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ルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序【悪性リンパ腫】

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2024年12月6日、厚労省の薬事審議会医薬品第二部会にて「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象疾患とするルンスミオ点滴静注(モスネツズマブ)の承認可否が審議される予定です!

中外製薬|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名 ルンスミオ点滴静注1mg/30mg
一般名 モスネツズマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来
製造販売 中外製薬(株)
効能・効果 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫
用法・用量 21日1サイクル(1サイクル目は1週毎に3投、以降のサイクルは1投2休)
薬価
発売日

 

ルンスミオは、CD3とCD20に共に結合可能な二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)に分類されています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
通常、抗体は1種類の抗原にしか結合できませんが、ルンスミオは2種類の抗原と結合可能です!

 

既に大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫に対しては、同じ作用機序を有するエプキンリ(エプコリタマブ)が承認されていますので、ルンスミオは2製品目となります。

エプキンリ(エプコリタマブ)の作用機序【DLBCL】

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木元 貴祥
木元 貴祥
濾胞性リンパ腫は治療選択肢が限られていることから、選択肢が増えるのは朗報ですね。

 

濾胞性リンパ腫とルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序について解説していきます!

 

濾胞性リンパ腫とは

濾胞性リンパ腫は、悪性リンパ腫の種類の1つに分類されている血液腫瘍で、リンパ球の中でも「B細胞」が腫瘍化して発生します。

進行は比較的遅く、「低悪性度」に分類されています。

 

疫学的には、悪性リンパ腫の約15~20%を占めていて、近年増加傾向です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
特に高齢者に多いと言われていますね。

 

また、腫瘍化したB細胞の細胞膜表面にはしばしば「CD20」が発現していることが知られています。

 

濾胞性リンパ腫の治療

早期の場合には、腫瘍細胞が凝集しているリンパ節部位への放射線照射が行われることが多いです。

放射線が難しい患者さんでは、経過観察で様子を見ることも行われます。

 

一方、進行している場合、抗CD20抗体(リツキシマブまたはガザイバ(オビヌツズマブ))併用化学療法が推奨されています。1)

 

主には以下のような併用療法です。

  • R-CHOP療法:リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン
  • オビヌツズマブ-CHOP療法
  • R-CVP療法:リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン
  • オビヌツズマブ-CVP療法
  • RB療法:リツキシマブベンダムスチン
  • オビヌツズマブ-B療法
ガザイバ(オビヌツズマブ)の作用機序と副作用【悪性リンパ腫】

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上記の治療で抵抗性が認められた場合、そ初回治療で使用しなかった治療や、CAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法のキムリア(チサゲンレクルユーセル)などが使用されます。EZH2遺伝子変異陽性の場合、タズベリク(タゼメトスタット)も使用可能です。

タズベリク(タゼメトスタット)の作用機序【悪性リンパ腫】

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しかし、上記の治療を2回以上行ったにも関わらず抵抗性・再発を示した場合、その後の治療選択肢は限られていました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回ご紹介するルンスミオは、過去に2つ以上の全身療法を受けたことがある再発・難治性の濾胞性リンパ腫に対して治療効果が期待されています!

 

ルンスミオ(モスネツズマブ)の構造・作用機序

体内の腫瘍細胞を除去する免疫細胞としてT細胞やNK細胞がありますが、T細胞は細胞膜表面に「CD3」と呼ばれるタンパク質を発現していることが知られています。

ルンスミオはB細胞由来の腫瘍細胞のCD20を認識する抗CD20抗体と、T細胞のCD3を認識する抗CD3抗体を組み合わせた構造を有している二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)です。

 

ルンスミオ(モスネツズマブ)の構造:二重特異性抗体

 

T細胞は体内の腫瘍細胞を発見して除去してくれる免疫細胞ですが、腫瘍細胞はそれから逃れようとしています。

 

ルンスミオは腫瘍細胞のCD20とT細胞のCD3を共に認識することで、腫瘍細胞とT細胞に架け橋を形成します。腫瘍細胞とT細胞が連結することで、腫瘍細胞は逃げられなくなります。

ルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序

 

木元 貴祥
木元 貴祥
腫瘍細胞とT細胞の橋渡しをするイメージですね。

 

その結果、腫瘍細胞に対するT細胞の攻撃が促進され、さらにADCC(抗体依存性細胞障害)活性やDCD(補体依存性細胞障害)活性によって腫瘍細胞を除去できると考えられます。

 

エビデンス紹介:海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験

根拠となった臨床試験は海外で行われた海外第Ⅱ相臨床試験2)と、国内第Ⅰ相試験の拡大コホートです。

 

参考までに海外第Ⅱ相臨床試験では、完全奏効が60.0% (95% CI 49.1-70.2)と主要評価項目を達成していました。2)

 

副作用

後日更新予定です。

類薬のエプキンリ(エプコリタマブ)ではサイトカイン放出症候群が重大な副作用として挙げられていますので、同様の注意が必要だと思われます。

 

実際にルンスミオの海外第Ⅱ相試験でもサイトカイン放出症候群が44%に認められていました。2)

 

用法・用量

後日更新予定です。

臨床試験では以下のように21日1サイクル(1サイクル目は毎週投与、2サイクル目以降は1日目のみ投与)とされていました。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ルンスミオはこんな薬

  • 国内2製品目のCD3とCD20に共に結合可能な二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)
  • 2つ以上の全身療法の治療歴を有する濾胞性リンパ腫に効果が期待されている
  • サイトカイン放出症候群には注意が必要

 

木元 貴祥
木元 貴祥
濾胞性リンパ腫はまだまだ治療選択肢が限られているため、新たな治療法が登場することは朗報ではないでしょうか。

 

エプキンリ(エプコリタマブ)との使い分け等が気になりますので、今後検討されることを期待しています。

エプキンリ(エプコリタマブ)の作用機序【DLBCL】

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以上、今回は少し難しかったかもしれませんが、濾胞性リンパ腫とルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序について解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版
  2. 海外第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験:Lancet Oncol. 2022 Aug;23(8):1055-1065. 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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