新薬承認・薬価収載

【新薬:薬価収載】8製品+再生医療等製品(2022年4月20日)

2022年4月20日、新薬8製品および再生医療等製品のアベクマ(イデカブタジェン ビクルユーセル)が薬価収載されました!

 

本来であればこのタイミングで収載されるはずのメプセヴィ点滴静注液(ベストロニダーゼ アルファ)は収載が見送られているようです。

 

また、前回から見送られていた以下の3製品は今回も見送られていますね・・・。

 

木元 貴祥
今回は薬価収載の新薬一覧とその算定根拠について紹介!

 

その他、乳がんや胃がんに使用するADCのエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)は、費用対効果評価による薬価引き下げが了承され、2022年7月1日から薬価が下がります。

 

2022年4月20日:薬価収載の8製品

2022年4月20日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。

製品名
(一般名)
規格薬価効能・効果
(簡略)
レイボー錠
(ラスミジタン)
50mg1錠
100mg1錠
324.70円
570.90円
片頭痛
リフヌア錠
(ゲーファピキサント)
45mg1錠203.20円慢性咳嗽
ルマケラス錠
(ソトラシブ)
120mg1錠4,204.30円KRAS変異の
非小細胞肺がん
ピヴラッツ点滴静注液
(クラゾセンタン)
150mg6mL1瓶80,596円くも膜下出血
エヌジェンラ皮下注
(ソムアトロゴン)
24mg1.2mL1キット
60mg1.2mL1キット
43,032円成長ホルモン分泌不全性
低身長症
ビンゼレックス皮下注
(ビメキズマブ)
オートインジェクター160mg
シリンジ160mg
156,820円
156,587円
乾癬
ウィフガート点滴静注
(エフガルチギモド)
400mg20mL1瓶421,455円全身型重症筋無力症
ラピフォートワイプ
(グリコピロニウム)
2.5%2.5g1包262.00円原発性腋窩多汗症

 

薬価の算定方法

各薬剤の薬価算定方法は2022年4月13日の中医協総会の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。

 

レイボー:類似薬効比較方式(Ⅰ)(レルパックス)【加算あり】

レイボーは同じく片頭痛に使用するレルパックス(エレトリプタン)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

元々の薬価は100mg1錠543.70円でしたが、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)の対象のため、1.05倍の以下の薬価に決定しました。

  • レルパックス錠20mg:543.70円(1日薬価:543.70円)
  • レイボー錠50mg:324.70円
  • レイボー錠100mg:570.90円(1日薬価:570.90円)

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。既存のトリプタン製剤と違う作用機序だからですね!

 

加算の根拠

  • 有用性加算(Ⅱ):本剤は5-HT1F受容体に対する選択的な作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は28億円です。

 

作用機序や特徴については以下の記事で解説しています♪

レイボー(ラスミジタン)の作用機序・特徴【片頭痛】

続きを見る

 

リフヌア:原価計算方式

リフヌアと同様の効能・効果を有する既収載品はないことから、新薬算定最類似薬はないと判断されています。

従って、算定方式は原価計算方式です。

 

当初算定案では「新薬創出等加算」を適応すべきとの不服意見がありましたが、以下の理由より残念ながら却下されていました。。

上記不服意見に対する見解

  • 既存の鎮咳薬で効果不十分な患者を対象にして有効性を示したものとはいえないこと、鎮咳作用を発揮する医薬品がすでに複数存在すること等から、当初算定案どおりとする。

 

木元 貴祥
難治性の慢性咳嗽は国内初の適応ですが、他にも鎮咳薬があるとの理由ですね・・・。気の毒な気もします。。

 

以上より、当初の算定案が採用され、最終的に以下の薬価に決定しました。

  • リフヌア錠45mg:203.20円

 

ピーク時の予測販売金額は160億円です。

 

作用機序や特徴については以下の記事で解説しています。

リフヌア(ゲーファピキサント)の作用機序【慢性咳嗽】

続きを見る

 

