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2025年5月21日、新薬10製品が薬価収載されました!
前々回から見送りになっていたバルバーサ錠(エルダフィチニブ)は、今回も議題に挙がっていませんでした。

その他、市場拡大再算定や費用対効果評価を踏まえた薬価の引き下げも了承され、2025年8月1日より薬価がダウンする薬剤もありました・・・。
なお、本記事には掲載していないものの、同時期に報告品目の薬価収載も行われています。例えば、週2回貼付型のリバスチグミンの経皮吸収型製剤であるリバルエンLAパッチも2025年5月21日に収載されていますね。
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リバルエンLAパッチ(リバスチグミン)の作用機序【アルツハイマー型認知症】
続きを見る
今回は薬価収載の新薬一覧とその算定根拠について紹介していきます!
2025年5月21日:薬価収載された10製品
2025年5月21日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。
製品名 (一般名) |
規格 | 薬価 | 効能・効果 (簡略) |
カムザイオスカプセル (マバカムテン) |
1mg1カプセル 2.5mg1カプセル 5mg1カプセル |
7,204.00円 7,264.80円 7,410.50円 |
肥大型心筋症 |
ビヨントラ (アコラミジス) |
400mg1錠 | 8,995.90円 | ATTR-CM |
リブマーリ (マラリキシバット) |
1%30mL1瓶 | 3,888,640.70円 | アラジール症候群 |
ティブソボ (イボシデニブ) |
250㎎1錠 | 30,007.60円 | IDH1変異陽性のAML |
ラズクルーズ (ラゼルチニブ) |
80mg1錠 240mg1錠 |
4,403.30円 12,354.70円 |
EGFR変異陽性のNSCLC |
プレバイミス顆粒 (レテルモビル) |
20mg1包 120mg1包 |
3,025.60円 10,006.20円 |
サイトメガロウイルス感染 |
トレムフィア (グセルクマブ) |
点滴静注200mg 皮下注200mg 皮下注200mg |
253,045円 339,733円 339,733円 |
潰瘍性大腸炎 |
テビムブラ (チスレリズマブ) |
100mg10mL1瓶 | 214,498円 | 食道がん |
テブダック (チソツマブ ベドチン) |
40mg1瓶 | 252,241円 | 子宮頸がん |
ハイキュービア10%皮下注セット (免疫グロブリン/ボルヒアルロニダーゼ) |
5g/50mL 10g/100mL 20g/200mL |
56,816円 112,154円 221,382円 |
無又は低ガンマグロブリン血症 |
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薬価の算定方法
各薬剤の薬価算定方法は2025年5月14日の中医協総会の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。
カムザイオス:原価計算方式 【加算あり】
カムザイオスと同様の「閉塞性肥大型心筋症」を効能・効果とする薬剤はなく、同様の作用機序を有する類薬もないことから、新薬算定最類似薬はないと判断されました。
そのため、原価計算方式で算定されました。
また、有用性加算(Ⅰ)(A=45%)、市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象でしたが、原価の開示度が50%未満だったため、加算係数ゼロです…。
そのため、加算は行われずに以下の薬価に決定しました。
- カムザイオスカプセル1mg:7,204.00円
- カムザイオスカプセル2.5mg:7,264.80円
- カムザイオスカプセル5mg:7,410.50円
なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序であることなどが評価されていますね。
加算の根拠
- 有用性加算:本剤は選択的心筋ミオシン阻害作用を有する新規作用機序医薬品であること、閉塞性肥大型心筋症の治療に用いられる薬剤において約13年11か月間、新規の作用機序の新薬収載がないこと、既存の治療で効果が不十分な患者群に対して有効性が期待できること等から、有用性加算(Ⅰ)(A=45%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。
ピーク時の予測販売金額は219億円です(予測本剤投与患者数7.3千人)。
作用機序については、以下で解説しています。
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カムザイオス(マバカムテン)の作用機序【肥大型心筋症】
続きを見る
ビヨントラ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ビンマック)
ビヨントラは、同じくトランスサイレチン型心アミロイドーシスに使用するTTR四量体安定化薬のビンマック(タファミジス)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- ビンマックカプセル61mg:35,983.70円(1日薬価:35,983.70円)
- ビヨントラ錠400mg:8,995.90円(1日薬価:35,983.60円)
ピーク時の予測販売金額は142億円です(予測本剤投与患者数1.1千人)。
以下の記事で、作用機序などについて解説しています。
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ビヨントラ(アコラミジス)の作用機序:ビンマックなどとの違い【ATTR-CM】
続きを見る
リブマーリ:原価計算方式 【加算あり】
リブマーリと同様の効能・効果を有する既収載品はないこと等から新薬算定最類似薬はないと判断されました。
算定方式は原価計算方式です。
また、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)、市場性加算(Ⅰ)(A=15%)の対象でしたが、原価の開示度が50%未満だったため、加算係数ゼロです…。

