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フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序【糖尿病/心不全/CKD】

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2023年1月10日、フォシーガ錠(ダパグリフロジン)の「慢性心不全」において、左室駆出率(LVEF)に関係なく使用することが可能になりました!これまでは左室駆出率の低下した慢性心不全にしか使用できませんでしたが、今後は左室駆出率が保持された慢性心不全についても使用できます。

アストラゼネカ|ニュースリリース

基本情報

製品名 フォシーガ錠5mg/10mg
一般名 ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
製品名の由来 患者のため、患者家族のため、医師のためをあらわす「for」と、
inhibit glucose absorption(糖の吸収を阻害する)の頭文字「iga」を
掛け合わせる(x)ことで、他の血糖降下薬にはない新たな作用であることを表現している。
製薬会社 製造販売:アストラゼネカ(株)
販売:小野薬品工業(株)
効能・効果 〇1型糖尿病
〇2型糖尿病
〇慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
〇慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者は除く
用法・用量 いずれも1日1回経口投与(記事内参照

※効能・効果に関連する注意(2023年1月10日変更点)

  • 慢性心不全の治療を目的として使用する場合は、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること。左室駆出率が保持された慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していない。
  • 「臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景(前治療、左室駆出率)を十分に理解した上で、適応患者を選択すること。

 

フォシーガはSGLT2阻害薬として「2型糖尿病」を効能・効果として2014年に発売されました。その後、順調に以下の適応拡大が行われています。

  • 2019年3月26日:「1型糖尿病」の適応拡大
  • 2020年11月27日:「慢性心不全」の適応拡大(左室駆出率の低下した慢性心不全のみ)
  • 2021年8月25日:「慢性腎臓病」の適応拡大
  • 2022年1月10日:「慢性心不全」の左室駆出率によらず使用可能

 

木元 貴祥
木元 貴祥
慢性心不全の適応はSGLT2阻害薬初!!CKDもSGLT2阻害薬初です。

 

類薬のジャディアンス(エンパグリフロジン)はLVEFに関わらず使用可能でしたが、フォシーガも同じになりました。

ジャディアンス(エンパグリフロジン)の作用機序【糖尿病/心不全/CKD】

続きを見る

 

今回は、糖尿病・慢性心不全・CKDとフォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序についてご紹介します。

 

糖尿病とは

平成29年の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は約328万人超であり、前回の調査から12万人以上増加しています。

厚生労働省平成29年(2017)患者調査の概況

 

糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。

 

健康診断等で

  • 空腹時血糖値が126mg/dL以上
  • HbA1cが6.5%以上

の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。

 

糖尿病にはその原因や病態によって

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病

に分類されています。

 

日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。

  • インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
  • インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

2型糖尿病の発症要因

 

主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)

 

 

一方、1型糖尿病遺伝因子自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下

従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
1型・2型、いずれも遺伝因子が関与していますが、その関与の程度は1型糖尿病の方が強いと言われています。

 

フォシーガはこれまで2型糖尿病のみに使用可能でしたが、1型糖尿病に対しても使用可能となりました!

 

糖尿病の治療:1型と2型

2型糖尿病治療

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

を基本としますが、最も大切なのは食事療法運動療法です。

食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。

 

一方、1型糖尿病ではインスリンの補充療法が中心的です。

インスリン補充療法によって基本的にはコントロール可能ですが、

  • 低血糖症のリスク
  • コントロール不良な場合の治療法
  • 体重増加

などが課題として懸念されています。

 

今回ご紹介するフォシーガはインスリン補充療法でコントロール不良な場合に併用して用います。

 

2型糖尿病の薬物療法

糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。

まずは経口血糖降下薬の少量から開始されることが多いです。

 

経口血糖降下薬には以下の種類があり、糖尿病の原因(インスリン分泌低下、抵抗性増大)によって使い分けられます。

 

<インスリン分泌低下を改善>

  • スルホニル尿素(SU)薬:インスリン分泌促進
  • グリニド薬:より速やかなインスリン分泌促進
  • DPP-4阻害薬:インクレチン分解抑制によるインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制

 

<インスリン抵抗性を改善>

  • ビグアナイド薬:糖新生の抑制
  • チアゾリジン薬:インスリンの感受性を向上

 

加えて、ブドウ糖の吸収を抑制する「α-グルコシダーゼ阻害薬」や、ブドウ糖の排泄を促進する「SGLT2阻害薬」等も使用されます。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
それでは続いて慢性心不全に関連する心臓と血液循環についての解説です。

 

