8.感染症

アビガン(ファビピラビル)の作用機序【SFTSウイルス感染症】

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SFTSウイルス感染症

2024年5月24日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、アビガン錠200mg(ファビピラビル)の効能・効果に「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症」を追加することが承認了承されました!

前回、2024年5月9日に開催された同部会では、残念ながら継続審議となっていましたが、今回は了承です。

 

アビガンは、2014年3月24日に

  • 新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分のものに限る。)

を効能・効果として承認されています。

 

当初、アビガンはこれまでのインフルエンザ治療薬と異なる作用機序を有している薬剤で注目されていましたが、非臨床試験で胎児への催奇形性が確認されたために、インフルエンザに対しては「緊急事態のみ」にしか使用できません。

 

木元 貴祥
承認されてから国内でインフルエンザの緊急事態は今のところ発生していませんが。。

 

その後、新型コロナウイルス感染症治療薬としても臨床試験が実施されましたが、残念ながら効果が期待できずに開発中止となりました。

富士フイルム富山化学|中止のニュースリリース

 

今回は国内初・世界初となるSFTSウイルス感染症に対して適応拡大される見込みですが、時期は未定です。

 

SFTSウイルス感染症とそのエビデンス等についてみていきましょう!

 

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症とは

重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、主にウイルスを保有しているマダニに刺されることにより感染するダニ媒介感染症です。

感染症法では四類感染症に位置付けられています。1)

 

マダニの活動期に一致するように春から秋にかけて(とりわけ5月が多い)が好発時期です。

2013年の統計開始以降、年間60~100名ほどの感染例が報告されています。2)

 

感染例は西日本に多いとされていますが、近年では東日本でも感染例が報告されてきています。2)

 

また、致命率は約30%と報告されているため、非常に危険な感染症です。3)

 

潜伏期間は6~14日で、発熱・倦怠感・頭痛などの症状で発症することが多いとされています。4)

続いて、嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状が発現し、7日目以降からは腎障害・意識障害・心筋障害・播種性血管内凝固症候群などの合併症を発現することもあります(臓器不全期)。

 

臓器不全期を脱しない場合、死亡するケースもあります。

 

これまで、SFTSに対して有効性を示した抗ウイルス薬はなかったため、上記の症状に応じた対症療法や、敗血症の治療に準じた支持療法が基本です。4)

 

木元 貴祥
今回ご紹介するアビガンは、SFTSに対して有効性が示されている初の抗ウイルス薬です!

 

ただし、第Ⅲ相試験等で明確なエビデンスが得られているわけではなさそうですので、その点は注意が必要です。後述の臨床試験のところで紹介します。

 

SFTSウイルスの増殖メカニズム

SFTSウイルスは「一本鎖マイナス鎖RNAウイルス」に分類されていて、RNAをゲノムとしているウイルスです。主にヒトの粘膜上皮細胞に感染します。

 

木元 貴祥
ウイルスの分類・・・いくつかありますが覚えていますか??特徴と代表例はこんな感じですね。

 

ちなみに、アデノ随伴ウイルスの仕組みを用いた治療法なんかもありますね。

ゾルゲンスマ(オナセムノゲンアベパルボベク)の作用機序・特徴【脊髄性筋委縮症】

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プラス鎖というのはゲノムそのものがmRNAとして働くことが可能なもの、マイナス鎖というのはゲノムを鋳型として一旦mRNAを作るものを言います。

 

SFTSウイルスはマイナス鎖の一本鎖RNAウイルスですので、ヒト細胞内に侵入後、プラス鎖RNA(mRNA)が合祀され、タンパク質の合成および複製が開始されます。

 

SFTSウイルスがヒトの細胞に感染する場合、以下の図のようなプロセスで感染・増殖します。

SFTSウイルスの増殖メカニズム:一本鎖マイナス鎖RNAウイルスに分類されている

 

木元 貴祥
インフルエンザウイルスも一本鎖マイナス鎖RNAウイルスのため、同じようなプロセスで感染・増殖します。

 

アビガン(ファビピラビル)の作用機序:RNAポリメラーゼ阻害

アビガンはRNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害するといった作用機序を有しています!

SFTSウイルスのゲノム(RNA)の複製がストップすることでヒト細胞内で増殖することができなくなり、結果としてウイルスの増殖抑制効果を発揮すると考えられていますね。

アビガン(ファビピラビル)の作用機序:RNAポリメラーゼ阻害

 

木元 貴祥
インフルエンザウイルスもRNAポリメラーゼによって「RNA複製」と「mRNAの伸長」が行われていますので、同じ作用機序で効果を発揮すると考えられていますね。
ゾフルーザ(バロキサビル)の作用機序・耐性:類薬との比較【インフルエンザ治療薬】

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SFTSウイルス感染症に対しては、初の抗ウイルス薬となりました!

 

SFTSウイルス感染症のエビデンス紹介

明確な根拠となる第Ⅲ相臨床試験は存在しませんが、いくつかの小規模試験等により、アビガンの有効性が示唆されています。

今回は代表として、前向きの医師主導臨床研究の結果を紹介します。5)

 

本研究は、愛媛大学、西日本の34医療機関ならびに国立感染症研究所の共同で実施されたSFTS患者さんに対するアビガンの有効性・安全性を検討する単群の医師主導臨床研究です(n=23)。

 

本試験における致命率は17.4%と、これまでに報告されている国内における致命率(27%~31%)と比較して10%ほど低い結果でした。

また、アビガン投与による重篤な副作用は認められなかったとのことです。

 

木元 貴祥
症例数も少ないことから、有効性・安全性は限定的なものの、これまでの致命率よりは低いため、ある程度の有効性が期待されています。

 

この辺りの解釈については、審査報告書が公開され次第、追記したいと思います。

 

副作用:催奇形性に注意

アビガンはインフルエンザウイルス治療薬としては現時点で有効性のエビデンスが限られていることや、非臨床試験では催奇形性が確認されているため、以下のような制限などがあります。

 

インフルエンザにおける制限

  • 追加臨床試験の実施
  • パンデミック発生まで一般に流通させない
  • 妊婦や妊娠の可能性のある女性への投与回避や投与中と投与後7日間避妊措置を行う安全対策

 

従って、インフルエンザに対しては、「緊急事態」と国が認めた場合に限って使用が許可される薬剤です。

本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。

 

木元 貴祥
SFTSウイルスの適応症においては、どのような制限が設けられるのか、正式承認後に更新予定です。

 

まとめ・あとがき

アビガンはこんな薬

  • インフルエンザウイルスに対しては緊急事態のみと限定付き
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して期待されていたが、開発中止(適応外)
  • SFTSウイルス感染症に対して効果が期待されている
  • RNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を抑制する
  • 催奇形性には注意が必要

 

これまで、SFTSウイルス感染症に対しては、効果が期待できる抗ウイルス薬が存在せず、対症療法が基本でした。

SFTSウイルス感染症は致命的な経過を辿る恐れもあり、有効なワクチンもありません。

 

木元 貴祥
まずは感染しないように注意することが第一ですね。

 

マダニに噛まれないよう、草むらや藪など、マダニが生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用して肌の露出部分を少なくすることが重要です。

 

以上、今回はSFTSウイルス感染症の治療薬として期待されているアビガン(ファビピラビル)の作用機序とエビデンスについて解説しました。

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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