 

また、腫瘍化するリンパ球によっていくつか分類されており、B細胞が腫瘍化した急性リンパ性白血病のことを「B細胞性急性リンパ性白血病」と呼んでいます。

この腫瘍化したB細胞のことを「白血病細胞」と呼んでおり、白血病細胞の表面にはしばしば「CD19」と呼ばれるタンパク質が発現していることが知られています。

B細胞性急性リンパ性白血病

 

急性リンパ性白血病の治療

基本的な治療は、抗がん剤の多剤併用療法(化学療法)です。

 

1カ月程の以下の化学療法(寛解導入療法)によって8割以上の患者さんでは「完全寛解」が得られ、その後も1~2年程、化学療法(地固め/維持化学療法)を継続していきます。1)

寛解導入療法

  • ビンクリスチン
  • プレドニゾロン
  • L-アスパラギナーゼ
  • ドキソルビシン or ダウノルビシン
  • シクロホスファミド

フィラデルフィア(Ph)染色体が陽性の場合、イマチニブを併用することもある

 

そしてその後も完全寛解が5年以上続けば、「治癒」に至ります。

 

このように、L-アスパラギナーゼはALLの標準治療に位置付けられていますが、しばしば過敏症によって治療継続が困難となるケースもあります。

 

今回ご紹介するオンキャスパーはPEG修飾されたL-アスパラギナーゼのため、免疫原性が低下し、過敏症のリスクが少ないと期待されていますよ!

 

 

ちなみに、寛解導入療法で1~2割の患者さんは抵抗性を示してしまいます。また、一度完全寛解が得られたとしても、約半数の患者さんは再発してしまいます。

 

このような抵抗性・再発の患者さんに対して、最近では以下の治療選択肢があります。

 

オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序

正常細胞や白血病細胞が増殖するためには、L-アスパラギンと呼ばれるアミノ酸が必須です。

L-アスパラギンは血中にも存在しているため、通常は血中から細胞内に取り込むことで利用しています。

 

また、正常細胞は細胞内のアスパラギン酸から、タンパク質合成過程によってL-アスパラギンを生成することも可能ですが、白血病細胞ではこの機能が欠損していることが多いと言われています。

L-アスパラギンは血中から取り込んで細胞増殖に利用される。腫瘍細胞は細胞内で合成できない。

 

木元 貴祥
そのため、白血病細胞の多くは、血中のL-アスパラギンを利用しています。

 

今回ご紹介するオンキャスパーは、血中のL-アスパラギンを分解するL-アスパラギナーゼ製剤です!

オンキャスパーによって、血中のL-アスパラギンが分解されるため、正常細胞と白血病細胞は細胞内に取り込むことができません。

L-アスパラギンは、アスパラギン酸とアンモニアに分解される

 

そのため、白血病細胞は増殖することができなくなり、抗腫瘍効果が発揮されるといった作用機序ですね!

一方で、正常細胞は細胞内でL-アスパラギンを生成することができるため、オンキャスパーによる副作用は低いと考えられています。

オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序:PEG化されたL-アスパラギナーゼ製剤

 

また、オンキャスパーはPEG化されているため、血中半減期が延長し、長時間作用できるといった特徴があります。

類薬のロイナーゼは、静注だと連日または隔日投与、筋注だと週1回または週3回の投与が必要でしたが、オンキャスパーは2週間に1度の投与で治療効果が期待されています。

 

加えて、PEG化することで免疫原性が低くなるため、過敏症の発現リスク低下も期待されています。これまでロイナーゼの過敏症で治療継続が困難だった場合にも、新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。

 

エビデンス紹介

論文等の情報がないため、後日更新予定です。

 

メーカーのニュースリリースによれば、フィラデルフィア染色体陰性日本人急性リンパ性白血病患者さんを対象に、他の抗悪性腫瘍剤との併用下においてオンキャスパーを静脈内投与した国内第Ⅱ相試験において、初回投与14日後における血中アスパラギナーゼ活性 0.1IU/mL 以上の達成率は100%だったとのことです。

また、ベースライン時に抗薬物抗体陰性でオンキャスパー投与後に抗体陽転を示した患者さんの割合は0%でした。

 

木元 貴祥
今後、正式な発表が気になりますね!

 

副作用

後日更新予定です。

 

類薬のロイナーゼでは、重篤な凝固異常が報告されています。

これは、L-アスパラギナーゼが肝臓において生成される凝固因子、凝固阻害因子、線溶因子の合成を阻害してしまうことによって、凝固・線溶系のアンバランスが生じ、出血や梗塞が起こると考えられているためです。

 

投与中は頻回にフィブリノーゲン、プラスミノーゲン、AT-Ⅲ、プロテインC等の検査を行うことが大事かもしれませんね。

 

用法・用量

後日更新予定です。

海外では14日に1度の投与とされています。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

オンキャスパーはこんな薬

  • L-アスパラギナーゼをPEG化した製剤
  • 血中のL-アスパラギンを分解する
  • PEG修飾したことで、血中半減期の延長と免疫原性の低下が期待できる

 

急性リンパ性白血病では、ロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)がよく使用されていますが、しばしば過敏症が問題となっていました。

 

木元 貴祥
オンキャスパーは新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。

 

以上、今回は急性リンパ性白血病と共に、オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序について解説しました。

 

引用文献・資料等

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版 第2版

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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