そのため、特に加算はされずに、以下の薬価に決定しました。
- リブマーリ内用液10mg/mL :3,888,640.70円
なお、加算の根拠は以下の通りです。標準治療がなかった点などが評価されていますね。
加算の根拠
- 有用性加算:本剤の適応に対する既存治療の効果は限定的で、標準的治療法が確立していない重篤な疾患であり、本剤は胆汁うっ滞に伴うそう痒に対する効果が認められていることから、有用性加算(Ⅱ)(A=10%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。患者数が極めて少なく開発が難しいと想定される中で、本適応症に対する治療薬として初めて承認された薬剤であること等を踏まえ、加算率は15%が妥当である。
ピーク時の予測販売金額は73億円です(予測本剤投与患者数91人)。
作用機序や特徴については、以下の記事で解説しています。
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リブマーリ(マラリキシバット)の作用機序【アラジール症候群】
続きを見る
ティブソボ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(ベネクレクスタ)【加算あり】
ティブソボは、同じく急性骨髄性白血病に使用するベネクレクスタ(ベネトクラクス)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
有用性加算(Ⅰ)(A=35%)、市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象で、かつ外国平均価格調整が行われて、以下の薬価に決定しました。
- ベネクレクスタ錠100mg:7,585.90円(1日薬価:30,343.60円)
- ティブソボ錠250mg:30,007.60円(1日薬価:60,015.20円)

なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序である点などが評価されていますね。
加算の根拠
- 有用性加算:本剤はIDH1阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、IDH1遺伝子変異陽性の患者を対象とした臨床試験成績から本剤の有効性が期待できること等から、有用性加算(Ⅰ)(A=35%)を適用することが適当と判断した。
- 市場性加算:本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。
ピーク時の予測販売金額は26億円です(予測本剤投与患者数120人)。
以下の記事で作用機序などについて解説しています。
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ティブソボ(イボシデニブ)の作用機序【AML/胆道がん】
続きを見る
ラズクルーズ:類似薬効比較方式(Ⅱ)(EGFR阻害薬)
ラズクルーズは新規のEGFR阻害薬ですが、既に類薬が多数あるため、過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅱ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- 過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価:12,354.70円
- ラズクルーズ錠80mg:4,403.30円
- ラズクルーズ錠240mg:12,354.70円
ピーク時の予測販売金額は130億円です(予測本剤投与患者数6.4千人)。
作用機序とエビデンスについては、以下で解説しています。
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ラズクルーズ(ラゼルチニブ)の作用機序【肺がん】
続きを見る
プレバイミス顆粒分包:類似薬効比較方式(Ⅰ)(プレバイミス錠)【加算あり】
プレバイミスは既に錠剤がありましたが、今回は顆粒分包が追加されます。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
バクタ配合顆粒とバクタ配合錠の剤形間比や、ゾフルーザ錠20mgとゾフルーザ錠10mgの規格間比の調整が行われ、さらに小児加算(A=20%)が加算され、以下の薬価に決定しました。
- プレバイミス錠240mg:14,645.50円(1日薬価:29,291.00円)
- プレバイミス顆粒分包20mg:3,025.60円
- プレバイミス顆粒分包120mg:10,006.20円(1日薬価:40,024.80円)
なお、加算の根拠は以下の通りです。
加算の根拠
- 小児加算:本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。「造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」に対する小児用量の承認を取得した初めての薬剤であること、日本人の試験組み入れ数、本邦における承認は米国と比べて大きく遅れていないこと等を踏まえ、加算率は20%が妥当である。
ピーク時の予測販売金額は1.6億円です(予測本剤投与患者数130人)。
作用機序については、以下で解説しています。
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プレバイミス(レテルモビル)の作用機序と副作用【サイトメガロウイルス感染】
続きを見る
トレムフィア点滴静注/皮下注:類似薬効比較方式(Ⅰ)/規格間調整
トレムフィアは既に皮下注100mg製剤が乾癬に対して承認されていましたが、今回、潰瘍性大腸炎に適応拡大と共に追加された以下の剤形の薬価収載が行われました。
- 点滴静注200mg
- 皮下注200mgシリンジ
- 皮下注200mgペン
点滴静注200mgは、同じく潰瘍性大腸炎に使用する生物学的製剤のオンボー(ミリキズマブ)の1日薬価に合わせて類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定され、皮下注製剤は皮下注100mg製剤との規格間調整によって算定されました。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- トレムフィア点滴静注200mg:253,045円
- トレムフィア皮下注200mgシリンジ:339,733円
- トレムフィア皮下注200mgペン:339,733円
ピーク時の予測販売金額は以下の通りです。
- 点滴静注200mg:45億円(予測本剤投与患者数5.9千人)
- 皮下注200mg:217億円(予測本剤投与患者数6.4千人)
作用機序とエビデンスについては、以下の記事で解説しています。
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トレムフィア(グセルクマブ)の作用機序と副作用【乾癬/掌蹠膿疱症】
続きを見る
潰瘍性大腸炎に使用する生物学的製剤の比較一覧表については、以下の記事に掲載しています。
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オンボー(ミリキズマブ)の作用機序【潰瘍性大腸炎/クローン病】
続きを見る
テビムブラ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (キイトルーダ)
テビムブラは、同じく食道がんに使用する抗PD-1抗体薬のキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。
- キイトルーダ点滴静注100mg:214,498円(1日薬価:20,428円)
- テビムブラ点滴静注100mg:214,498円(1日薬価:20,428円)
ピーク時の予測販売金額は406億円です(予測本剤投与患者数5.4千人)。
作用機序やエビデンスについては、以下の記事で解説しています。
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テビムブラ(チスレリズマブ)の作用機序【食道がん】
続きを見る
テブダック:類似薬効比較方式(Ⅰ)(リブタヨ)【加算あり】
テブダックは、同じく子宮頸がんに使用するリブタヨ(セミプリマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

