新薬承認・薬価収載

【新薬:薬価収載】13製品(2023年11月22日)

2023年11月22日、新薬13製品が薬価収載されました!

 

前々回から見送られていた肥満症治療薬初のGLP-1受容体作動薬のウゴービ皮下注(セマグルチド)は今回ようやく収載です。原価計算方式なのは意外でした。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

続きを見る

 

また、2021年9月27日に承認を取得して、ずっと薬価収載が見送られていてたメグルダーゼ静注用(グルカルピダーゼ)も今回収載されますね。

 

その他、市場拡大再算定費用対効果評価を踏まえた薬価の引き下げも了承され、2024年2月1日より薬価がダウンする薬剤もいくつかありました・・・。

 

木元 貴祥
今回は薬価収載の新薬一覧とその算定根拠について紹介していきます!

 

2023年11月22日:薬価収載の13製品

2023年11月22日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。

製品名
(一般名)
規格 薬価 効能・効果
(簡略)
フォゼベル錠
(テナパノル)
5mg1錠
10mg1錠
20mg1錠
30mg1錠
234.10円
345.80円
510.90円
641.80円
高リン血症
コルスバ静注透析用
(ジフェリケファリン)
17.5µg0.7mL1筒
25µg0.7mL1筒
35µg0.7mL1筒
2,971円
3,609円
4,341円
血液透析患者における
そう痒症
レクビオ皮下注
(インクリシラン)
300mg1.5mL1筒 443,548円 脂質異常症
ウゴービ皮下注
(セマグルチド)
0.25mg0.5mL1キット
0.5mg0.5mL1キット
1mg0.5mL1キット
1.7mg0.75mL1キット
2.4mg0.75mL1キット
1,876円
3,201円
5,912円
7,903円
10,740円
肥満症
メグルダーゼ静注用
(グルカルピダーゼ)
1,000単位1瓶 2,674,400円 MTX排泄遅延時の解毒
ジルビスク皮下注
(ジルコプラン)
16.6mg0.416mL1筒
23mg0.574mL1筒
32.4mg0.81mL1筒
69,580円
96,347円
135,661円
重症筋無力症
エプキンリ皮下注
(エプコリタマブ)
4mg0.8mL1瓶
48mg0.8mL1瓶
137,724円
1,595,363円
DLBCL
フェスゴ配合皮下注
(ペルツズマブ/トラスツズマブ)
MA:10mL1瓶
IN:15mL1瓶
268,695円
471,565円
乳がん/大腸がん
デュピクセント皮下注
(デュピルマブ)
200mg1.14mL1筒 43,320円 アトピー性皮膚炎
アレモ皮下注
(コンシズマブ)
15mg1.5mL1キット
60mg1.5mL1キット
150mg1.5mL1キット
249,546円
844,727円
1,893,013円
血友病
オルツビーオ静注用
(エフアネソクトコグ)
250国際単位1瓶
500国際単位1瓶
1,000国際単位1瓶
2,000国際単位1瓶
3,000国際単位1瓶
49,543円
99,085円
198,171円
396,341円
594,512円
792,683円
血友病A
キュービトル20%皮下注
(免疫グロブリン)
2g10mL1瓶
4g20mL1瓶
8g40mL1瓶
21,882円
43,195円
85,266円
ガンマグロブリン血症
リスティーゴ皮下注
(ロザノリキシズマブ)
280mg2mL1瓶 356,392円 重症筋無力症

 

画像はこちらです。>>高画質で表示

令和5年(2023年)11月22日に薬価収載された新薬一覧表

薬価の算定方法

各薬剤の薬価算定方法は2023年11月15日の中医協総会の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。

 

フォゼベル:類似薬効比較方式(Ⅰ) (ピートルチュアブル)【加算あり】

フォゼベルは、同じく「透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」に使用するピートルチュアブル錠(スクロオキシ水酸化鉄)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅰ)(A=40%)が加算されていますね! 40%は久々に見た気がします(笑)

