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オンデキサ(アンデキサネット)の作用機序【DOAC(抗Ⅹa薬)の中和】

2022年3月28日、「抗凝固作用の中和」を対象疾患とするオンデキサ静注用(アンデキサネット)が承認されました!

アレクシオンファーマ|ニュースリリース

基本情報

製品名オンデキサ静注用200mg
一般名アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)
製品名の由来特になし
会社製造販売:アレクシオンファーマ合同会社
販売:アストラゼネカ(株)
効能・効果FXa 阻害剤(アピキサバン、リバーロキサバン又はエドキサバン)投与中の
患者における、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和
用法・用量記事内参照
収載時の薬価338,671円
発売日2022年5月25日新発売(HP

 

これまで、DOACドアックの中でもトロンビン阻害薬のプラザキサ(ダビガトラン)については、出血時に中和抗体薬であるプリズバインド(イダルシズマブ)が使用可能でした。

しかし、Xa因子阻害薬(抗Ⅹa薬)については中和薬が存在せず、止血処理に加えて、保険適応外でプロトロンビン複合体製剤や遺伝⼦組換え第Ⅶ因⼦製剤が投与されていました。

 

木元 貴祥
オンデキサは抗Ⅹa薬の出血に対して使用可能な初の中和薬ですね!!!海外では使用可能でしたが、日本でもようやく!

 

今回は虚血性心疾患を中心に、DOACとオンデキサ(アンデキサネット)の作用機序・エビデンスについて解説します♪

 

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虚血性心疾患と血小板凝集

虚血性心疾患とは、心臓の栄養や酸素を供給する「冠動脈」が狭窄して詰まってしまうことで引き起こされます。

一般的に知られている「狭心症」や「心筋梗塞」が虚血性心疾患の代表例です。

 

虚血性心疾患の最も多い原因としては、生活習慣病(高血圧高脂血症糖尿病、喫煙、肥満など)による動脈硬化が挙げられます。

 

生活習慣病が原因で、心臓の冠動脈血管内にプラーク(コレステロール等の塊)が生じることがあります。

プラークが傷ついてしまうと、その箇所に血小板が集まってきて一次血栓を生じます。

この血栓が大きくなって血管を詰まらせてしまうと、血流がストップしてしまい、心臓に十分な栄養や酸素が届けられなくなってしまいます。

 

木元 貴祥
この病態のことを虚血性心疾患と呼んでいます。

 

虚血性心疾患の治療

狭心症の発作に対してはニトログリセリンが第一選択薬です。1)

その他、冠動脈の血管拡張作用のある薬剤や鎮痛薬が使用されることもあります。

  • β遮断薬
  • カルシウム拮抗薬
  • ACE阻害薬ARB
  • アスピリン:抗血小板作用

 

場合によっては、カテーテルを用いて閉塞している冠動脈を拡張する手技である「経皮的冠動脈形成術(PCI)」が行われることもあり、その前にはチエノピリジン系抗血小板薬(例:エフィエント、プラビックス)を行います。

エフィエント(プラスグレル)の作用機序と副作用【虚血性心疾患】

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また、虚血性心疾患では心房細動が併存することがしばしばあり、このような患者さんではワルファリンや直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)などの抗凝固薬に加えて、アスピリン、チエノピリジン系抗血小板薬の2剤併用抗血小板療法(DAPT)が必要となることも。1)

 

木元 貴祥
結局3剤併用療法となり、高齢者等では出血リスクが増大してしまいます。

 

特に、頭蓋内出血や消化管出血は生命を脅かすこともあるため、非常に重要かつ注意しなければいけません。

 

DOAC使用による出血

DOACの概要や作用機序、薬剤一覧については以下の記事でまとめていますのでご参考ください。

DOAC(直接経口抗凝固薬)の一覧表と作用機序のまとめ【心原性脳塞栓症】

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DOAC(抗Ⅹa因子阻害薬)使用による出血リスク:リクシアナ(一般名:エドキサバン) ▸イグザレルト(一般名:リバーロキサバン) ▸エリキュース(一般名:アピキサバン)

 

DOACの中でも第Ⅹa因子を阻害するⅩa因子阻害薬(抗Ⅹa薬)には以下の3種類があります。

 

各DOAC群の第Ⅲ相試験(Engage 試験の低用量群を除く)では、各出血が以下の頻度で認められていましたので、ワルファリンに比べてリスクが低いとはいえ、やはり注意が必要ですね。2)

  • 大出血:2.1~3.6%/年
  • 頭蓋内出血:0.23~0.49%/年
  • 消化管出血:0.76~3.2%/年

 

軽度の出血の場合は安易に休薬することなく、減量・休薬等の適切な抗血栓療法の継続を考慮するとされています。3)

2021年8月に出血リスクが高い高齢者で、リクシアナが1日1回15mgに減量して使えるように用法・用量が追加されています。

リクシアナ(エドキサバン)の作用機序と副作用【静脈血栓塞栓症】

続きを見る

 

また、中等度から重度の出血の場合、休薬の上、以下の対策が行われます。3)

  • 活性炭投与(内服4時間以内)
  • ⽌⾎(圧迫・外科・内視鏡処置など)
  • 輸液(必要時輸⾎)
  • 出⾎性脳卒中時の⼗分な降圧
  • 中和

 

中和の場合、DOACの中でもトロンビン阻害薬のプラザキサ(ダビガトラン)については、出血時に中和抗体薬であるプリズバインド(イダルシズマブ)が使用可能です。しかし、抗Ⅹa薬の中和薬はこれまで存在していませんでした。

 

そのため、保険適応外でプロトロンビン複合体製剤や遺伝⼦組換え第Ⅶ因⼦製剤の投与が行われるケースもあります。3)

 

木元 貴祥
オンデキサは初の抗Ⅹa薬の中和薬です!期待!

