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2025年3月19日、新薬11製品が薬価収載される予定です!
本来ならこのタイミングで収載予定であった
などは今回議題に挙がっていないため、見送られていました。

今回、てんかんに使用するブリィビアクト静注も収載されます。既に錠剤は2024年8月15日に収載されていましたが、静注製剤は見送られていました。
その他、費用対効果評価を踏まえた薬価の引き下げも了承され、2025年6月1日より薬価がダウンする薬剤(リットフーロ)もありました・・・。
今回は薬価収載の新薬一覧とその算定根拠について紹介していきます!
2025年3月19日:薬価収載予定の11製品
2025年3月19日に薬価収載予定の新薬一覧は以下の通りです。
製品名 (一般名) |
規格 | 薬価 | 効能・効果 (簡略) |
ウプトラビ錠小児用 (セレキシパグ) |
0.05mg | 443.50円 | 動脈性肺高血圧症 |
ゼポジア (オザニモド) |
0.92mg1カプセル スターターパック |
4,792.80円 12,313.30円 |
潰瘍性大腸炎 |
ブルキンザ (ザヌブルチニブ) |
80㎎1カプセル | 6,636.10円 | CLL/WM/LPL |
ブリィビアクト静注 (ブリーバラセタム) |
25mg2.5mL1瓶 | 2,450円 | てんかん |
クアルソディ (トフェルセン) |
100㎎15mL1瓶 | 2,788,883円 | ALS |
ファセンラ皮下注ペン (ベンラリズマブ) |
30mg1mL1キット | 351,731円 | 気管支喘息 |
ゼップバウンド (チルゼパチド) |
2.5mg0.5mL1キット 5mg0.5mL1キット 7.5mg0.5mL1キット 10mg0.5mL1キット 12.5mg0.5mL1キット 15mg0.5mL1キット |
3,067円 5,797円 7,721円 8,999円 10,180円 11,242円 |
肥満症 |
ダトロウェイ (ダトポタマブ デルクステカン) |
100㎎1瓶 | 311,990円 | 乳がん |
テクベイリ (テクリスタマブ) |
30mg3mL1瓶 153mg1.7mL1瓶 |
216,930円 1,081,023円 |
多発性骨髄腫 |
ルンスミオ (モスネツズマブ) |
1mg1mL1瓶 30mg30mL1瓶 |
83,717円 2,393,055円 |
悪性リンパ腫 |
ヒムペブジ (マルスタシマブ) |
150mg1mL1キット | 883,108円 | 血友病 |
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薬価の算定方法
各薬剤の薬価算定方法は2025年3月12日の中医協総会の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。
ウプトラビ錠小児用:規格間調整 【加算あり】
ウプトラビ錠小児用は、既に承認・販売されているウプトラビ錠との規格間調整で算定されました。
また、小児加算(A=20%)の対象でしたので、元の薬価(0.05mg1錠369.60円)を1.2倍し、以下の薬価に決定しています。
- ウプトラビ錠小児用0.05mg:443.50円
なお、加算の根拠は以下の通りです。小児での試験実施や海外よりも先行している点が評価されていますね。
加算の根拠
- 小児加算:本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数、優先審査の該当性、海外よりも早い承認状況等を踏まえ、加算率は20%が妥当である。
ピーク時の予測販売金額は5.9億円です(予測本剤投与患者数166人)。
作用機序については、以下で解説しています。
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ウプトラビ(セレキシパグ)の作用機序【肺動脈性高血圧症】
続きを見る
ゼポジア:類似薬効比較方式(Ⅰ)(カログラ)
ゼポジアは、同じく潰瘍性大腸炎に使用するカログラ(カロテグラスト)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- カログラ錠120mg:199.70円(1日薬価:4,792.80円)
- ゼポジアカプセル0.92mg:4,792.80円(1日薬価:4,792.80円)
- ゼポジアカプセルスターターパック(1シート):12,313.30円
※ゼポジアカプセルスターターパック(1シート)は、0.23mg×4カプセル+0.46mg×3カプセル
ピーク時の予測販売金額は174億円です(予測本剤投与患者数9.6千人)。
以下の記事で、作用機序などについて解説しています。
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ゼポジア(オザニモド)の作用機序【潰瘍性大腸炎】
続きを見る
ブルキンザ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(イムブルビカ)
ブルキンザは、同じく慢性リンパ性白血病などに使用するBTK阻害薬のイムブルビカ(イブルチニブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- イムブルビカカプセル140mg:8,848.10円(1日薬価:26,544.30円)
- ブルキンザカプセル80mg:6,636.10円(1日薬価:26,544.40円)
ピーク時の予測販売金額は176億円です(予測本剤投与患者数1.8千人)。
作用機序や特徴については、以下の記事で解説しています。
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ブルキンザ(ザヌブルチニブ)の作用機序【CLL/WM/LPL】
続きを見る
ブリィビアクト静注:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ビムパット点滴静注)
ブリィビアクト静注は、同じくてんかんに使用するビムパット点滴静注(ラコサミド)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- ビムパット点滴静注100mg:2,450円(1日薬価:4,900円)
- ブリィビアクト静注25mg:2,450円(1日薬価:4,900円)
ピーク時の予測販売金額は1.8億円です(予測本剤投与患者数4.9千人)。
以下の記事で、類薬のイーケプラ(レベチラセタム)との比較について考察しています。
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ブリィビアクト(ブリーバラセタム)の作用機序・イーケプラとの違い【てんかん】
続きを見る
クアルソディ:原価計算方式【加算あり】
クアルソディはALSの原因遺伝子(原因タンパク質)に対して作用する初のアンチセンス核酸医薬品です!
類薬はありませんので、原価計算方式で算定されました。
また、有用性加算(Ⅱ)(A=15%)、市場性加算(Ⅰ)(A=15%)の対象でしたが、原価の開示度が50%未満だったため、加算係数ゼロです…。

