新薬承認・薬価収載

【第二部会:期待の新薬】6製品+9製品(2023年2月27日)

2023年2月27日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて、新薬として6製品の承認可否を審議し、全て承認が了承されました!

 

木元 貴祥
報告のみで承認了承された9製品もありますね。

 

また、その他、新型コロナウイルスワクチン関連として、「コミナティ筋注5~11歳用」の追加免疫に用いるオミクロン株BA.4-5対応2価ワクチンを追加することや、「コミナティRTU筋注1人用製剤」、「ヌバキソビッド筋注」の追加免疫の対象年齢の変更(18歳以上→12歳以上)も了承されました。

 

今回は概要について紹介しています。

 

審議品目:6製品

●フルミスト点鼻液(一般名:経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)
:「インフルエンザの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

国内初の鼻腔噴霧型インフルエンザ弱毒生ワクチンですね!!対象年齢は「2歳以上19歳未満」です。

 

2016年に申請されていましたが、臨床試験等で疑義があり、時間がかかったとのこと。

 

木元 貴祥
注射不要で鼻からの噴霧で接種できるため、子供にとってはよい選択肢になりそうですね。

 

●ゴービック水性懸濁注シリンジ(一般名:沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルb型混合ワクチン)
:「百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

 

既に承認されている4種混合ワクチンのテトラビック皮下注にHibワクチンを加えた5種混合ワクチンです。

 

木元 貴祥
定期接種の接種回数の削減が期待できそうですね。

 

●ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(一般名:ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え))
:「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序【真性多血症】

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2週間に1回の皮下投与で使用するPEG化インターフェロン製剤です。

 

独自の技術によって化学的に単一なため、半減期が延長しているとのこと。

 

●ペマジール錠4.5mg(一般名:ペミガチニブ)
:「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

ペマジール(ペミガチニブ)の作用機序【胆道がん】

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骨髄性又はリンパ性腫瘍は非常に稀な血液腫瘍の一つで、治療選択肢は「同種造血幹細胞移植」で、標準治療は確立されていませんでした。

 

FGFR1融合遺伝子陽性の場合に新たな治療選択肢として使用できるため、期待されています!

 

●コムレクス耳科用液1.5%(一般名:レボフロキサシン水和物)
:「〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属――。〈適応症〉外耳炎、中耳炎」を効能・効果とする新投与経路医薬品。

 

レボフロキサシンの耳科用液ですね。キノロン系抗菌薬に分類されています。

 

●バリキサドライシロップ5000mg(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)
:「症候性先天性サイトメガロウイルス感染症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

症候性先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する世界初の治療薬です!

 

妊婦の胎盤を通じて胎児に感染して発症する症候性先天性CMV感染症ですが、これまで同適応を有する薬剤はありませんでした。

 

木元 貴祥
新規の選択肢として朗報ではないでしょうか。

 

報告品目:9製品

●オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))
:「非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

オプジーボとヤーボイ併用療法の作用機序【悪性黒色腫/腎/大腸/肺/食道がん】

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術前にプラチナ製剤を含む化学療法と併用します。根拠となった臨床試験はCheckMate-816試験ですね。

 

●ペメトレキセド点滴静注用100mg「NK」、同点滴静注用500mg「NK」、同点滴静注用800mg「NK」、同点滴静注液100mg「NK」、同点滴静注液500mg「NK」、同点滴静注液800mg「NK」(一般名:ペメトレキセドナトリウムヘミペンタ水和物)
:「扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんにおける術前補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

オプジーボの術前補助療法に合わせた適応拡大です。

 

●テクネフチン酸キット(一般名:フィチン酸テクネチウム(99mTc))
:「子宮頸がん、子宮体がん、外陰がん、頭頸部がんにおけるセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィ」を効能・効果とする新投与経路医薬品・新効能医薬品。

 

現在、乳がんや悪性黒色腫のセンチネルリンパ節の同定及びリンパシンチグラフィを効能・効果としていますが、新たに上記のがんに対しても使用可能となります。

 

●エンハーツ点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブデルクステカン(遺伝子組換え))
:「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新効能医薬品。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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これまではHER2陽性の乳がんや胃がんに使用されていましたが、HER2低発現(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+と定義)の乳がんの二次治療に適応拡大されます。

 

デルクステカンは細胞膜の透過性が高いため、周囲のがん細胞にも効果が及ぶようです。そのため、HER2低発現であっても治療効果が期待されると考えられていますね。

 

●シルガード9水性懸濁筋注シリンジ(一般名:組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来))
:「ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する以下の疾患。▽子宮頸がん(扁平上皮がん及び腺がん)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺がん(AIS))、▽外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3、▽尖圭コンジローマ」を効能・効果とする新用量医薬品。

シルガード9の作用機序:ガーダシル/サーバリックスとの違い・比較【HPVワクチン】

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現在は9歳以上の女性を対象に、合計3回筋肉内に注射して用いますが、新用量として2回投与も追記されます!

 

●コミナティ筋注5~11歳用(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(一般名:トジナメラン/ファムトジナメラン)
:「SARS-CoV-2による感染症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。

コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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5~11歳用の新型コロナワクチンである「コミナティ筋注5~11歳用」に、追加免疫用のオミクロン株対応BA.4-5対応2価ワクチンが追加されます。

 

●5-FU注250mg、同1000mg(一般名:フルオロウラシル、協和キリン):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
●アイソボリン点滴静注用25mg、同100mg(一般名:レボホリナートカルシウム水和物、ファイザー):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
●エルプラット点滴静注液50mg、同100mg、同200mg、オキサリプラチン点滴静注液50mg/10mL「サンド」、同100mg/20mL「サンド」、同200mg/40mL「サンド」(一般名:オキサリプラチン)
:「胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

エルプラット(オキサリプラチン)の作用機序【各癌腫とレジメン】

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これまで胃がんに対してはCAPOX療法(カペシタビン+オキサリプラチン)やSOX療法(S-1+オキサリプラチン)しか使用できませんでしたが、今回新たにFOLFOX療法(5-FU+レボホリナート+オキサリプラチン)が使用可能となります。

 

いずれも事前評価済みの公知申請のため、保険償還は可能でした。

 

その他:2製品

●ヌバキソビッド筋注(一般名:組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン)
:新型コロナに対する追加免疫の対象年齢を現在の18歳以上から、12歳以上に引き下げる。

 

●コミナティRTU筋注1人用(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))
:既承認製剤のコミナティ筋注は複数人用の製剤でしたが、本剤は1人用の製剤。

 

木元 貴祥
組成等は既承認製剤と同一で、バイアルへの充てん量のみ異なるようですね。

 

あとがき

今回の注目は初の国内初の鼻腔噴霧型インフルエンザ弱毒生ワクチンのフルミスト点鼻液ですかね。

 

これまではクリニック等が海外から輸入し、自費での接種が行われていましたが、予防接種による健康被害救済の対象外でした。

 

木元 貴祥
今後、どう使われていくのか興味深いですね。

 

以上、2023年2月27日の厚労省の薬食審医薬品第二部会で承認了承された医薬品の概要をご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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