 

元々の薬価は、30mg1錠が458.40円でしたが、加算(×1.4)の上、以下の薬価に決定しました。

 

  • ピートルチュアブル錠250mg:152.80円(1日薬価:916.80円)
  • フォゼベル錠5mg:234.10円
  • フォゼベル錠10mg:345.80円
  • フォゼベル錠20mg:510.90円
  • フォゼベル錠30mg:641.80円(1日薬価:1,283.60円)

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序かつ有用性が認められている点が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:既存の薬剤とは異なる新規の薬理作用を有しており、また、既存のリン吸着薬で効果不十分な血液透析患者を対象に実施された試験において本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証されていることから、有用性加算(Ⅰ)(A=40%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は193億円です。

 

作用機序とエビデンスについては、以下で解説しています。

フォゼベル(テナパノル)の作用機序【高リン血症】

続きを見る

 

コルスバ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (レミッチ)【加算あり】

コルスバは、同じく透析患者におけるそう痒症の改善に使用するレミッチOD錠(ナルフラフィン)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)が加算されていますね!

 

元々の薬価は25μg0.7mL1筒 3,337円でしたが、加算(×1.05)の上、キット特徴部位の原材料費を考慮して以下の薬価に決定しました。

  • レミッチOD錠2.5μg:715.10円(1日薬価:1,430.20円)
  • コルスバ静注透析用シリンジ17.5μg:2,971円
  • コルスバ静注透析用シリンジ25.0μg:3,609円(1日薬価:1,547円)
  • コルスバ静注透析用シリンジ35.0μg:4,341円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。既存治療不応例に対しても効果が認められている点が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:本剤は既存治療では効果が不十分な患者群において効果が認められており、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は44億円です。

 

レクビオ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(レパーサ)【加算あり】

レクビオは同じく高コレステロール血症に使用するレパーサ(エボロクマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅰ)(A=40%)が加算されています。レクビオも40%!

 

元々の薬価は、300mg1.5mL1筒316,820円でしたが、加算(×1.4)の上、以下の薬価に決定しました。

  • レパーサ皮下注140mgペン:24,302円(1日薬価:1,736円)
  • レクビオ皮下注300mgシリンジ:443,548円(1日薬価:2,430円)

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序かつ投与間隔が6か月で利便性が向上する点が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:既存の薬剤とは異なる新規の薬理作用を有し、また、投与間隔が長く患者の利便性が高いことから、有用性加算(Ⅰ)(A=40%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は195億円です。

 

作用機序とエビデンス、そしてレパーサとの違いについては以下で解説しています。

レクビオ(インクリシラン)の作用機序・特徴:レパーサとの違い【脂質異常症】

続きを見る

 

ウゴービ:原価計算方式【加算あり】

ウゴービは、GLP-1受容体作動薬に分類されているものの、同様の効能・効果(肥満症)、薬理作用を有する既収載品はないことから新薬算定最類似薬はないと判断されました。

よって、算定方式は原価計算方式(組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例)です。

 

また、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)の対象でしたが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数がゼロに。

 

木元 貴祥
出ましたね、加算係数ゼロ・・・。

 

2022年の診療報酬改定で開示度に応じた加算係数ですが、これまでにほとんどの新薬は加算係数ゼロでした。従って、特に加算はなく、以下の薬価に決定しています。

  • ウゴービ皮下注0.25mg SD:1,876円
  • ウゴービ皮下注0.5mg SD:3,201円
  • ウゴービ皮下注1.0mg SD:5,912円
  • ウゴービ皮下注1.7mg SD:7,903円
  • ウゴービ皮下注2.4mg SD:10,740円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。既存治療で効果不十分な場合にも有効性が認められている点が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:国際共同試験において、既存の治療方法では効果が不十分な患者群において効果が認められたことから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は328億円です。

 

作用機序・エビデンスや類薬のサノレックス(マジンドール)との違いについては、以下の記事で解説しています。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

続きを見る

 

