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2025年8月22日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を対象疾患とするイブトロジーカプセル(タレトレクチニブ)の承認が了承されました!
日本化薬|申請のニュースリリース
基本情報
製品名 | イブトロジーカプセル200mg |
一般名 | タレトレクチニブアジピン酸塩 |
製品名の由来 | |
製造販売 | 日本化薬(株) |
効能・効果 | ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん |
用法・用量 | 1回600mgを1日1回経口投与? |
収載時の薬価 | |
発売日 |

既に、肺がん領域では3製品のROS1阻害薬が承認されていますので、イブトロジーは4製品目です。
初回治療から使用可能ですが、既存のROS1阻害薬で抵抗性の場合にも効果が期待されています。
今回は非小細胞肺がんとイブトロジー(タレトレクチニブ)の作用機序・エビデンスについて解説です!
肺がんの分類について
肺がんは性質や薬の効き方によって“非小細胞肺がん”と“小細胞肺がん”に分類されています。
早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。

非小細胞肺がんの治療(切除不能・再発の場合)
非小細胞肺がんはその組織型によって以下の2種類に分類されています。
- 非扁平上皮がん
- 扁平上皮がん
今回は①非扁平上皮がんを中心にご紹介します。②扁平上皮がんについては以下の記事をご確認ください。
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ポートラーザ(ネシツムマブ)の作用機序と副作用【肺がん】
続きを見る
非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)の初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況(ドライバー遺伝子変異など)によって対応するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)を使用します。1)
ドライバー遺伝子変異など | 初回化学療法例 |
EGFR遺伝子変異陽性 |
|
ALK融合遺伝子陽性 | |
ROS1融合遺伝子陽性 |
|
BRAF遺伝子変異陽性 | |
MET遺伝子変異陽性 | |
RET融合遺伝子陽性 | |
遺伝子変異/転座陰性 (または不明) |
|
最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。
イブトロジーが関係するROS1融合遺伝子陽性の割合は約1%ほどです。
ROS1融合遺伝子陽性の肺がん
ROS1融合遺伝子とは、ROS1遺伝子と別の遺伝子が転座して融合してできる遺伝子で、これを元に合成されるのが「ROS1融合タンパク」です。
切除不能な非小細胞肺がんでROS1融合遺伝子が陽性の場合、既存のROS1阻害薬であるロズリートレクやオータイロが使用されます。1)
しかしながら、これらのROS1阻害薬によって「G2032R」などの変異による抵抗性を生じることがあります。2)

イブトロジー(タレトレクチニブ)の作用機序
イブトロジーはROS1融合タンパクおよびG2032R変異による耐性を生じたROS1タンパクを選択的に阻害する新規の薬剤です!
下図のようにROS1融合タンパクを阻害することで、がん細胞の増殖を抑制すると考えられています。

エビデンス紹介:TRUST試験
根拠となった臨床試験をご紹介します(TRUST-Ⅰ/Ⅱ試験)2)。
本試験は、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者さんを対象に、オータイロの有効性・安全性を検討した非無作為化の国際共同第Ⅱ相臨床試験です。
主要評価項目は「客観的奏効率」とされ、ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者の各背景における結果は以下の通りでした。
客観的奏効率
<ROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん>
- ROS1阻害薬の治療歴なし:88.8%
- 1種類のROS1阻害薬の治療歴あり:55.8%
- ROS1 G2032R 変異陽性例:61.5%

副作用
後日更新予定です。
類薬では、重大な副作用としては、
- 中枢神経系障害
- 間質性肺疾患
が挙げられていますので、同様に注意が必要だと思われます。

用法・用量
正式承認後に更新予定です。
臨床試験では、1回600mgを1日1回経口投与とされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
イブトロジーはこんな薬
- 国内4製品名のROS1阻害薬
- ROS1のG2032R変異に対しても効果が期待
- 中枢神経系障害には注意が必要
ROS1融合遺伝子陽性の割合は約1%ほどと非常に稀ですが、ザーコリ、ロズリートレク、オータイロしか選択肢がなかったため、新たな選択肢が望まれていました。
また、これらのROS1阻害薬に抵抗性を示した場合の選択肢もありませんでした。

イブトロジーはTRK阻害作用も有しているため、ロズリートレクのようなNTRK陽性の固形がんの臓器横断的な適応拡大も期待できます。
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ロズリートレク(エヌトレクチニブ)の作用機序【NTRK陽性の固形がん/ROS1陽性の肺がん】
続きを見る
以上、今回は非小細胞肺がんとイブトロジー(タレトレクチニブ)の作用機序・エビデンスについて解説しました♪
参考資料・論文等
- 日本肺癌学会|肺癌診療ガイドライン2024年版
- TRUST試験:J Clin Oncol. 2025 Jun;43(16):1920-1929.
- Cancer Discov. 2018 Oct;8(10):1227-1236.
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