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2025年9月19日、「HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん」を対象疾患とするヘルネクシオス錠(ゾンゲルチニブ)が承認されました!
日本ベーリンガーインゲルハイム|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ヘルネクシオス錠60mg |
一般名 | ゾンゲルチニブ |
製品名の由来 | HER2 選択的チロシンキナーゼ阻害剤(HER)の次世代(NEXt)の 特性を有する(ギリシャ語の接尾語の-EOS:英語の-eous に相当)薬剤という意味。 |
製造販売 | 日本ベーリンガーインゲルハイム(株) |
効能・効果 | がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん |
用法・用量 | 通常、成人には、1日1回120mgを経口投与する。 なお、患者の状態により適宜減量する。 |
収載時の薬価 | |
発売日 |
ヘルネクシオスは、肺がん領域で初となる経口のHER2阻害薬です!

その代わり、肺がん領域では抗体薬物複合体(ADC:Antibody Drug Conjugate)のエンハーツが使用されていて、ヘルネクシオスはエンハーツと同様の位置付けとなる見込みです。
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エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】
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今回は非小細胞肺がんとヘルネクシオス(ゾンゲルチニブ)の作用機序・エビデンスについて解説です!
肺がんの分類について
肺がんは性質や薬の効き方によって“非小細胞肺がん”と“小細胞肺がん”に分類されています。
早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

小細胞肺がんについては別の記事をご参考くださいませ。
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イミフィンジ(デュルバルマブ)の作用機序と副作用【肺/胆/肝/子宮体がん】
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非小細胞肺がんの治療(切除不能・再発の場合)
非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。
- 非扁平上皮がん
- 扁平上皮がん
今回は①非扁平上皮がんを中心にご紹介します。②扁平上皮がんについては以下の記事をご確認ください。
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ポートラーザ(ネシツムマブ)の作用機序と副作用【肺がん】
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非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)の初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況(ドライバー遺伝子変異など)によって対応するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を使用します。1)
ドライバー遺伝子変異など | 初回化学療法例 |
EGFR遺伝子変異陽性 |
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ALK融合遺伝子陽性 | |
ROS1融合遺伝子陽性 | |
BRAF遺伝子変異陽性 | |
MET遺伝子変異陽性 | |
RET融合遺伝子陽性 | |
遺伝子変異/転座陰性 (または不明) |
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最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。
今回ご紹介するヘルネクシオスは、HER2遺伝子変異陽性で上記の初回化学療法に不応・不耐の場合、二次治療以降として治療効果が期待されています!

類薬のエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)も、HER2遺伝子変異陽性で初回化学療法に不応・不耐の場合に使用可能です。
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エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】
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ヘルネクシオス(ゾンゲルチニブ)の作用機序
ヘルネクシオスは、HER2を選択的に阻害するTKIです。

エビデンス紹介:Beamion LUNG-1試験
根拠となった臨床試験(Beamion LUNG-1試験)をご紹介します。2)
本試験は、HER2遺伝子変異陽性の切除不能または転移性の固形腫瘍患者さんを対象に、ヘルネクシオス単剤療法を評価した第Ⅰ相非盲検用量漸増試験(用量の確認と拡大を含む)です。
本試験における既治療の非小細胞肺がん患者さんを対象としたいくつかのコホートがありましたが、今回は代表とした以下の2つのコホートの結果を掲載します。いずれも主要評価項目は「客観的奏効率」でした。
客観的奏効率
- コホート1(チロシンキナーゼドメイン変異あり):71%
- コホート5(チロシンキナーゼドメイン変異あり、かつエンハーツ治療歴あり):48%
いずれも既治療例が対象

なお、コホート1における無増悪生存期間(PFS)は12.4か月とのことでした。
副作用
30~10%未満に認められる副作用として、悪心、口内炎、発疹、皮膚乾燥、そう痒症、爪の障害などが報告されています。
重大な副作用としては、
- 重度の下痢(3.0%)
- 肝機能障害(35.2%)
- 血球減少:発熱性好中球減少症(頻度不明)、好中球減少症(0.8%)、貧血(17.8%)、血小板減少症(0.8%)等
- 間質性肺疾患(1.3%)
が挙げられていますので、特に注意が必要です。

添付文書にも、以下の記載がありました。
- 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部画像検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること
- 左室駆出率(LVEF)低下があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察すること
用法・用量
通常、成人には、1日1回120mgを経口投与します。
なお、患者の状態により適宜減量
収載時の薬価
現時点では薬価未収載です。
まとめ・あとがき
ヘルネクシオスはこんな薬
- 肺がん領域では初の経口HER2阻害薬
- 既治療のHER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対して単剤で使用する
- 1日1回経口投与
- 肝機能障害、心毒性、間質性肺炎には注意が必要
これまで非小細胞肺がんではHER2阻害薬として、注射薬のエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)が使用されていました。
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ヘルネクシオスは、非小細胞肺がんで初となる経口のHER2阻害薬です。新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。

以上、今回は非小細胞肺がんとヘルネクシオス(ゾンゲルチニブ)の作用機序・エビデンスについて解説しました♪
参考資料・論文等
- 日本肺癌学会|肺癌診療ガイドライン2024年版
- Beamion LUNG-1試験:N Engl J Med 2025;392:2321-2333
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