メグルダーゼ:原価計算方式【加算あり】

メグルダーゼは、「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒」を効能・効果としますが、同様の効能・効果、薬理作用を有する既収載品はないこと等から、新薬算定最類似薬はないと判断されました。

よって、算定方式は原価計算方式です。

 

また、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象でしたが、もちろんこちらも原価の開示度が50%を下回ったため加算係数はゼロです(チーン…)

 

よって、以下の薬価に決定しました。

  • メグルダーゼ静注用1000単位1瓶:2,674,400円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。有用性が確認され、海外のガイドラインでも標準治療に位置付けられている点が評価されていますね。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:ロイコボリン救援療法及び支持療法が実施されている患者に対して、血中メトトレキサート濃度の低減効果が認められていること、米国NCCNガイドラインの記載等から、標準治療法になるものと考えられることから、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)を適用することが適当と判断した。
  • 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす

 

ピーク時の予測販売金額は8.4億円です。

 

ジルビスク:類似薬効比較方式(Ⅰ) (ウィフガート)

ジルビスクは、同じく重症筋無力症に使用するウィフガート(エフガルチギモド)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

特に加算はなく、キット特徴部位の原材料費を考慮の上、以下の薬価に決定しました。

  • ウィフガート点滴静注400mg:421,455円(1日薬価:75,260円)
  • ジルビスク皮下注16.6mgシリンジ:69,580円(1日薬価:69,580円)
  • ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ:96,347円
  • ジルビスク皮下注32.4mgシリンジ:135,661円

 

ピーク時の予測販売金額は89億円です。

 

作用機序とエビデンスについては、以下で解説しています。

ジルビスク皮下注(ジルコプラン)の作用機序【重症筋無力症】

続きを見る

 

当日の中医協総会では、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤とすることも了承されましたので、発売と同時に在宅自己注射が可能になる見込みです。

 

エプキンリ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ビーリンサイト)【加算あり】

エプキンリは、同じく造血器腫瘍に使用する二重特異性抗体のビーリンサイト(ブリナツモマブ)の1日薬価に合わせて算定されました(適応症は異なります)。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)が加算されています。

 

元々の薬価は、48mg0.8mL1瓶 1,450,330円したが、加算(×1.1)の上、以下の薬価に決定しました。

  • ビーリンサイト点滴静注用35μg:285,961円(1日薬価:103,595円)
  • エプキンリ皮下注4mg:137,724円
  • エプキンリ皮下注48mg:1,595,363円(1日薬価:113,955円)

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。海外では標準治療に位置付けられている点と、利便性が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:海外の診療ガイドラインにおいて標準的治療法として推奨されていること、また、本剤は単剤療法であり、投与時間も1分未満の皮下注製剤であり患者の負担は一定程度軽減されると考えられることから、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は307億円です。

 

作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。

エプキンリ(エプコリタマブ)の作用機序【DLBCL】

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フェスゴ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (パージェタ/ハーセプチン)

フェスゴは、パージェタ(ペルツズマブ)ハーセプチン(トラスツズマブ)の配合剤のため、これらを合算した1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。

  • パージェタ点滴静注420mg/14mL:206,472円(1日薬価:9,832円)
  • ハーセプチン注射用150:31,113円(1日薬価:2,963円)
  • フェスゴ配合皮下注 MA:268,695円(1日薬価:12,795円)
  • フェスゴ配合皮下注 IN:471,565円

 

ちなみに、当初算定案に対しては以下の不服申し立てがありました。回答は矢印の通りで、算定方式は通っていましたが、有用性加算は却下されていました。

  • 算定方法について、本剤は以下の点を踏まえると、新医療用配合剤の特例の除外要件である「臨床上のメリットが明らかな注射用配合剤」に該当するため、算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)が適切であり、かつ有用性加算の要件③-cを満たす。
    ・既にボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を含むダラキューロ配合皮下注があるものの、本剤の臨床開発はダラキューロ配合皮下注と同時期に着手している。
    ・本剤による投与時間の短縮は、乳癌患者のアンメットニーズの改善につながる。

