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2024年10月30日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて「尿路上皮がん」を対象疾患とするバルバーサ錠(エルダフィチニブ)の承認が了承されました。
ヤンセンファーマ|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | バルバーサ錠3mg/4mg/5mg |
一般名 | エルダフィチニブ |
製品名の由来 | |
製造販売 | ヤンセンファーマ(株) |
効能・効果 | がん薬物療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がん |
用法・用量 | 通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、 それ以降は1日1回9mgを経口投与する。 なお、患者の状態により適宜減量する。 |
収載時の薬価 | |
発売日 |
既に胆道がんの領域では、以下のFGFR阻害薬が使用されていますが、尿路上皮がんの領域では初です。
今回は尿路上皮がんと共に、バルバーサ(エルダフィチニブ)の作用機序とエビデンスをご紹介します!
尿路上皮がんと治療
腎臓から続く「腎盂→尿管→膀胱→尿道」のことを尿路と呼んでいますが、ここは上皮粘膜に覆われています。そして、尿路の上皮粘膜から発生するがんが尿路上皮がんです。
尿路上皮がんのうち、最も頻度が高いのが膀胱がんであり、全体の約95%を占めています。1)
また、尿路上皮がん細胞の約20%は「FGFR3遺伝子変異タンパク」を発現していることが知られています(FGFR3遺伝子変異や、FGFR2/3の融合遺伝子など)。2-3)
初期の尿路上皮がんの場合、開腹手術やTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)などによって根治が可能ですが、発見時に他の臓器に転移のある場合(StageⅣ)、抗がん剤(化学療法)による治療が基本です。1)
初回の抗がん剤治療としては治療選択肢が少なく、日本ではゲムシタビン+シスプラチン療法(GC療法)を4~6サイクル行います。
未承認ですが、保険償還可能なパクリタキセル+カルボプラチンが行われることもある
GC療法を4~6サイクル行った後は、これまでは経過観察もしくはゲムシタビン単剤による治療が行われていましたが、2021年には維持治療としてのバベンチオ(一般名:アベルマブ)が承認されています。
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【効能効果追加】4製品(2021年1月24日)
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バベンチオ/キイトルーダ+インライタの作用機序【腎細胞がん】
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2024年には、殺細胞性の抗がん剤を含まないパドセブ(エンホルツマブベドチン)+キイトルーダ(ペムブロリズマブ)併用療法も登場しました。こちらは、白金製剤を含む抗がん剤治療よりも予後延長効果が示されたことから、新たな治療選択肢として期待されています!
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パドセブ(エンホルツマブベドチン)の作用機序【尿路上皮がん】
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しかしながら、初回治療で増悪後の治療選択肢については限られていました。
今回ご紹介するバルバーサは、免疫チェックポイント阻害薬を含む治療で増悪が認められたFGFR遺伝子変異陽性の場合に使用可能です!
バルバーサ(エルダフィチニブ)の作用機序
FGFR(fibroblast growth factor receptor:線維芽細胞増殖因子受容体)は正常細胞にも存在している受容体で、因子(FGF等)が結合することで活性化して細胞の活性や増殖に関与しています。
FGFRにはサブタイプがあり、FGFR1、FGFR2、FRFR3が知られていて、それぞれFGFR1/2/3遺伝子から合成されます。特に尿路上皮がんでは、FGFR3の遺伝子変異や融合遺伝子陽性の場合が多いと考えられています。
バルバーサは異常なFGFR3タンパクを選択的に阻害するように設計された薬剤ですが、FGFR1、FGFR2、FGFR4も阻害します。
上図のようにFGFR3遺伝子変異タンパクを阻害することでがん細胞の増殖を抑制すると考えられていますね。
エビデンス紹介:THOR試験
根拠となった臨床試験(THOR試験)をご紹介します。3)
本試験は、免疫チェックポイント阻害薬による前治療で増悪が認められた標的FGFR遺伝子変異を有する転移性または切除不能な尿路上皮がん患者さんを対象に、標準化学療法(治験責任医師がドセタキセルまたはVinflunine)とバルバーサを比較した第Ⅲ相臨床試験です。
Vinflunineは国内未承認
主要評価項目は「全生存期間」とされ、結果は以下の通りでした。
標準化学療法群 | バルバーサ群 | |
全生存期間中央値 | 7.8か月 | 12.1か月 |
HR=0.64(95%CI:0.47-0.88) P=0.005 |
||
無増悪生存期間中央値 | 2.7か月 | 5.6か月 |
HR=0.58(95%CI:0.44-0.78) P<0.001 |
副作用
正式承認後に更新予定です。
類薬のFGFR阻害薬では「高リン血症」が重大な副作用として挙げられているので、バルバーサも同様になると予想されます。
用法・用量
通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回9mgを経口投与します。
患者の状態により適宜減量
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
バルバーサはこんな薬
- 尿路上皮がんでは初の経口のFGFR阻害薬
- 高リン血症には注意が必要
- 1日1回経口投与
これまで尿路上皮がんの治療選択肢は限られていましたので、新規作用機序を有するバルバーサは期待できるのではないでしょうか。
以上、今回は尿路上皮がんと共に、バルバーサ(エルダフィチニブ)の作用機序とエビデンスをご紹介しました!
引用文献・資料等
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