1.中枢神経系

リバルエンLAパッチ(リバスチグミン)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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2025年3月6日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「アルツハイマー型認知症」を対象疾患とするリバルエンLAパッチ(リバスチグミン)の承認が了承されました!

東和薬品|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名 リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg
一般名 リバスチグミン
製品名の由来
製造販売 東和薬品(株)
効能・効果 軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
用法・用量 通常、成人にはリバスチグミンとして1 回25.92mgから開始し、
原則として4週後に維持量である1 回51.84mgに増量する。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付する。
原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替える。
収載時の薬価
発売日

 

これまで、リバスチグミンの経皮吸収型製剤はイクセロンパッチやリバスタッチパッチがありましたが、1日1回の貼付が必要でした。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
リバルエンLAパッチは初の週2回の貼付で治療が可能な製品です!

 

類薬のアリドネパッチ(ドネペジル)も1日1回の貼付でしたので、リバルエンによって利便性の向上が期待できそうです。

アリドネパッチ(ドネペジル)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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また、東和薬品は後発品メーカーですが、初の新薬(新剤型医薬品)を取り扱います。そのため、2025年4月1日より「メディカルアフェアーズ部」を新設するとのこと。気合が入っています!!

東和薬品|組織変更および人事異動に関するお知らせ

 

今回はアルツハイマー型認知症とリバルエンLAパッチの作用機序を解説していきます。

 

物忘れとアルツハイマー型認知症

物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。

 

加齢によるものは、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、ヒントがあれば思い出すことが可能です。本人にも自覚はありますが、進行することはなく、日常生活にも支障は無いと言われています。

 

一方、認知症は脳の神経細胞の急激な破壊により起こり、物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントがあっても思い出すことができません。本人に自覚はないことが一般的で、進行性かつ日常生活に支障をきたします

 

このような認知症の中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の約6割を占めています。1)

 

一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方も多いと思いますが、認知症の中には、脳血管障害によって発現するものや、レビー小体と呼ばれる物質によって発現するもの、等もあります。

 

原因として明確なものは不明ですが、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの量(活性)が低下してしまっているために引き起こされると考えられています。

アルツハイマー型認知症では脳内のアセチルコリンが低下している

 

また、アセチルコリンは「アセチルコリンエステラーゼ」と呼ばれる酵素によって分解されていきます。

 

その他に考えられる原因としては、「アミロイドベータ(Aβ)」や「タウ(tau)」などがありますが、こちらについては別の記事で解説していますので、ご興味あればご覧ください♪

レケンビ(レカネマブ)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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治療

治療の基本は薬物治療です。1)

できるだけ早期に発見して早期に治療を行うことで、進行を抑制することが可能で、使用可能な薬剤には以下のものがあります。

  • アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン
  • NMDA受容体拮抗薬:メマンチン

 

中心となるのはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬ですね。単剤から使用し、効果不十分な場合には他のアセチルコリンエステラーゼに切り替えたり、メマンチンと併用したりします。

 

また、アルツハイマー型認知症では、妄想・易怒性などの「行動・心理症状(BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」を併発することがあり、そのうちアジテーション(焦燥性興奮)に対してはレキサルティ(ブレクスピプラゾール)が期待されています。

レキサルティ(ブレクスピプラゾール)の作用機序【統合失調症/うつ病/ADに伴うアジテーション】

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治療に際しては、BPSDに対する治療薬や、その他の併存疾患に対する治療薬を併用することが多いため、アドヒアランスが低下しやすく、嚥下困難や寝たきりの患者も少なくありません。

また、内服のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は初期に消化器症状が発現することがあるため、治療継続が困難となるケースもあります。内服薬が適さない場合、貼付剤の使用が検討されます。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回ご紹介するリバルエンは、軽度及び中等度の場合に使用できる貼付剤ですね。

 

リバルエン(リバスチグミン)の作用機序

リバルエンはアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害する薬剤です。

 

アセチルコリンエステラーゼが阻害されることによってアセチルコリンの分解が抑えられ、結果として脳内のアセチルコリン量が回復します。

リバルエン(リバスチグミン)の作用機序:アセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害する

 

このような作用機序によって認知症の症状改善効果が期待されているのがリバルエンですね!

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

用法・用量

通常、成人にはリバスチグミンとして1 回25.92mgから開始し、原則として4週後に維持量である1回51.84mgに増量します。

また、本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付します。

 

原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替える、とされています。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

イクセロン、リバスタッチ、アリドネとの違い・比較

現在、アルツハイマー型認知症に使用するアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の貼付剤は以下の2成分4製品です。

  • イクセロンパッチ(リバスチグミン)
  • リバスタッチパッチ(リバスチグミン)
  • リバルエンLAパッチ(リバスチグミン)
  • アリドネパッチ(ドネペジル)

 

簡単に比較表でまとめてみました!

リバルエンLAパッチとイクセロン、リバスタッチ、アリドネとの違い・比較:一覧表

 

リバルエンは週2回貼付なのがいいですね~。

 

ただ、リバスチグミン製剤は消化器系の副作用がしばしば問題となるため、リバルエンではどうなのか気になるところです。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
途中で剥がした場合の血中濃度推移とかは気になりますね。副作用が出た時どうすべきか…。

 

なお、類薬のアリドネは消化器系の副作用が少ない印象です。

アリドネパッチ(ドネペジル)の作用機序【アルツハイマー型認知症】

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まとめ・あとがき

リバルエンはこんな薬

  • アルツハイマー型認知症に対する初の週2回貼付の経皮吸収型製剤
  • アセチルコリンエステラーゼを阻害することで、脳内のアセチルコリン量を回復させる
  • 消化器系の副作用には注意が必要

 

アルツハイマー型認知症では、服薬アドヒアランスが低下することがしばしばあるため、貼付剤が使用されるケースが多々あります。しかしながら、これまでの製品は1日1回の貼り替えが必要でした。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
リバルエンは週2回の貼付のため、アドヒアランスの向上が期待できるのではないでしょうか。

 

以上、今回はアルツハイマー型認知症とリバルエンLAパッチ(リバスチグミン)の作用機序を解説しました!

 

引用論文・資料等

  1. 日本神経学会|認知症疾患診療ガイドライン2017

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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