ルマケラス:類似薬効比較方式(Ⅰ)(アルンブリグ)【加算あり】

ルマケラスは同じく非小細胞肺がんに使用するアルンブリグ(ブリグチニブ)の1日薬価に合わせて算定されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。

 

ルマケラスはKRASで、アルンブリグはALKと、対象の変異遺伝子は異なりますが、非小細胞肺がんはいつもこの算定ですよねー。

 

元々の薬価は120mg1錠2,899.50円でしたが、

  • 有用性加算(Ⅰ)(A=35%)
  • 市場性加算(Ⅰ)(A=10%)

の対象のため、1.45倍の以下の薬価に決定しました!加算すごい!!!

 

  • アルンブリグ錠90mg:11,598.00円(1日薬価:23,196.00円)
  • ルマケラス錠120mg:4,204.30円

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。有用性加算は、新規作用機序かつ、海外のガイドラインで推奨されているからですね!

 

加算の根拠

  • 有用性加算(Ⅰ):本剤はKRAS G12C阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が評価されている。また、米国NCCNガイドラインや国内肺癌診療ガイドラインで推奨されていることを踏まえ、標準的治療に位置づけられると考えられる。以上より、有用性加算(Ⅰ)(A=35%)を適用することが適当と判断した。
  • 市場性加算(Ⅰ):本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。

 

ピーク時の予測販売金額は23億円です。

 

疾患解説と作用機序については以下の記事をご覧くださいませ。

ルマケラス(ソトラシブ)の作用機序【KRAS変異陽性の肺がん】

続きを見る

 

ピヴラッツ:原価計算方式【加算あり】

ピヴラッツと同様の効能・効果を有する既収載品はないことから、新薬算定最類似薬はないと判断されています。

従って、算定方式は原価計算方式です。

 

有用性加算(Ⅱ)(A=5%)の対象ですが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数は無しに…。残念…。

  • ピヴラッツ点滴静注液150mg:80,596円

 

原価の開示度50%未満で加算ゼロとなるのは、2022年度診療報酬改定で導入されましたので、今回が初ですね。

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。既存薬にはない効果が臨床試験で認められたからですね!

 

加算の根拠

  • 有用性加算(Ⅱ):本剤は、既存治療薬が承認時に評価されていない脳血管攣縮に関連したM/Mイベントの発現抑制作用が確認されたことから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は138億円です。

 

作用機序について以下の記事をご覧ください♪

ピヴラッツ(クラゾセンタン)の作用機序【くも膜下出血】

続きを見る

 

エヌジェンラ:類似薬効比較方式(Ⅰ) (ソマトロピン製剤)【加算あり】

エヌジェンラは類薬のヒト成長ホルモン製剤(ソマトロピン製剤)の年間販売量で加重平均して、1日薬価が算出されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ) です。

 

元々、24mg1キット40,983円でしたが、小児加算(A=5%)の対象のため、1.05倍の以下の薬価に決定しました。

  • エヌジェンラ皮下注24mgペン:43,032円(1日薬価:3,381円)
  • エヌジェンラ皮下注60mgペン:107,580円

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。

 

加算の根拠

  • 小児加算:本剤は小児効能に係る臨床試験を実施したこと等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は5%が妥当である。

 

ピーク時の予測販売金額は64億円です。

 

ビンゼレックス:類似薬効比較方式(Ⅰ)(コセンティクス)【加算あり】

ビンゼレックスは同じく乾癬に使用する生物学的製剤のコセンティクス(セクキヌマブ)の1日薬価に合わせて算出されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ) です。

 

有用性加算(Ⅱ)(A=5%)が適用となり、キット特徴部費の原材料費を考慮して以下の薬価に決定しました。

  • コセンティクス皮下注150mgペン:74,486円(1日薬価:5,320円)
  • ビンゼレックス皮下注160mg オートインジェクター:156,820円(1日薬価:5,601円)
  • ビンゼレックス皮下注160mg シリンジ:156,587円(1日薬価:5,592円)