有用性加算(Ⅰ)(A=40%)の対象で、元々の薬価を1.4倍した以下の薬価に決定しました。
- リブタヨ点滴静注350mg:450,437円(1日薬価:21,449円)
- テブダック点滴静注用40mg:252,241円(1日薬価:30,029円)
なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序である点などが評価されていますね。
加算の根拠
- 有用性加算:本剤は組織因子を標的とする初めての抗体薬物複合体であり、化学療法歴のある進行又は再発の子宮頸癌患者に対して有効性が示されていること、臨床試験成績からペムブロリズマブを含む化学療法歴のある患者に対して本剤は比較薬よりも優先されること、また、子宮頸癌患者の二次治療以降の治療に対して標準的治療法として位置付けられることが見込まれることから、有用性加算(Ⅰ)(A=40%)を適用することが適当と判断した。
ピーク時の予測販売金額は35億円です(予測本剤投与患者数797人)。
作用機序とエビデンスについては以下で解説しています。
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テブダック(チソツマブ ベドチン)の作用機序【子宮頸がん】
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ハイキュービア:類似薬効比較方式(Ⅰ)(キュービトル)【加算あり】
ハイキュービアは、同じく無又は低ガンマグロブリン血症に使用し、同じ作用機序を有するキュービトルの1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
有用性加算(Ⅱ)(A=5%)の対象のため、元の薬価を1.05倍した以下の薬価に決定しました。
- キュービトル20%皮下注8g/40mL:84,337円(1日薬価:15,060円)
- ハイキュービア10%皮下注セット5g/50mL:56,816円
- ハイキュービア10%皮下注セット10g/100mL:112,154円
- ハイキュービア10%皮下注セット20g/200mL:221,382円(1日薬価:15,813円)
ピーク時の予測販売金額は22億円です(予測本剤投与患者数731人)。
作用機序やエビデンスについては、以下の記事で解説しています。
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ルンスミオ(モスネツズマブ)の作用機序【悪性リンパ腫】
続きを見る
市場拡大再算定:アイリーア、ジャディアンス
効能変更等が承認された既収載品及び2年度目以降の予想販売額が一定規模を超える市場拡大のあった場合、新薬収載の機会(年4回)を活用して、薬価を見直すこととされています。
アイリーア(アフリベルセプト)は順次適応拡大されていますので、年間販売額が1,000億円超1,500憶円以下かつ、基準年間販売額の1.5倍以上に該当すると判断されました。

その結果、2025年8月1日より、現在販売されている上記医薬品の薬価は以下に引き下げられます。アイリーアは約19.5%の薬価ダウンです。
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バビースモ(ファリシマブ)の作用機序:類薬との違い・比較【加齢黄斑変性】
続きを見る
また、SGLT2阻害薬のジャディアンス(エンパグリフロジン)も、慢性心不全や慢性腎臓病に対して適応拡大されていて、年間販売額が350億円超かつ、基準年間販売額の2倍以上という要件に該当すると判断されました。
類薬として、SGLT2阻害薬全体の薬価がダウンします。

同じく2025年8月1日より、現在販売されているSGLT2阻害薬の薬価は以下に引き下げられます。ジャディアンスは約12%の薬価ダウンです。
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【糖尿病】SGLT2阻害薬の作用機序・副作用と一覧まとめ(単剤と配合剤)
続きを見る
費用対効果評価:エプキンリ
中医協総会では、費用対効果評価も行われ、エプキンリ(エプコリタマブ)についても2025年8月1日より薬価が下がります。また、道連れでルンスミオ(モスネツズマブ)も薬価ダウンです。
共に2.7%ほどの薬価ダウンですね…。
あとがき
今回は10製品中、6製品が加算対象でした!

以上、今回は2025年5月21日に薬価収載された新薬11製品についてご紹介しました!
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