新薬承認・薬価収載

【第二部会:期待の新薬】10製品+4製品(2024年5月24日)

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2024年5月24日、厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、新薬として10製品の承認可否が審議され、すべて承認了承されました!

その他、報告のみで了承された4製品もあります。

 

前回の同部会で継続審議となっていたアビガン(ファビピラビル)の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症に対する適応拡大については、今回、製造販売後臨床試験を実施する計画が提示されたことから承認了承の運びとなりました。

【第二部会:期待の新薬】3製品+4製品(2024年5月9日)

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その他、2023年7月31日の同部会で継続審議となっていた塩野義製薬の新型コロナウイルスワクチンであるコブゴーズ筋注も、今回承認了承です。

 

今回は承認了承された新薬等の概要について紹介しています。

 

審議品目:3製品

●コブゴーズ筋注(一般名:組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン)
:「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

元々は、初回免疫+追加免疫として申請されていましたが、今回は初回免疫のみの承認となる見込みです。

 

承認申請に用いた臨床試験では、コブゴーズの中和抗体価の値が相当低かったことから継続審議となっていました。

その後、申請後に提出されたベトナムの臨床試験(U0232 試験)の結果が再度評価され、事前に規定した主要評価項目を達成しなかったものの、オミクロン株流行下で一定の予防効果が示唆されたことから承認了承の流れとなったようです。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
‥‥それでいいのか?と思ってしまいますが…。

 

現在承認されている新型コロナウイルス感染症に対するワクチンは以下でまとめています。

コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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●アビガン錠200 mg(一般名:ファビピラビル)
:「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

SFTSウイルス感染症
アビガン(ファビピラビル)の作用機序【SFTSウイルス感染症】

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国内初のSFTSウイルス感染症治療薬ですね。

抗インフルエンザ薬として承認された際には「厚生労働大臣の要請がない限りは、製造販売を行わないこと」といった承認条件がありましたが、SFTSには適用しないとのこと。

 

また、流通管理については、以下が了承されています。

  • 原則として入院管理下のみで投与する
  • 原則として患者が発生した後に納入する
  • 研修を受けて登録された医師のみ処方を可能とする

 

木元 貴祥
木元 貴祥
インフルエンザの時よりは緩和されていますね。

 

●ザビセフタ配合点滴静注用(一般名:アビバクタムナトリウム・セフタジジム水和物)
:「本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌による敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・新医療用配合剤。

ザビセフタ配合点滴静注(セフタジジム/アビバクタム)の作用機序【細菌感染】

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既存の第三世代セフェム系抗生物質のザビセフタ(製品名:モダシン静注用)に、新規のβ-ラクタマーゼ阻害薬のアビバクタムを配合した注射剤ですね。

 

●リブテンシティ錠200mg(一般名:マリバビル)
:「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

国内初の経口投与可能なpUL97キナーゼ阻害薬です。

 

●タイフィム ブイアイ注シリンジ(一般名:精製Vi多糖体腸チフスワクチン)
:「腸チフスの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
腸チフスの不活化ワクチンですね。

 

●タルグレチンカプセル75mg(一般名:ベキサロテン)
:「皮膚病変を有する成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。再

 

これまでは、「皮膚T細胞性リンパ腫」に使用されていましたが、「成人T細胞白血病リンパ腫」にも適用拡大されます。

 

●オムジャラ錠100mg、同錠150mg、同錠200mg(一般名:モメロチニブ塩酸塩水和物)
:「骨髄線維症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

オムジャラ(モメロチニブ)の作用機序【骨髄線維症】

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JAK1/2だけでなく、アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害作用も有する新薬です!

 

木元 貴祥
木元 貴祥
そのため、赤血球の働きを活性化させる働きも期待されています。

 

●ハイイータン錠 50mg(一般名:グマロンチニブ水和物)
:「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ハイイータン(グマロンチニブ)の作用機序【MET陽性肺がん】

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テプミトコ(テポチニブ)タブレクタ(カプマチニブ)に次いで3製品目のMET阻害薬ですね。

 

●レットヴィモカプセル40mg、同カプセル80mg(一般名:セルペルカチニブ)
:「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

レットヴィモ(セルペルカチニブ)の作用機序【RET陽性の肺がん/甲状腺がん】

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RET融合遺伝子陽性の固形腫瘍に対する初の臓器横断的な承認ですね。

それに伴い、既適応症の「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」と「RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん」は削除されて、「RET融合遺伝子陽性の進行・再発の固形腫瘍」にまとめられます。

 

類薬でも、既に臓器横断的な使用が承認されていますので、併せてご確認くださいませ♪

 

●エザルミア錠50mg、同錠100mg(一般名:バレメトスタットトシル酸塩)
:「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。

エザルミア(バレメトスタット)の作用機序【ATL】

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これまでは「成人T細胞白血病リンパ腫」に対して使用されていましたが、「末梢性T 細胞リンパ腫」に対しても適応拡大されますね。

 

報告品目:4製品

●ベンリスタ皮下注200mgオートインジェクター(一般名:ベリムマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。

ベンリスタ(ベリムマブ)の作用機序【エリテマトーデス】

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これまでの小児用量は点滴静注用のみでしたが、オートインジェクター製剤も小児に対して使用可能となります。

 

●セルセプトカプセル250、同懸濁用散31.8%(一般名:ミコフェノール酸モフェチル)
:「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

●アレモ皮下注15mg、同皮下注60mg、同皮下注150mg、同皮下注300mg(一般名:コンシズマブ(遺伝子組換え))
:「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有しない先天性血友病患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。

アレモ皮下注(コンシズマブ)の作用機序・特徴【血友病】

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現在は、インヒビター保有の血友病AとBに対して使用されていますが、今後はインヒビター保有に対しても使用可能となります。

それに伴い、現在の効能・効果の「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者における出血傾向の抑制」から「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する」が削除されます。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
血友病A・B問わずに初回から使用できますね。

 

●パラプラチン注射液50mg、同注射液150mg、同注射液450mg(一般名:カルボプラチン)
:「子宮体がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

公知申請のもので、既に事前評価済のため、保険償還可能でした。今回、正式に承認される運びです。

 

あとがき

今回は、以前から継続審議となっていたアビガン(ファビピラビル)の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症に対する適応拡大や、塩野義製薬の新型コロナウイルスワクチンであるコブゴーズ筋注が了承されました。

 

また、新有効成分含有医薬品としては、オムジャラ錠(モメロチニブ)や、ザビセフタ配合点滴静注用(アビバクタム/セフタジジム)などが注目です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
順調にいけば、6月頃の正式承認が見込まれますね。

 

以上、今回は2024年5月24日の薬事審議会・医薬品第二部会で承認了承された新薬等についてご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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