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今回は「2型糖尿病」とその治療薬の一つであるDPP-4阻害薬の作用機序を中心にご紹介します。
DPP-4阻害薬は数製品発売されており、配合剤も多く発売されていますので、その一覧についてもまとめてご紹介します。
生体内の血糖調節システム
通常、生体内では以下のいくつかのホルモン等によって血糖が一定に保たれています。
<血糖を上昇させる生体内物質>
- グルカゴン
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
- コルチゾール
- 成長ホルモン
<血糖を下降させる生体内物質>
- インスリン
このように、血糖を上昇させる物質は数種類存在していますが、血糖を下降する物質はインスリンしかありません。
インスリンの作用とインクレチン
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。
分泌されたインスリンは、細胞に作用することで血中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きがあります。
この働きによって、血中のブドウ糖を下げる(血糖降下)作用を発揮しています。
また、インスリンの分泌を促進させる物質の一つに「インクレチン(GLP-1やGIP)」と呼ばれるホルモンがあります。
インクレチンは食事が小腸を通過することで分泌されるホルモンで、血糖依存的なインスリン分泌促進作用があります。
血糖値が低い時にはインスリンの分泌を促進しないため、過剰に分泌されても低血糖になる恐れがありません。
しかし、インクレチンは「DPP-4」と呼ばれるタンパク質によって半減期1~2分ほどの早さで速やかに分解され、効果はすぐ失われます。
糖尿病とは
平成29年の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は約328万人超であり、前回の調査から12万人以上増加しています。
糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。
健康診断等で
- 空腹時血糖値が126mg/dL以上
- HbA1cが6.5%以上
の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。
糖尿病にはその原因や病態によって
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
に分類されています。
日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。
- インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
- インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている
主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)
一方、1型糖尿病は遺伝因子や自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下)
従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。
2型糖尿病の治療
2型糖尿病治療は
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
を基本としますが、最も大切なのは食事療法と運動療法です。
食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。
2型糖尿病治療薬
2型糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。
まずは経口血糖降下薬の少量から開始されることが多いです。
経口血糖降下薬には以下の種類があり、糖尿病の原因(インスリン分泌低下、抵抗性増大)によって使い分けられます。
<インスリン分泌低下を改善>
- スルホニル尿素(SU)薬:インスリン分泌促進
- グリニド薬:より速やかなインスリン分泌促進
- DPP-4阻害薬:インクレチン分解抑制によるインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制
<インスリン抵抗性を改善>
- ビグアナイド薬:糖新生の抑制
- チアゾリジン薬:インスリンの感受性を向上
加えて、ブドウ糖の吸収を抑制する「α-グルコシダーゼ阻害薬」や、ブドウ糖の排泄を促進する「SGLT2阻害薬」等も使用されます。
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【糖尿病】SGLT2阻害薬の作用機序・副作用と一覧まとめ(単剤と配合剤)
続きを見る
これらの経口血糖降下薬で効果が不十分であった場合、用量の増量や、併用療法などが検討されます。
DPP-4阻害薬にもいくつか配合剤がありますが、配合剤は、上記経口血糖降下薬で効果が不十分であった場合にのみ使用できます。
DPP-4阻害薬の作用機序
DPP-4阻害薬はインクレチンを分解するDPP-4を阻害することで、インクレチンの働きを維持させ、その結果、インスリン分泌が促進されて血糖値が降下する、といった作用機序を有しています。
DPP-4阻害薬(単剤)の一覧
2018年9月21日時点で承認されているDPP-4阻害薬(単剤)の一覧を以下に示します。
製品名 | 一般名 | 通常用法 |
ジャヌビア/グラクティブ | シタグリプチン | 1日1回 |
エクア | ビルダグリプチン | 1日2回 |
ネシーナ | アログリプチン | 1日1回 |
トラゼンタ | リナグリプチン | 1日1回 |
テネリア | テネリグリプチン | 1日1回 |
オングリザ | サキサグリプチン | 1日1回 |
スイニー | アナグリプチン | 1日2回 |
ザファテック | トレラグリプチン | 週1回 |
マリゼブ | オマリグリプチン | 週1回 |
1日1回もしくは2回投与製剤と、週1回投与製剤があります。
DPP-4阻害薬(配合剤)の一覧
2018年9月21日時点で承認されているDPP-4阻害薬(配合剤)の一覧を以下に示します。
製品名 | 配合成分 | 通常用法 |
エクメット | ビルダグリプチン+メトホルミン(ビグアナイド薬) | 1日2回 |
イニシンク | アログリプチン+メトホルミン(ビグアナイド薬) | 1日1回 |
メトアナ | アナグリプチン+メトホルミン(ビグアナイド薬) | 1日2回 |
リオベル | アログリプチン+ピオグリタゾン(チアゾリジン薬) | 1日1回 |
カナリア | テネリグリプチン+カナグリフロジン(SGLT2阻害薬) | 1日1回 |
スージャヌ | シタグリプチン+イプラグリフロジン(SGLT2阻害薬) | 1日1回 |
トラディアンス | リナグリプチン+エンパグリフロジン(SGLT2阻害薬) | 1日1回 |
配合剤はある程度用量の定まったもの(多くは、低用量のLD製剤と高用量のHD製剤がある)ですので、細かな減量や増量等の調節ができません。
従って、まずは単剤あるいは2剤併用から開始し、用量を固定したうえで配合剤へ切り替える必要があります。
そのため、配合剤は糖尿病治療の第一選択薬として使用できない旨が添付文書に記載されています。
あとがき
DPP-4阻害薬は有効成分として9成分が販売されており、週1回投与製剤も登場してきています。
最近では配合剤も次々に登場しており、2018年もSGLT2阻害薬との配合剤がいくつか上市される見込みです!
インクレチンに関与するGLP-1アナログ製剤については以下の記事をご参照ください。
以上、今回はDPP-4阻害薬と一覧をご紹介しました。
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