結果、以下の薬価に決定しました。
- クアルソディ髄注100mg:2,788,883円
なお、加算の根拠は以下の通りです。
加算の根拠
- 有用性加算:本剤はSOD1mRNAに結合しRNase-Hに分解されることでSOD1タンパク質合成を抑制する新規作用機序医薬品であること、対象疾患は標準的治療法が存在しない重篤な疾患であることから、有用性加算(Ⅱ)(A=15%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。患者数が特に少なく開発が難しいと想定される中で、本剤開発時の国際共同治験に日本人患者が組み入れられていたことを踏まえ、加算率15%が妥当である。
ピーク時の予測販売金額は47億円です(予測本剤投与患者数136人)。
作用機序とエビデンスについては、以下で解説しています。
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クアルソディ髄注(トフェルセン)の作用機序【ALS】
続きを見る
ファセンラ皮下注30mgペン:規格間調整【加算あり】
ファセンラは既にシリンジ製剤がありましたが、今回はペン製剤が追加されます。
算定方式は規格間調整です。
ペン製剤は小児にも使用できることから、小児加算(A=10%)の対象となり、以下の薬価に決定しました。
- ファセンラ皮下注30mgペン:351,731円
なお、加算の根拠は以下の通りです。
加算の根拠
- 小児加算:本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。既収載の医薬品に係る適応の対象年齢、投与頻度等を踏まえ、加算率は10%が妥当である。
ピーク時の予測販売金額は281億円です(予測本剤投与患者数1.5万人)。
作用機序については、以下で解説しています。
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ファセンラ(ベンラリズマブ)の作用機序と副作用【気管支喘息】
続きを見る
ゼップバウンド:原価計算方式【加算あり】
ゼップバウンドは肥満症治療薬ですが、有効成分は2型糖尿病で使用されているマンジャロ(チルゼパチド)と同じです。
この場合、「組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例」として原価計算方式で算定されました。

特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- ゼップバウンド皮下注2.5mgアテオス:3,067円
- ゼップバウンド皮下注5mgアテオス:5,797円
- ゼップバウンド皮下注7.5mgアテオス:7,721円
- ゼップバウンド皮下注10mgアテオス:8,999円
- ゼップバウンド皮下注12.5mgアテオス:10,180円
- ゼップバウンド皮下注15mgアテオス:11,242円
ピーク時の予測販売金額は319億円です(予測本剤投与患者数13万人)。
作用機序とエビデンス、既存薬のウゴービとの比較については、以下の記事で解説しています。
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ゼップバウンド(チルゼパチド)の作用機序:ウゴービとの違い【肥満症】
続きを見る
ダトロウェイ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (トロデルビ)
ダトロウェイは、同じく乳がんに使用するADCのトロデルビ(サシツズマブ ゴビテカン)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- トロデルビ点滴静注用200mg:187,195円(1日薬価:44,570円)
- ダトロウェイ点滴静注用100mg:311,990円(1日薬価:44,570円)
ピーク時の予測販売金額は127億円です(予測本剤投与患者数1.2千人)。
作用機序やエビデンスについては、以下の記事で解説しています。
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ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)の作用機序【乳がん】
続きを見る
テクベイリ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(エルレフィオ)
テクベイリは、同じく多発性骨髄腫に使用し、同様の作用機序を有しているエルレフィオ(エルラナタマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- エルレフィオ皮下注76mg:957,222円(1日薬価:136,746円)
- テクベイリ皮下注30mg:216,930円
- テクベイリ皮下注153mg:1,081,023円(1日薬価:136,746円)
ピーク時の予測販売金額は87億円です(予測本剤投与患者数515人)。
作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。
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テクベイリ(テクリスタマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】
続きを見る
ルンスミオ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(エプキンリ)
ルンスミオは、同じく濾胞性リンパ腫に使用し、同じ作用機序を有するエプキンリ(エプコリタマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- エプキンリ皮下注48mg:1,595,363円(1日薬価:113,955円)
- ルンスミオ点滴静注1mg:83,717円
- ルンスミオ点滴静注30mg:2,393,055円(1日薬価:113,955円)
ピーク時の予測販売金額は286億円です(予測本剤投与患者数1.2千人)。
作用機序やエビデンスについては、以下の記事で解説しています。
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ルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序【悪性リンパ腫】
続きを見る
ヒムペブジ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(アレモ)
ヒムペブジは、同じく血友病に使用し、同じ作用機序を有するアレモ皮下注(コンシズマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しています。
- アレモ皮下注150mg:1,893,013円(1日薬価:126,201円)
- ヒムペブジ皮下注150mgペン:883,108円(1日薬価:126,158円)
ピーク時の予測販売金額は301億円です(予測本剤投与患者数557人)。
作用機序やエビデンスについては、以下で解説しています。
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ヒムペブジ皮下注(マルスタシマブ)の作用機序・特徴【血友病】
続きを見る
以上が新薬の薬価収載についてでした!

費用対効果評価:リットフーロ
中医協総会では、費用対効果評価も行われ、リットフーロ(リトレシチニブ)についても2025年6月1日より薬価が下がります。
- リットフーロカプセル50mg:5,802.40円 → 5,584.30円
3.7%ほどの薬価ダウンですね…。
オルミエント(バリシチニブ)との違いについて、以下の記事で解説しています。
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リットフーロカプセル(リトレシチニブ)の作用機序【円形脱毛症】
続きを見る
あとがき
今回は11製品中、4製品が加算対象でした!

以上、今回は2025年3月19日に薬価収載予定の新薬11製品についてご紹介しました!
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