心臓と血液循環

ご存知の通り、心臓は大きく4つの部位(右心房・右心室・左心房・左心室)に分かれていて、通常、成人の心臓は以下の図のような流れで血液が循環しています。

 

  1. 右心房に血液が流入(大静脈)
  2. 右心室から肺に血液を送る(肺動脈)
  3. 肺で酸素を受け取る
  4. 左心房に血液が流入(肺静脈)
  5. 左心室から全身に血液を送る(大動脈)

 

このように心臓は血液を肺や全身に送る際のポンプとしての役割を担っています。

 

心不全の症状と分類

心臓の器質的もしくは機能的な障害によって、心臓のポンプ機能が低下して十分な血液を送り出すことができなくなった状態を「心不全」と呼んでいます。

 

その結果、肺や全身の静脈に血が溜まりうっ血による症状が主体となります。従って、心不全のことを「うっ血性心不全」と呼ぶこともあります。

用語解説静脈に血が溜まることを「うっ血」と呼びます。

 

心不全は進行速度や緊急性に応じて以下に分類されますが、薬物治療が関係するには慢性心不全ですので、今回は慢性心不全を中心に解説します。

  • 急性心不全:急激に進行し、治療に緊急性を要する
  • 慢性心不全:無症状状態が長期間続き、徐々に進行する

 

このような心不全の原因のほとんどは心室(左心室and/or右心室)の異常です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
様々な原因(心疾患、肺疾患、代謝異常、アルコール多飲、等)によって心室の機能が低下することで心不全を発症すると考えられています。

 

左心不全と症状

原因が左心室にあるものを左心不全と呼びます。

左心室から大動脈に血液を送りにくくなるため、大動脈血流量が低下し、

  • 低血圧
  • 冷汗
  • 乏尿(尿量の低下)
  • チアノーゼ

といった症状が現れます。

 

また、肺静脈からの血液が溜まってしまい、肺静脈うっ血を呈するため、

  • 労作時の息切れ
  • 呼吸困難

といった症状も現れます。

 

左心不全はそのまま放置しておくと、続いて右心不全が起こることもあると言われています(両心不全)。

 

右心不全と症状

原因が右心室にあるものを右心不全と呼びます。

右心室から肺動脈に血液を送りにくくなるため、肺動脈血流量が低下し、二酸化炭素と酸素の交換がうまくいかなくなります。

 

また、大静脈からの血液が溜まってしまい、大静脈うっ血を呈するため、

  • 浮腫
  • 腹水(腹部膨満感)

といった症状が現れます。

 

心不全の分類

多くの場合、左心不全(左心室機能障害)が関与していて、治療や評価も左心機能がどうかによって変わってきます。

従って、国内のガイドラインでは左室駆出率(LVEF)に応じた分類が行われています。1)

 

参考

  • 左室駆出率(LVEF:left ventricular ejection fraction)
    ⇒左心室の機能に関する指標。「(左室拡張末期容積-左室収縮末期容積)÷左室拡張末期容積」で計算する。

 

分類 LVEF
LVEFの低下した心不全(HFrEF) 40%未満
LVEFの保たれた心不全(HFpEF) 50%以上
LVEFが軽度低下した心不全(HFmrEF) 40%以上
50%未満

略語解説

  • HFrEF:heart failure with reduced ejection fraction
  • HFpEF:heart failure with preserved ejection fraction
  • HFmrEF:heart failure with midrange ejection fraction

 

多くの場合はHFrEF(LVEFの低下した心不全)とHFpEF(LVEFの保たれた心不全)ですね。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回ご紹介するフォシーガはHFrEFとHFpEF共に使用可能です。

 

心不全の治療

心不全の治療1)は、

  • HFrEF(LVEFの低下した心不全)
  • HFpEF(LVEFの保たれた心不全)

で分かれていますが、基本は体液量を減らしたり、血圧を低下させたりすることで心臓への負荷を軽減させます。

 

HFrEFの場合、

が最も推奨されていて、単剤もしくは適宜併用した治療が行われます(標準治療)。

 

フォシーガはこれら標準治療に上乗せすることで、糖尿病合併の有無に関わらず心血管死や心不全の悪化を防ぐことが示されていますよ!