↓↓↓

  • ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を配合することで、既存の薬剤の組み合わせに対して投与時間を短くできることは自明であるものの、本剤とダラキューロ配合皮下注の臨床試験実施時期を踏まえると、本剤についても一定の評価はできる
  • 乳癌治療において、現時点ではペルツズマブ(遺伝子組換え)及びトラスツズマブ(遺伝子組換え)を投与する場合は、2回に分けて数時間にわたる点滴静注が必要であるのに対し、本剤1回の短時間での皮下投与が可能であることを踏まえると、臨床上のメリットが明らかな注射用配合剤と考えられるため、算定方法は類似薬効比較方式(I)とする。
  • ただし、日本人乳癌患者を対象に実施した調査結果によると、点滴静注を選好する患者もある程度存在していること等を踏まえると、使用に際しての利便性が著しく高いとまでは判断できず、有用性加算の要件③-cには該当しない

 

木元 貴祥
元々は類似薬効比較方式(Ⅱ)だったのでしょうかね。有用性加算は仕方ないのかもしれません。

 

ピーク時の予測販売金額は344億円です。

 

作用機序やエビデンスについては、以下で解説しています。

フェスゴ配合皮下注(ペルツズマブ/トラスツズマブ)の作用機序【乳がん/大腸がん】

続きを見る

 

デュピクセント:規格間調整【加算あり】

デュピクセントは、2023年9月25日生後6か月以上のアトピー性皮膚炎に対する適応拡大が承認されています。それに伴い、新規格として200mgシリンジが追加されました。

既に300mgシリンジが承認・販売されているため、算定方式は規格間調整です。

 

また、小児加算(A=10%)が加算されています。

 

元々の薬価は、200mg1.14mL1筒 39,382円したが、加算(×1.1)の上、以下の薬価に決定しました。

  • デュピクセント皮下注300mgシリンジ:58,593円(1日薬価:4,185円)
  • デュピクセント皮下注200mgシリンジ:43,320円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。

 

加算の根拠

  • 小児加算:本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。既収載の医薬品に係る適応の対象年齢等を踏まえ、加算率は10%が妥当である。

 

ピーク時の予測販売金額は58億円です。

 

作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】

続きを見る

 

アレモ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ヘムライブラ)【加算あり】

アレモは、同じく血友病に使用するヘムライブラ(エミシズマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅰ)(A=35%)、市場性加算(Ⅰ)(A=10%)が加算されています。

 

元々の薬価は、150mg1.5mL1キット 1,304,985円したが、加算(×1.45)の上、以下の薬価に決定しました。

  • ヘムライブラ皮下注150mg:1,217,985円(1日薬価:86,999円)
  • アレモ皮下注15mg:249,546円
  • アレモ皮下注60mg:844,727円
  • アレモ皮下注150mg:1,893,013円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序である点が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:既存の薬剤とは異なる作用点を有すること、臨床試験においてインヒビター保有血友病患者における有効性が検証された等、治療方法の改善に該当することから、有用性加算(Ⅰ)(A=35%)を適用することが適当と判断した。
  • 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。

 

ピーク時の予測販売金額は20億円です。

 

作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。

アレモ皮下注(コンシズマブ)の作用機序・特徴【血友病】

続きを見る

 

当日の中医協総会では、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤とすることも了承されましたので、発売と同時に在宅自己注射が可能になる見込みです。

 

オルツビーオ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ジビイ)【加算あり】

オルツビーオは、血友病Aに使用する補充療法のジビイ(ダモクトコグ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)が加算されています。

 

元々の薬価は、3,000国際単位1瓶 566,202円したが、加算(×1.05)の上、以下の薬価に決定しました。

  • ジビイ静注用3000:353,876円(1日薬価:67,405円)
  • オルツビーオ静注用250:49,543円
  • オルツビーオ静注用500:99,085円
  • オルツビーオ静注用1000:198,171円
  • オルツビーオ静注用2000:396,341円
  • オルツビーオ静注用3000:594,512円(1日薬価:70,775円)
  • オルツビーオ静注用4000:792,683円

