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2022年12月23日、「がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん」を対象疾患とするリブタヨ点滴静注(セミプリマブ)が承認されました!
基本情報
製品名 | リブタヨ点滴静注350mg |
一般名 | セミプリマブ(遺伝子組換え) |
製品名の由来 | 特になし |
製造販売 | リジェネロン・ジャパン(株) |
効能・効果 | がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん |
用法・用量 | 通常、成人には、セミプリマブ(遺伝子組換え)として、 1回350mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。 |
収載時の薬価 | 450,437円 |
発売日 | 2023年3月30日(HP) |
同様の作用機序を有する薬剤としては、オプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)に次ぐ、3製品目の抗PD-1抗体薬です!
子宮頸がんでは既にキイトルーダが一次治療で承認されていますが、リブタヨは二次治療以降に使用します。
今回は子宮頸がんとリブタヨ(セミプリマブ)の作用機序・エビデンスについて解説していきます。
子宮頸がんと治療
子宮は下部の筒状の「子宮頸部」と、上部の袋状の「子宮体部」に分けられますが、子宮頸部から発生するがんを「子宮頸がん」と呼んでいます。1)
発症にはヒトパピローマウイルス感染が関与しているため、HPVワクチンの積極的な接種が望まれていますね。
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子宮頸がんの治療の基本は手術です。手術後は進行度(ステージ)の決定を行い、再発リスクが高い場合には術後に抗がん剤(化学療法)や放射線治療が行われることもあります。
また、手術が不可能であったり、全身に転移している場合や、再発した場合には化学療法を行います。
一次治療として主に使用される化学療法としては、
などが標準治療です。
また、アバスチン(ベバシズマブ)を上記に併用することもあります。
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一次治療を行ったとしても、いずれは不応・不耐となり、二次治療が行われます。しかしながら、二次治療以降で使用できる薬剤は限られてたため、新たな治療選択肢が望まれていました。
今回ご紹介するリブタヨは、プラチナ系抗がん剤(シスプラチンやカルボプラチン)の治療歴がある場合に二次治療以降に単剤として使用可能ですね。
それではここからリブタヨの関与する免疫チェックポイントについて解説していきます。
がんと免疫チェックポイント
通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。
その一つに、がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。
PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。
これを“免疫チェックポイント”と呼んでいます。
リブタヨ(セミプリマブ)の作用機序
今回紹介するリブタヨは、「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体薬」と呼ばれる、がん免疫療法薬です。
リブタヨはT細胞の「PD-1」を特異的に抑制することで、がん細胞からのブレーキを解除させ、ヒト本来の免疫反応を活性化させます。
その結果、T細胞が、がん細胞を攻撃することでがん細胞を死に導く、といった作用機序を有しています☆
T細胞が活性化され、ヒト本来の免疫力によってがん細胞を攻撃しますので、従来の抗がん剤と比較して副作用が比較的少ないと言われています。
エビデンス紹介:EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験
根拠となった臨床試験(EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験)をご紹介します。2)
本試験は、一次療としてプラチナ系抗がん剤治療後に病勢進行した再発子宮頸がん患者さんを対象に、リブタヨ単剤群と医師選択の治療(ペメトレキセド、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカン、トポテカン等)群を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験です。
本試験の主要評価項目は「全生存期間」とされ、結果は以下の通りでした。
リブタヨ群 | 医師選択の治療群 | |
全生存期間中央値 | 12.0か月 | 8.5か月 |
HR=0.69(95%CI:0.56-0.84) P<0.001 |
リブタヨ群で生存期間の有意な延長が認められていますね!!
また、子宮頸がんでは組織型として「扁平上皮がん」や「腺がん」が混在していますが、いずれのサブグループでも同様の治療効果が確認されていました。
副作用
重大な副作用としては、
- 間質性肺疾患(1.7%)
- 肝不全、肝機能障害、肝炎
- 甲状腺機能障害:甲状腺機能低下症(6.0%)、甲状腺機能亢進症(3.0%)、甲状腺炎(頻度不明)等
- 下垂体機能障害:下垂体炎(頻度不明)、下垂体機能低下症(頻度不明)等
- 副腎機能障害:副腎機能不全(頻度不明)等
- 1型糖尿病
- 腎障害:急性腎障害(1.0%)、尿細管間質性腎炎(頻度不明)等
- 筋炎(頻度不明)、横紋筋融解症(頻度不明)
- 重症筋無力症(頻度不明)
- 心筋炎(頻度不明)、心膜炎(0.7%)
- Infusion reaction(6.7%)
- 大腸炎(1.0%)、重度の下痢(0.3%)
- 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明)
- 類天疱瘡(頻度不明)
- 神経障害:末梢性ニューロパチー(0.7%)、ギラン・バレー症候群(頻度不明)等
- 脳炎(頻度不明)、髄膜炎(頻度不明)
- 静脈血栓塞栓症:深部静脈血栓症(頻度不明)、肺塞栓症(頻度不明)等
が挙げられていますので、特に注意が必要です。
用法・用量
通常、成人には、セミプリマブ(遺伝子組換え)として、1回350mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注します。
収載時の薬価
収載時(2023年3月15日)の薬価は以下の通りです。
- リブタヨ点滴静注350mg:450,437円(1日薬価:21,449円)
算定根拠等については以下をご確認ください。
-
【新薬:薬価収載】13製品(2023年3月15日)
続きを見る
まとめ・あとがき
リブタヨはこんな薬
- 国内3製品目の抗PD-1抗体薬
- 子宮頸がんの二次治療以降で使用する
- 固定用量(350mg)を3週間間隔で点滴静注する
これまで、子宮頸がんは治療開発がなかなか進まず、治療選択肢が限られていました。
以上、今回は子宮頸がんとリブタヨ(セミプリマブ)の作用機序・エビデンスについて解説しました。
参考資料・論文
- がん情報サービス|子宮頸がん
- EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9試験:N Engl J Med 2022; 386:544-555
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