 

参考までに、HFrEF患者さんでは洞調律どうちょうりつでの安静時心拍数が70拍/分を超えると死亡や入院のリスクが高まることが知られています。2)

 

参考

<洞調律とは>

洞結節で発生した電気的興奮が正しく心臓全体に伝わり、心臓が正常なリズムを示している状態

【出典】日本心臓財団|心臓病用語集>洞調律

 

木元 貴祥
木元 貴祥
安静時の心拍数が高いと死亡・入院のリスクになる、ということですね。

 

そのため、国内・海外のガイドライン1-2)では、ACE阻害薬(またはARB)、MRAを行っても安静時心拍数が70拍/分を超えている場合、心拍数を低下するためにコララン(イバブラジン)が推奨されています。

コララン(イバブラジン)の作用機序・特徴【心不全】

続きを見る

 

心拍数が正常(70拍/分未満)の場合にはACE阻害薬(またはARB)から、ARNIアーニィとしてエンレスト(サクビトリルバルサルタン)への切り替えが推奨されていますね。

エンレスト(サクビトリルバルサルタン)の作用機序【心不全】

続きを見る

 

最近では、β遮断薬、MRA、ARNI、SGLT2阻害薬の4つの薬剤は、早期に適切に導入することで、生命予後を伸ばし、心不全入院を減らすことが期待されています。そのため、今後の心不全治療の中心となる「素晴らしい4剤」という意味を込めて、「fantastic four」と言われていますね。

Rapid evidence-based sequencing of foundational drugs for heart failure and a reduced ejection fraction|Eur J Heart Fail. 2021 Jun;23(6):882-894.

 

慢性腎臓病(CKD)とは

慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)は、腎障害が慢性的に持続する疾患の全体を意味するもので、以下の場合、CKDと確定診断されます。

  • 尿異常(蛋白尿)、画像診断・血液所見・病理所見等で腎障害の存在が明らか
  • GFRが60(mL/分/1.73㎡)未満

※GFR:「糸球体ろ過量」のことで、腎機能の指標です。

 

CKDのリスク因子としては、以下です。

 

また、CKDの初期にはほとんど無症状のため徐々に腎機能が低下していきます。

 

腎臓は老廃物の排泄骨代謝造血器機能調節といった様々な役割を担っているので、CKDによって腎機能低下が進行してしまうと、

といった様々な症状が現れます。

 

従って、早期からリスク因子である原疾患の治療、症状に対する対処療法と共に、生活習慣改善が重要です!

 

フォシーガは慢性腎臓病の標準治療と併用することで効果が期待されていますよ♪

ただし、添付文書には以下の記載がありますので、eGFRには注意が必要です。

  • eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること。eGFRが25mL/min/1.73m2未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

 

ちなみに、CKDの症状の一つである腎性貧血に対しては

が使用されます。

エベレンゾ(ロキサデュスタット)の作用機序:類薬との比較・違い【腎性貧血】

続きを見る

 

木元 貴祥
木元 貴祥
それでは、フォシーガに代表されるSGLT2阻害薬の作用機序についてご紹介します。

 

SGLT2阻害薬の作用機序

通常、血中のブドウ糖は尿中に排泄されません。

その理由として、腎臓の糸球体でろ過された原尿には、血漿と同じ濃度のブドウ糖が含まれていますが、近位尿細管で実に99%以上のブドウ糖が再吸収されます。

 

ようするに、一旦はブドウ糖は糸球体で原尿へ濾過されるももの、そのほとんどが再吸収されて体内(血中)に戻ってきてしまいます。

この原尿中のブドウ糖再吸収を行うトランスポーターは「SGLT2(Sodium-Glucose Transporter 2)」と呼ばれています。

SGLT2によってブドウ糖は99%が再吸収される

 

SGLT2阻害薬はブドウ糖再吸収に関与するトランスポーターのSGLT2を阻害することで、ブドウ糖の再吸収を抑制する薬剤です。

つまり、SGLT2阻害剤は糖の再吸収を抑える(=糖の排泄を促進する)ことで血糖を低下させるといった作用機序を有しています。

SGLT2阻害薬の作用機序:ブドウ糖の排泄促進

 

このようにSGLT2阻害薬はインスリン作用を介さないため、低血糖や体重増加・肥満といった副作用が発現しにくいといわれています。

 

SGLT2阻害薬には適度な利尿作用もありますので、それによって体液量の低下・心保護作用・腎保護作用が得られるのかもしれませんね。その他にも様々な作用が示唆3)されていますが、まだ詳しくは分かっていないようです。

 

エビデンス紹介:1型糖尿病を対象にしたDEPICT-1試験(海外)

根拠となった海外臨床試験(DEPICT-1試験)を一つご紹介します。4)

本試験はコントロール不良の1型糖尿病患者さんを対象に、インスリン療法へのフォシーガ追加(5mgもしくは10mg)の有効性と安全性を検討した海外第Ⅲ相臨床試験です。

 