 

オンデキサ(アンデキサネット)の作用機序:第Ⅹa因子のおとり

オンデキサは第Ⅹa因子を改変した生物学的製剤です。4)

抗Ⅹa薬との親和性が第Ⅹa因子よりも高いため、投与されると抗Ⅹa薬と選択的に結合することでその働きを中和していきます。

 

オンデキサ自体には第Ⅹa因子としての生理活性はありませんので、出血リスクには影響しないと考えられます。

 

エビデンス紹介:ANNEXA-4試験

根拠となった国際共同第Ⅲ相臨床試験(ANNEXA-4試験)をご紹介します(日本人を含む)。

本試験は抗Ⅹa薬投与後18時間以内に急性大出血を起こした352例を対象に、オンデキサの有効性と安全性を検討した多施設共同の前向きオープンの単群試験です。

抗Ⅹa薬の内訳は、リバーロキサバン128例、アピキサバン194例、エドキサバン10例、エノキサパリン20例でした。

 

主要複合評価項目はオンデキサ投与後の抗Ⅹa薬活性の相対的低下率(%)と、静脈内投与終了後12時間時点での止血効果とされました。

抗Ⅹa薬の相対的低下率はリバーロキサバン92%、アピキサバン92%という結果でした。また、止血効果は82%とのことでした。

 

副作用

1%未満に認められる副作用として、心停止や発熱が報告されています。

 

重大な副作用としては

  • 血栓塞栓症:虚血性脳卒中(1.5%)、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症(各0.8%)、脳梗塞、塞栓性脳卒中、心房血栓症、深部静脈血栓症(各0.6%)、脳虚血、急性心筋梗塞、頚静脈血栓症(各0.4%)、一過性脳虚血発作、腸骨動脈閉塞(各0.2%)等
  • Infusion reaction(0.4%)

が挙げられているため、特に注意が必要です。

 

以下のような患者さん等では血栓塞栓症の危険性が増大するおそれがあるため、本剤投与の可否は治療上の有益性と危険性を考慮して判断することとされていますね。

  • 出血性イベントの発現前7日以内に乾燥濃縮人プロトロンビン複合体製剤、遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤、全血製剤、新鮮凍結血漿又は血漿分画製剤の投与を受けた患者
  • 出血性イベントの発現前2週間以内に血栓塞栓症又は播種性血管内凝固の診断を受けた患者

 

用法・用量

通常、成人には、直接作用型第Xa 因子阻害剤の種類、最終投与時の1 回投与量、最終投与からの経過時間に応じて、アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)として、以下のA 法又はB 法の用法及び用量で静脈内投与します。

  • A 法:400mgを30mg/分の速度で静脈内投与し、続いて480mgを4mg/分の速度で2時間静脈内投与する。
  • B 法:800mgを30mg/分の速度で静脈内投与し、続いて960mgを8mg/分の速度で2時間静脈内投与する。

 

直接作用型第Xa 因子阻害剤(抗Ⅹa薬)の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間に応じて、以下の表の通りとされていますね。

オンデキサの用法・用量

 

収載時の薬価

収載時(2022年5月25日)の薬価は以下の通りです。

  • オンデキサ静注用200mg:338,671円

 

算定根拠については以下をご参考ください。

【新薬:薬価収載】14製品(2022年5月25日)

続きを見る

 

まとめ・あとがき

オンデキサはこんな薬

  • 抗Ⅹa薬に対する初の中和薬
  • 第Ⅹa因子のおとりとして作用する
  • 血栓塞栓症には注意が必要

 

Xa因子阻害薬(抗Ⅹa薬)についてはこれまで中和薬が存在せず、止血処理に加えて、保険適応外でプロトロンビン複合体製剤や遺伝⼦組換え第Ⅶ因⼦製剤が投与されていました。

 

木元 貴祥
日本でもようやく使用可能となりますので、期待したいですね!

 

DOACのまとめについても併せてご覧いただければ嬉しく思います♪

DOAC(直接経口抗凝固薬)の一覧表と作用機序のまとめ【心原性脳塞栓症】

続きを見る

 

以上、今回は虚血性心疾患を中心に、DOACとオンデキサ(アンデキサネット)の作用機序・エビデンスについて解説しました。

 

参考資料・文献等

  1. 日本循環器学会|急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
  2. 血栓止血誌2020; 31(6): 584-590
  3. 日本循環器学会|2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
  4. ANNEXA-4試験:N Engl J Med 2019; 380:1326-1335

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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