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ビヨントラ(アコラミジス)の作用機序:ビンマックなどとの違い【ATTR-CM】

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2025年3月6日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)」を対象疾患とするビヨントラ錠(アコラミジス)の承認が了承されました!

※ATTR-CM:Transthyretin Amyloid Cardiomyopathy

基本情報

製品名 ビヨントラ錠400mg
一般名 アコラミジス塩酸塩
製品名の由来
製造販売 アレクシオンファーマ合同会社
効能・効果 トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
用法・用量 通常、成人にはアコラミジス塩酸塩として
1回800mgを1日2回経口投与する。
収載時の薬価
発売日

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ATTR-CMに使用する新規のTTR四量体安定化薬ですね!

 

既に類薬として、ビンダケル(タファミジスメグルミン)やビンマックカプセル(タファミジス)が承認・販売されています。

 

今回はATTR-CMとビヨントラ(アコラミジス)の作用機序についてご紹介していきます。

 

トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)とは

何らかの原因で異常なタンパク質(アミロイド)が全身や臓器に沈着することによって引き起こされる疾患の総称を全身性アミロイドーシスと呼んでいて、難病に指定されています。1)

特に心臓に沈着することによって様々な障害を引き起こす疾患が心アミロイドーシスです。原因となる異常タンパク質によって主に以下の3種類が知られています。2)

  1. 野生型ATTR-CM
  2. 変異型ATTR-CM
  3. ALアミロイドーシス(免疫グロブリン性アミロイドーシス)

 

今回ご紹介するのは①②で、原因となる異常タンパク質は「トランスサイレチン(TTR)」ですね。TTRの発生原因によって野生型と変異型に分けられています。

 

TTRが心臓に沈着するため、進行に伴い様々な心症状が現れます(例:心不全、息苦しさ、胸の痛み、不整脈、動悸など)。また全身に沈着することもあり、手根管に蓄積すると手根管症候群、神経細胞に沈着するとニューロパチー(しびれ)を呈すことも。

 

原因

正常な場合、TTRは肝臓で合成され、安定な四量体として存在しています。その後、血中に放出されますが、血中でも四量体のまま安定化しているため、特に悪さはしません。

 

しかしATTR-CMでは何らかの遺伝子異常や加齢によって、肝臓で異常なTTRが合成されます。異常なTTRは血中に放出されると不安定な状態になり、異常な単量体として存在するようになります。

異常なTTRの単量体が凝集することでアミロイドを形成し、心臓に沈着することでATTR-CMを発症すると考えられています。

ATTR-CMの発症原因:異常なTTRが合成され、アミロイドが心臓に蓄積する

 

治療

心機能の低下や不整脈の状態に応じて、まずは心不全・不整脈に準じた治療を行います。心不全については以下の記事をご参考ください。

エンレスト(サクビトリルバルサルタン)の作用機序【心不全】

続きを見る

 

その他、ATTR-CMの原因に対する治療法としては、以下があります。2)

  • 肝移植:異常なTTRを合成している肝臓を取り換える。(※野生型ATTR-CMのみ)
  • TTR四量体安定化薬:ビンマックやビンダケルによって進行を抑制させる。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ビヨントラも新たなTTR四量体安定化薬として使用可能ですね。

 

ビヨントラ(アコラミジス)の作用機序:TTR四量体安定化

ビンビヨントラは異常なTTRの四量体に結合し、その構造を安定化させます。その結果、異常な単量体への移行を抑制し、アミロイド化を防ぐと考えられていますね!

ビヨントラ(アコラミジス)の作用機序:TTR四量体安定化

 

木元 貴祥
木元 貴祥
アミロイドの心臓への蓄積が抑制できるため、症状緩和と進行抑制効果が期待できるのではないでしょうか。

 

用法・用量

通常、成人にはアコラミジス塩酸塩として1回800mg(2錠)を1日2経口投与します。

 

類薬のビンダケルやビンマックは1日1回のため、少し使いづらいかもしれませんね。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

ビンダケル、ビンマックとの比較・違い

類薬のビンダケル、ビンマックとの違いについて一覧表にしてみました。

ビヨントラ(アコラミジス)、ビンダケル、ビンマックとの比較・違い一覧表

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ビヨントラは錠剤であるため、服用はしやすいかもしれませんが、1日2回投与というのがネックになりそうです。

 

まとめ・あとがき

ビヨントラはこんな薬

  • TTR四量体に結合して安定化させる
  • 国内3製品目のTTR四量体安定化薬
  • 類薬にはビンダケル、ビンマックがある
  • 1日2回経口投与

 

これまで、ATTR-CMは治療選択肢が限られていましたが、ビンダケルやビンマックの登場により、選択肢が広がりました。

ビンマック(タファミジス)の作用機序:ビンダケルとの違い【ATTR-CM】

続きを見る

 

木元 貴祥
木元 貴祥
とはいえ、まだまだ選択肢が少ない状況ですので、ビヨントラは新たな治療選択肢として期待できるでしょう。

 

以上、今回はATTR-CMとビンマック(タファミジス)の作用機序についてご紹介しました!

 

参考資料・文献等

  1. 難病情報センター|全身性アミロイドーシス(指定難病28)
  2. 日本循環器学会|2020年版 心アミロイドーシス診療ガイドライン

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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