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「保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のヘルニコア椎間板注用1.25単位(一般名:コンドリアーゼ)が2018年3月23日に承認されました!
製薬会社
- 製造販売元:生化学工業(株)
- 発売元:科研製薬(株)
海外で承認されている国はなく、日本が世界初承認です。
今回は椎間板ヘルニアとヘルニコア(コンドリアーゼ)の作用機序、根拠となった臨床試験ついてご紹介します。
椎間板とは
椎間板は、背骨(脊柱)を構成している骨(脊椎)の間に存在する線維軟骨です。
椎間板は内側にあるゲル状の「髄核」と、それを囲む線維輪から成り立っていて、日々の生活で脊柱にかかる衝撃や圧力を分散させる働きを担っています。ようするに、クッションみたいな働きですね。
この椎間板が何らかの衝撃や圧力によって本来の位置から逸脱してしまうと、椎間板の近くに存在している神経に圧力をかける可能性があります。
椎間板ヘルニアとは
体内の臓器・器官が本来あるべき位置から逸脱してしまった状態を「ヘルニア」と呼んでいます。
例えば、臍ヘルニア(でべそ)、鼠径ヘルニア(脱腸)などが有名です。
そして、椎間板が逸脱してしまった際に引き起こされるのが「椎間板ヘルニア」です。
腰痛の原因で最も多いのが椎間板ヘルニアと言われており、経験されたことのある方も多いのではないでしょうか。
年代としては20~40歳代、性別では男性に多いとされています。
椎間板ヘルニアの主な原因には、
- 急に重い物を持ち上げる
- 座った状態で荷物を持ち、体を曲げる
- 中腰で長時間いる
- 激しいスポーツで腰への負担大
- お辞儀
- 長時間の車の運転
- 遺伝や喫煙
などがあります。
上記のような原因で椎間板の内側にある「髄核」が飛び出してしまい、脊柱の神経を圧迫することで腰や足などに強い痛みやしびれなどが生じます。
椎間板ヘルニアは、その形態や後縦靭帯の突破の有無により、以下の分類があります。
- 膨隆・突出型
- 後縦靭帯下脱出型
- 経後縦靭帯脱出型
- 遊離脱出型
今回ご紹介するヘルニコアは「後縦靭帯下脱出型」に対して使用することが可能な薬剤です。
椎間板ヘルニアの治療
椎間板ヘルニアの治療は、大きく分けて「保存療法(対処療法)」と「手術療法」があります。
椎間板ヘルニアは自然経過だけで治ることも多いため、まずは保存療法が行われます。
主な保存療法には以下があり、症状や状態に応じて行われます。
- 薬物療法:NSAIDsなどの消炎鎮痛薬や筋弛緩薬
- 神経ブロック注射:痛む部位の神経付近に局所麻酔やステロイドを注射する
- 装具療法:コルセットなどの装着
- リハビリ:筋力をつける
上記のような保存療法を行っても痛みがとれない場合や、麻痺がある場合、または、日常生活に支障があって本人が希望する場合に手術療法が行われます。
しかしながら、
手術療法は費用が高額で、数週間の入院とリハビリが必要な侵襲性の高い治療です。
今回ご紹介するヘルニコアは、
保存療法で十分な改善が得られない椎間板ヘルニアに対して、1回の投与で手術と同程度の症状改善効果が期待できる薬剤です!
ヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)の作用機序
椎間板ヘルニアでは、椎間板内部の「髄核」が飛び出している状態です。
髄核は、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などの「グリコサミノグリカン(GAG)」を主成分として構成されています。
ヘルニコアが椎間板内に投与されると、グリコサミノグリカン(GAG)を特異的に分解するといった作用機序を有しています。
GAGが分解されることで髄核が縮小して神経の圧迫が緩和され、その結果、痛み等の症状緩和効果が得られると考えられます。
また、ヘルニコアはGAG以外の物質(タンパク質など)は分解しないため、血管や神経などの周辺組織には影響を与えにくいと考えられています。
エビデンス紹介(国内の第Ⅲ相試験)
根拠となった臨床試験を一つご紹介します。
本試験は膨隆・突出型または後縦靱帯下脱出型の日本人腰椎椎間板ヘルニア患者さんを対象に、ヘルニコア(1.25単位)もしくはプラセボを椎間板内に単回投与したときの有効性及び安全性を検討する第Ⅲ相臨床試験です。1-2)
主要評価項目は、
「投与後13週時点の下肢痛(VAS)*のベースラインからの変化量」とされ、13週時点の各結果は以下の通りでした。
試験群 | プラセボ群 | ヘルニコア群 |
下肢痛(VAS)の ベースラインからの変化量 |
-34.3 mm | -49.5 mm |
プラセボとの差:-15.2 mm, p=0.001 | ||
ヘルニア体積の ベースラインからの変化量 |
-190.7㎣ | -289.1㎣ |
プラセボとの差:-98.3㎣ | ||
腰痛(VAS)の ベースラインからの変化量 |
-21.4mm | -28.5mm |
プラセボとの差:-7.1mm |
*被験者が就寝前に測定した過去24時間の最悪時下肢痛(Visual Analogue Scale: VAS(0mm(痛みなし)~100mm(これまでに感じた最大の痛み)))の連続7日間の平均値
このようにヘルニコアはプラセボと比較して有意にヘルニアの痛みを軽減していることが示されました。
ヘルニコアは腰椎椎間板ヘルニアの根治療法として位置付けられると考えられます。2)
ヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)の副作用
主な副作用としては腰痛、下肢痛、発疹、発疹、発熱、椎間板高の低下がありますが、全体的な忍容性は良好とされています。
ヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)の用法・用量
成人にはコンドリアーゼとして1.25単位を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与します。
基本的には、日帰り治療もしくは1泊で治療が完了します!(手術の場合、数週間の入院が必要)
薬価
収載時(2018年5月22日)の薬価は以下の予定です。
- 1.25単位1瓶 81,676円
ヘルニコアは新規作用機序のため有用性加算(Ⅰ)が40%加算されています。
また、製造総原価の開示度が高く加算係数は1.0とされているため、そのまま40%の加算とされています。
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- 新規作用機序:グリコサミノグリカンの分解
- 手術療法と比較して、患者さんへの侵襲が少ない
- 保存療法で十分な効果が得られない椎間板ヘルニア患者さんに対して、新たな治療の選択肢になる
薬価の算定方法については以下の記事をご参照ください。
あとがき
保存療法で効果が得られなかった場合、手術療法しか選択肢がありませんでした。
手術療法は侵襲性が高く、患者さんの負担になると考えられます。
本日ご紹介いたヘルニコアは手術療法と比べて簡便かつ低侵襲であり、かつ治療効果は手術療法と同程度ですので、患者さんの早期社会復帰に繋がると考えられます。
治療選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか。
ただし、国内初の薬剤であることから、適正使用推進と安全性確保のため、使用にあたっては「医師要件」等の条件が設定されています。
以上、今回は椎間板ヘルニアとヘルニコア(一般名:コンドリアーゼ)の作用機序についてご紹介しました。
引用文献・資料等
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