本試験の主要評価項目は「24週後のHbA1c変化率」とされ、プラセボ群と比較した場合の結果は以下の通りでした。

  • フォシーガ 5mg群:-0.42% [95%CI:-0.56~-0.28; p<0.0001]
  • フォシーガ 10mg群:-0.45% [95%CI:-0.58~-0.31; p<0.0001]

 

いずれの群においてもプラセボと比較してHbA1cを有意に低下させることが示されていますね。

 

その他、DEPICT-2試験においても同様の結果が報告されています。5)

 

エビデンス紹介:慢性心不全を対象にしたDAPA-HF試験

慢性心不全の根拠となった臨床試験(DAPA-HF試験)をご紹介します。6)

本試験は糖尿病の合併有無を問わず、左室駆出率が低下した(LVEF40%以下)慢性心不全患者さんを対象に、標準治療への追加療法としてフォシーガ10mgを1日1回投与した際の影響を、プラセボとの比較で評価することを目的とした国際共同第Ⅲ相試験です。

 

主要評価項目(複合アウトカム)は「心不全悪化イベント発症(入院または心不全による緊急来院)までの期間、または心血管死」とされました。

試験群 フォシーガ群 プラセボ群
主要評価項目
(複合アウトカム)
16.3% 21.2%
HR=0.74(95%CI:0.65-0.85)
p<0.001
心不全悪化イベント発症 10.0% 13.7%
HR=0.70(95%CI:0.59-0.83)
p<0.00004
心血管死 9.6% 11.5%
HR=0.82(95%CI:0.69-0.98)
p=0.029

 

木元 貴祥
木元 貴祥
糖尿病合併の有無によらず心不全悪化や心血管死を改善したのはSGLT2阻害薬ではフォシーガが初ですね!

 

この他、左室駆出率が40%超の患者さんを対象としたDELIVER試験7)においても、同様の主要評価項目を有意に改善することが報告されています!

 

エビデンス紹介:慢性腎臓病(CKD)を対象にしたDAPA-CKD試験

CKDの根拠となった臨床試験(DAPA-CKD試験)をご紹介します。8)

本試験は糖尿病の合併有無を問わない慢性腎臓病患者さんを対象に、標準治療への追加療法としてフォシーガ10mgを1日1回投与した際の影響を、プラセボとの比較で評価することを目的とした国際共同第Ⅲ相試験です。

 

主要評価項目(複合アウトカム)は「腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生」とされ、結果は以下の通りでした。

試験群 フォシーガ群 プラセボ群
主要評価項目
(複合アウトカム)
9.2% 14.5%
HR=0.61(95%CI:0.51-0.72)
p<0.001

 

非常に良好な治療成績が得られていますね。なお、プラセボと比較して顕著な有効性であったため、試験の早期中止が勧告されています(プラセボ群の患者さんが著しく不利益になってしまうため)。

 

副作用

代表的な副作用には頻尿、口渇、便秘、体重減少などがあります。

 

その他、特に注意が必要な副作用には以下があります。

  • 低血糖
  • 脱水
  • 尿路・性器感染症
  • 正常血糖のケトアシドーシス
  • サルコペニア

 

高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れて重症化する恐れもありますので特に注意が必要です!

 

また1型糖尿病でインスリン製剤と併用する場合、ケトアシドーシスのリスク増加が報告されているため、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」が改訂されています。

日本糖尿病学会|「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」からSGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation

 

用法・用量

<糖尿病の場合>

通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与します。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mgを1日1回に増量することができます。

1型糖尿病に使用する際には「あらかじめ適切なインスリン治療を十分に行った上で、血糖コントロールが不十分な場合」に限って「インスリン製剤との併用において」使用可能です。9)

 

<慢性心不全・慢性腎臓病の場合>

通常、成人にはダパグリフロジンとして10mgを1日1回経口投与します。

 

まとめ・あとがき

フォシーガはこんな薬

  • SGLT2を阻害することでブドウ糖の排泄を促進する
  • インスリン作用を介さないため、低血糖や肥満のリスクが少ない
  • 1型糖尿病に使用できるSGLT2阻害薬(インスリンと併用して使用する)としてはスーグラに次いで2製品目
  • 慢性心不全・CKDに対しても使用可能

 

以上、今回は糖尿病・慢性心不全・CKDとフォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序についてご紹介しました!

 

木元 貴祥
木元 貴祥
近年では慢性心不全に使用できる薬剤の開発が進んでいますので、今後も注視していきたいですね!

 

現在までに承認されているSGLT2阻害薬の一覧については、単剤/配合剤含めて以下の記事にまとめています。

【糖尿病】SGLT2阻害薬の作用機序・副作用と一覧まとめ(単剤と配合剤)

続きを見る

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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