新薬承認・薬価収載

【第一部会:期待の新薬】4製品(2023年1月27日)

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2023年1月27日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会にて4製品が審議され、全て承認が了承されました。

 

今回は国内初の経口中絶薬メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)も承認了承されましたが、慎重な議論が必要なため、パブリックコメントを実施した後に改めて薬事分科会で承認可否が議論されるとのことです。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回は概要について紹介しています。

 

審議品目:4製品

●メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン/ミソプロストール)
:「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新投与経路医薬品。

メフィーゴ(ミフェプリストン/ミソプロストール)の作用機序【経口妊娠中絶薬】

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ミフェプリストンはプロゲステロン受容体拮抗薬で、黄体ホルモンの働きを抑制することで妊娠継続を中断させる働きがあります。

また、ミフェプリストンを経口投与した後、36~48時間経過後にミソプロストールをバッカル投与するとのことです。ミソプロストールはNSAIDsによる胃潰瘍・十二指腸潰瘍治療薬としてサイトテック錠が承認されていますね。

 

ミソプロストールは子宮収縮作用を有しているため、サイトテック錠は「妊婦又は妊娠している可能性のある女性」に対して投与禁忌とされています。流産の可能性があるためですね。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
このような作用によって人工妊娠中絶を誘発させると考えられています。

 

なお、メフィーゴパックは母体保護法指定医師のもと、保険適用外で使用される見込みです。

 

●ウゴービ皮下注0.25mgSD、同皮下注0.5mgSD、同皮下注1.0mgSD、同皮下注1.7mgSD、同皮下注2.4mgSD(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え))
:「肥満症」を効能・効果とする新効能・新用量・その他・剤形追加に係る医薬品。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

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有効成分のセマグルチドは、既に2型糖尿病治療薬のオゼンピック皮下注リベルサス錠として使用されています。

 

ウゴービもオゼンピックも有効成分が同一の皮下注製剤ですが、医療上の使用環境の違いを考慮して別製品名とされました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
肥満症の医療用医薬品としては、サノレックス(マジンドール)に次いで2製品目ですね!

 

●プレセデックス静注液200μg「ファイザー」、同静注液200μg/50mLシリンジ「ファイザー」(一般名:デクスメデトミジン塩酸塩)
生後1か月以上を対象とした「小児の非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

2022年10月28日の薬食審・医薬品第一部会で審議されましたが、相互作用等の情報整理の必要があったことから継続審議とされていました。今回の部会では、添付文書・関連資材・関係学会からの文書などで注意喚起を実施することで了承が得られたようです。

また、プレセデックスは特定用途医薬品の指定を受けていて、初の特定用途医薬品の対象です。

 

特定用途医薬品2020年9月に創設された制度で、小児に対する用法又は用量が設定されていないなど、医療上のニーズが著しく充足されていない医薬品の研究開発の促進に寄与することを目的とするものです。

厚労省|特定用途医薬品の指定制度について

 

木元 貴祥
木元 貴祥
具体的には小児や薬剤耐性(AMR)感染症の医薬品が対象ですね。

 

●エンタイビオ皮下注108mgペン、同皮下注108mgシリンジ(一般名:ベドリズマブ(遺伝子組換え))
:「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を対象疾患とする新投与経路医薬品。

エンタイビオ(ベドリズマブ)の作用機序【潰瘍性大腸炎/クローン病】

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既にエンタイビオ点滴静注用が潰瘍性大腸炎・クローン病の治療薬として使用されていますが、今回は皮下注製剤が追加されます。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
点滴静注製剤と効能・効果が異なるため、注意が必要ですね。

 

あとがき

今回、新有効成分含有医薬品は国内初の経口中絶薬のメフィーゴパックのみでした。

これまで、人工妊娠中絶は手術のみでしたので、新たな選択肢として期待されているものの、安易な使用や倫理観の問題が残ります。

 

そのため、今後パブコメが実施され、改めて薬事分科会で承認可否が議論されるとのことです。

 

また、これまで糖尿病治療薬として使用されていたGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)を肥満症治療薬として応用するウゴービ皮下注も注目でしょう。

ウゴービ(セマグルチド)の作用機序:サノレックスとの違い【肥満症】

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GLP-1受容体作動薬は体重減少作用が示唆されていたことから、国内では美容・痩身・ダイエット等を目的とした適応外で使用されていることがしばしばありました。そのため、日本糖尿病学会からも「GLP-1受容体作動薬適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」が発出されています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ウゴービ皮下注によって、適正使用の推進に繋がれば良いのですが・・・。

 

以上、今回は2023年1月27日の厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で承認了承された薬剤の概要をご紹介しました。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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