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2025年9月19日、「アナフィラキシー反応に対する補助治療」を対象疾患とするネフィー点鼻液(アドレナリン)が承認されました!
アルフレッサ ファーマ|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ネフィー点鼻液1mg/2mg |
一般名 | アドレナリン |
製品名の由来 | 導入元のグローバル名が neffy であること、 鼻(Nasal)と有効成分の一般名 Epinephrine より命名。 |
製造販売 | アルフレッサ ファーマ(株) |
効能・効果 | 蜂毒、食物及び薬物等に起因するアナフィラキシー反応に対する補助治療 (アナフィラキシーの既往のある人または アナフィラキシーを発現する危険性の高い人に限る) |
用法・用量 | 通常、体重30kg未満の患者には、1回1mgを、 体重30kg以上の患者には、1回2mgを鼻腔内に投与する。 |
収載時の薬価 | |
発売日 |
重篤な全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシーに対しては、エピペン注射液(アドレナリン)による筋肉内投与が一般的です。
しかしながら、筋肉内投与のため患者さんや介護者によるトレーニングが必要でした。

今回はアナフィラキシーとネフィー点鼻液(アドレナリン)の作用機序について解説していきます。
アナフィラキシーとは
アナフィラキシーは重篤な全身性の過敏反応と定義されています。
通常は急速に発現し、重症の場合には呼吸器症状(呼吸困難や喘息など)・循環器症状(失神や失禁など)が現れ、死に至る場合もあります。1)
アナフィラキシーの原因物質は様々ありますが、特に頻度が高いのは食物、薬剤(医薬品)、昆虫毒と言われています。

日本アレルギー学会|ガイドライン・その他刊行物>アナフィラキシーガイドライン2022
医薬品では、造影剤、白金製剤、生物学的製剤(抗体薬)、 B-ラクタム系 (セフェム系、ペニシリン系、カルバペネム系)抗生物質などの特徴的な副作用としてアナフィラキシーが挙げられていますね。
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その他、天然ゴム(ラテックス)によるアナフィラキシーも報告されています。
医薬品の例では、注射針カバーなどに使用されていることがしばしばあり、製剤改良によってラテックスフリー製剤とされているケースもあります(例:アイモビーグ)。
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診断基準
典型的な皮膚症状(蕁麻疹など)を呈する場合(80~90%)と、呈さない場合の2つの基準があり、以下のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーの可能性が非常に高いと考えられます。1)
日本アレルギー学会|ガイドライン・その他刊行物>アナフィラキシーガイドライン2022

治療
食物によるアナフィラキシー発現から呼吸停止、もしくは心停止までの時間はわずか30分(中央値)と報告されていることから、早急な対応・治療が求められます。2)
まずは生命維持に直結するABCDの安定化を図りますが、同時に可及的速やかにアドレナリン0.3~0.5mg筋注が推奨されています。1)
- A:Airway(気道)
- B:Breathing(呼吸)
- C:Circulation(循環)
- D:Disability(中枢神経)
現在、アナフィラキシーに対して使用されるアドレナリンはエピペン注射液の筋注投与です。
ABCDの安定化も期待できることから、アナフィラキシーショックを疑う場合には、下記の症状が1つでも現れたらできるだけ早期にエピペンを投与します。2)

今回ご紹介するネフィー点鼻液も、エピペンと同じ位置付けで使用可能なアドレナリン製剤です。
ネフィーは点鼻スプレーによる投与のため、より簡便な治療が可能となりますね!
ネフィー点鼻液(アドレナリン)の作用機序・特徴
ネフィ―を点鼻で投与すると、有効成分のアドレナリンが速やかに各受容体を刺激します。
その結果、以下のような作用によってアナフィラキシーの症状改善効果が期待されています。
- 血管:α1受容体 → 血圧上昇
- 心臓:β1受容体 → 心拍出量増加、心拍数増加
- 気管支:β2受容体 → 気管支拡張

アドレナリンによる上記の作用によって、アナフィラキシーの各種症状の改善するといった作用機序です。
エビデンス紹介
根拠となった国内臨床試験をご紹介します(添付文書より抜粋)。
食物経口負荷試験によりアナフィラキシーガイドライン2022に基づくグレード2以上の消化器症状、呼吸器症状又は循環器症状が誘発された患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験の結果、有効性の解析対象集団15例(6~17歳)の「主症状が改善した割合」は以下の通りでした。
- 1mg投与例:83.3%(5/6例)
- 2mg投与例:66.7%(6/9例)
- 両群合算:73.3%(11/15例)