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。週1回投与で治療可能なため、利便性が評価されました。

 

加算の根拠

  • 有用性加算:既存の薬剤より効果の持続が著しく長いことから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は191億円です。

 

作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。

オルツビーオ(エフアネソクトコグ)の作用機序・特徴【血友病】

続きを見る

 

キュービトル:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ハイゼントラ)【加算あり】

キュービトルは、同じく無又は低ガンマグロブリン血症に使用するハイゼントラ(pH4処理酸性人免疫グロブリン)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、小児加算(Ⅱ)(A=5%)が加算されています。

 

元々の薬価は、8g40mL1瓶 81,206円したが、加算(×1.05)の上、以下の薬価に決定しました。

  • ハイゼントラ20%皮下注4g/20mL:40,603円(1日薬価:14,501円)
  • キュービトル20%皮下注2g/10mL:21,882円
  • キュービトル20%皮下注4g/20mL:43,195円
  • キュービトル20%皮下注8g/40mL:85,266円(1日薬価:15,226円)

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。

 

加算の根拠

  • 小児加算:国内臨床試験に小児患者が含まれており、効能・効果及び用法・用量は小児と成人の区別がされておらず、小児にも使用可能である等から、加算率は5%が妥当である。

 

ピーク時の予測販売金額は29億円です。

 

リスティーゴ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (ウィフガート)

リスティーゴは、同じく重症筋無力症に使用するウィフガート(エフガルチギモド)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

また、市場性加算(Ⅰ)(A=10%)が加算されています。

 

元々の薬価は、280mg2mL1瓶 323,993円したが、加算(×1.1)の上、以下の薬価に決定しました。

  • ウィフガート点滴静注400mg:421,455円(1日薬価:75,260円)
  • リスティーゴ皮下注280mg:356,392円(1日薬価:76,370円)

 

なお、加算の根拠は以下の通りです。

 

加算の根拠

  • 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。

 

ピーク時の予測販売金額は204億円です。

 

作用機序とエビデンスについては、以下で解説しています。

リスティーゴ皮下注(ロザノリキシズマブ)の作用機序【重症筋無力症】

続きを見る

 

市場拡大再算定:イミフィンジ、ポライビー

効能変更等が承認された既収載品及び2年度目以降の予想販売額が一定規模を超える市場拡大のあった場合、新薬収載の機会(年4回)を活用して、薬価を見直すこととされています。

 

イミフィンジ(デュルバルマブ)は、2022年12月23日に「治癒切除不能な胆道がん」、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」、「切除不能な肝細胞がん」の適応拡大が承認され、市場規模が増加してしまいました。

イミフィンジ(デュルバルマブ)の作用機序と副作用【肺がん/胆道がん】

続きを見る

 

また、ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)2022年8月24日に「未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」の適応拡大が承認されました。

ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)の作用機序・特徴【DLBCL】

続きを見る

 

その結果、2024年2月1日より、現在販売されている上記医薬品の薬価は以下に引き下げられます。

イミフィンジは約25%、ポライビーは約15%の薬価ダウンです。

 

木元 貴祥
毎度毎度思いますが、せっかにの適応拡大なのに、少し残念な制度ですね…。

 

費用対効果評価:レットヴィモ、ウィフガート、ジスバル

費用対効果評価も行われ、以下の薬剤についても2024年2月1日より薬価が下がります。

 

あとがき

今回は13製品中、10製品が加算対象でした!多かったですね~♪

 

また、ピーク時の予測販売金額が100億円を超えたのは以下の7製品です。

 

木元 貴祥
300億円超えが3製品もありますね!久々の大型新薬です。

 

以上、今回は2023年11月22日に薬価収載された新薬13製品についてご紹介しました!

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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