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近年、乾癬の治療薬が多数登場してきています。
また、生物学的製剤も現在(2024年10月)は11製剤あり、それぞれ作用機序や特徴、効能・効果が異なっています。
今回は、乾癬と生物学的製剤の特徴について一覧表でご紹介していきましょう!
皮膚のターンオーバー
通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。
構造としては、表面から順に、
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
の3層に分かれています。
また、表皮はさらに
- 角質層
- 顆粒層
- 有棘層
- 基底層
の4層から構成されています。
皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています。
基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。
このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。
乾癬とは
乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。
そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。
また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。
乾癬の分類
乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です
- 尋常性乾癬
- 関節症性乾癬
- 滴状乾癬
- 乾癬性紅皮症
- 膿疱性乾癬
乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。
乾癬の原因
明確な原因は不明確ですが、
- 遺伝的素因
- 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)
などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。
何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。
IL-23はヘルパーT細胞の一種であるTh17を活性化し、Th17が産生する「IL-17A」も乾癬の発症と維持に重要であると考えられています。
乾癬の重症度と治療
乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。
重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。
- 外用療法(塗り薬)
- 光線療法(紫外線照射)
- 内服療法(経口薬)
- 生物学的製剤治療(注射薬)
外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。
内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬やPDE4阻害薬のオテズラ(一般名:アプレミラスト)が重症度に応じて使用されます。
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オテズラ(アプレミラスト)の作用機序【乾癬/ベーチェット病】
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そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。1)
- 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
- 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
- 乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬等の重症な患者さん
また、生物学的製剤治療は日本皮膚科学会で定められた病院でのみ治療ができます。
生物学的製剤の特徴(一覧表)
以下に乾癬に用いられる生物学的製剤の特徴や効能・効果を一覧表としてまとめています。
投与法には「点滴」と「皮下注」があり、自己注射が可能か不可能か、の違いがありますね。
また、適応や維持投与中の投与間隔についても差があります。
その他、表には記載していませんが、コセンティクスは2021年9月に小児の適応拡大が承認されています。生物学的製剤では初の小児適応ですね。
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コセンティクス(セクキヌマブ)の作用機序【乾癬/強直性脊椎炎】
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生物学的製剤の副作用
生物学的製剤は、副作用として結核・肺炎・敗血症を含む重篤な感染症の発現が認められることがありますので、投与中は経過観察を十分に行う必要があります。
あとがき
近年、乾癬治療薬としての生物学的製剤が次々に登場してきました。
以上、今回は乾癬と生物学的製剤の特徴や作用機序についてご紹介しました!
引用文献・資料等
- 日本皮膚科学会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版)
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