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。コセンティクスやヒュミラ等との直接比較試験で効果が認められているからですね。

 

加算の根拠

  • 有用性加算(Ⅱ):本剤については、複数の既存の生物製剤とのランダム化比較試験が実施されており、これらの試験結果を踏まえた考察により、既存治療に対して有効性が示されたと考えられ、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。

 

ピーク時の予測販売金額は120億円です。

 

作用機序については以下の記事で解説しています♪

ビンゼレックス皮下注(ビメキズマブ)の作用機序【乾癬】

続きを見る

 

これまでに承認・販売されている乾癬の生物学的製剤一覧については以下の記事でまとめていますので、併せてご覧くださいませ~。

 

ウィフガート:原価計算方式【加算あり】

ウィフガートは同様の薬理作用や組成を有する既収載品はないことから、新薬算定最類似薬はないと判断されています。

算定方式は原価計算方式 です。

 

有用性加算(A=5%)市場性加算(Ⅰ)(A=10%)の対象でしたが、原価の開示度が50%を下回ったため加算係数がゼロに。

結果、加算はなく以下の薬価に決定です。

  • ウィフガート点滴静注400mg:421,455円

 

木元 貴祥
なお、加算の根拠は以下の通りです。新規作用機序だからですね。

 

加算の根拠

  • 有用性加算(Ⅱ):本剤は新規作用機序として、FcRnに結合し内因性IgG濃度を低下させることにより、臨床上の有用性を示したことから、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)を適用することが適当と判断した。
  • 市場性加算(Ⅰ):本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。

 

ピーク時の予測販売金額は377億円です。

 

作用機序や特徴については以下の記事で解説しています!

ウィフガート(エフガルチギモド)の作用機序【重症筋無力症】

続きを見る

 

ラピフォート:類似薬効比較方式(Ⅰ)(エクロック)

ラピフォートは同じく原発性腋窩多汗症 に使用する外用薬のエクロックゲル(ソフピロニウム)の1日薬価に合わせて算出されました。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ) です。

 

特に加算はなく以下の薬価に決定しています。

  • エクロックゲル5%:242.60円(1日薬価:242.60円)
  • ラピフォートワイプ2.5%:262.00円(1日薬価:262.00円)

 

ピーク時の予測販売金額は34億円です。

 

作用機序や特徴については以下の記事で解説しています。

ラピフォートワイプ(グリコピロニウム)の作用機序【腋窩多汗症】

続きを見る

 

再生医療等製品のアベクマ:類似薬効比較方式(Ⅰ)(キムリア)

アベクマは同じくCAR-T細胞療法のキムリアの1日薬価を参考に算出されています。

算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ) です。

 

特に加算はなく、以下の薬価に決定しました。

  • キムリア点滴静注(1患者当たり):32,647,761円(1日薬価:32,647,761円)
  • アベクマ点滴静注(1患者当たり):2,647,761円(1日薬価:32,647,761円)

 

ピーク時の予測販売金額は49億円です。

 

作用機序については以下の記事をご確認ください。

アベクマ(イデカブタジェン ビクルユーセル)の作用機序【多発性骨髄腫】

続きを見る

 

費用対効果評価による薬価引き下げ(エンハーツ):2022年7月1日より

2016年度より試行的に医薬品などの費用対効果評価が行われており、エンハーツはその対象とされていました。

 

その結果、2022年7月1日より、現在販売されているエンハーツの薬価は以下に減額されます。約2.2%の減ですね。

  • エンハーツ点滴静注用100mg:168,434 円 ⇒ 164,811 円
エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳がん/胃がん】

続きを見る

 

木元 貴祥
現在、エンハーツは乳がんの二次治療の適応拡大が申請中なので、こちらも期待!

 

あとがき

今回は8製品中6製品が加算品目と多かった印象です!

 

新作用機序を有している以下の新薬は期待しています♪

 

以上、今回は2022年4月20日に薬価収載された新薬8製品と再生医療等製品についてご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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