エピペンとの薬物動態比較
海外のデータですが、「ネフィー点鼻投与」と「エピペン筋注投与」と「アドレナリン製剤の手動筋注投与」の薬物動態を比較した試験がありました。3)
投与後の血中濃度の立ち上がりは、エピペンの方が早いものの、その後のアドレナリン血中濃度はネフィーとエピペンで遜色のない結果が得られています。
左:単回投与、右:反復投与 時の血中アドレナリン濃度
血圧についても、ネフィーはエピペンと同程度かそれ以上の血圧上昇効果が得られていました。
左:単回投与、右:反復投与 時の収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)のベースラインからの変化量
本試験の結論では、
- ネフィーの薬物動態プロファイルは、エピペンと同等かそれ以上の薬力学的反応を示した。
- 注射の使用に抵抗がある患者や介護者にとって、ネフィーはよい選択肢なるだろう。
と締めくくられていました。

副作用
重大な副作用として、
- 肺水腫(頻度不明)
- 呼吸困難(頻度不明)
- 心停止(頻度不明)
が挙げられていますが、国内の他のアドレナリン製剤の添付文書と同一の記載とのことです。

用法・用量
通常、体重30kg未満の患者には、アドレナリンとして1回1mgを、体重30kg以上の患者には、アドレナリンとして1回2mgを鼻腔内に投与します。
患者の体重 | 投与量 |
30kg未満 | ネフィー1mgを1回スプレー |
30kg以上 | ネフィー2mgを1回スプレー |
体重15kg未満の患者さんに対しては、以下の注意書きがあります。
原則として1mg製剤は体重15kg以上の患者に対して使用すること。これまでに本剤を15kg未満の患者に投与した成績は得られていない。体重15kg未満の患者に本剤1mg製剤を投与すると、過量となるおそれがあるので、副作用の発現等に十分な注意が必要であり、通常のアドレナリン注射液の使用についても考慮する必要がある。体重15kg未満の患者に本剤1mg製剤を投与することの必要性については、救命を最優先し、患者ごとの症状を観察した上で慎重に判断すること。
使用方法は以下の手順です。
https://www.neffy.com/how-to-use/

また、効果不十分な場合には、1回目の投与から10分以降を目安に、2回目の投与が可能です。2回目投与時は1回目と同一鼻孔に投与することが望ましいとされています。
収載時の薬価
現時点では薬価未収載です。
エピペンとの違い・比較
アナフィラキシーの補助治療に使用するアドレナリン製剤として、
- エピペン注射液
- ネフィー点鼻液
の2製品がありますので、簡単な一覧表として比較してみました。

まとめ・あとがき
ネフィー点鼻液はこんな薬
- 国内初のアドレナリンの点鼻スプレー製剤
- エピペンよりも簡便な投与が可能
- アドレナリン投与によって、アナフィラキシーの各主症状(循環器症状や呼吸器症状)の改善が期待できる
これまで、アナフィラキシーの補助治療としてはエピペン注射液(アドレナリン)による筋肉内投与が一般的でした。
しかしながら、筋肉内投与のため患者さんや介護者によるトレーニングが必要でした。

日本におけるアナフィラキシーの既往割合は、小学生0.6%、中学生0.4%、高校生 0.3%と報告されています。1)
また、本人や保護者によるエピペン保持者率は2013年度は0.3%でしたが、2022年度には0.48%と増加傾向4)にあるものの、まだまだ不十分な可能性もあります。
ネフィ―は新たな投与経路で簡便な投与が可能のため、アドレナリン製剤の保持者率向上にも寄与できるのではないでしょうか。
以上、今回はアナフィラキシーとネフィー点鼻液(アドレナリン)の作用機序について解説しました!
引用論文・資料等
- 日本アレルギー学会|アナフィラキシーガイドライン2022
- エピペン注射液を処方された患者さんとその保護者のためのページ|エピペンについて
- J Allergy Clin Immunol. 2023 Dec;152(6):1587-1596.
- 藤田医科大学|ひやりはっと事例集2023年度版
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