1.中枢神経系

レイボー(ラスミジタン)の作用機序・特徴【片頭痛】

2021年11月5日、厚労省の薬食審医薬品第一部会にて「片頭痛」を効能・効果とするレイボー錠(ラスミジタン)の承認が了承されました!

日本イーライリリー|申請と提携のニュースリリース

基本情報

製品名レイボー錠50mg/100mg
一般名ラスミジタンコハク酸塩
製品名の由来
製薬会社製造販売:日本イーライリリー(株)
販売:第一三共(株)
効能・効果片頭痛
用法・用量通常、成人にはラスミジタンとして1回100 mgを片頭痛発作時に経口投与する。
ただし、患者の状態に応じて50 mg又は200 mgを投与することができる。
頭痛の消失後に再発した片頭痛発作に対し、本剤を再投与することができるが、
24時間以内の総投与量は200 mg以内とすること。
収載時の薬価

 

5-HT1F受容体作動薬で、新規作用機序を有していますね!既に海外では「REYVOW」として承認されています。

 

木元 貴祥
機序的にはトリプタン製剤と似ていますが、トリプタンとは違うとのことです。

 

片頭痛発作の急性期治療薬としての使用が見込まれますね。選択肢が増えるのは朗報だと思います!

 

今回は片頭痛とレイボー(ラスミジタン)の作用機序・エビデンスについて紹介していきます。

 

片頭痛とは

片頭痛は日本人の約10%(約1000万人)に認められる疾患です。

年代としては20歳~40歳代、性別は女性に多いとされています(男:女=1:4)。

 

もしかしたら今ご覧の方々でも経験されたことがあるかもしれません。

 

症状としては

  • ズキズキと脈打つような痛み
  • 頭の片側に急に起こる
  • 一度発症すると4~72時間くらい持続する

が特徴的です。

 

木元 貴祥
その他にも吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

 

人によっては前兆症状として

  • 目のちらつき(キラキラした感じ)
  • 視野が狭くなる
  • しびれ
  • 言語障害

といった症状が現れることもあります。

 

片頭痛を発症しやすい要因として、

  • ストレス
  • 睡眠不足
  • 高血圧
  • ホルモンバランスの乱れ

などが知られていますね。

 

片頭痛の原因:三叉神経血管説

片頭痛の原因は、明確には解明されていませんが、

  • 血管説(セロトニン説)
  • 神経説
  • 三叉神経血管説

などが提唱されています。1)

 

最近では、最も有力なのは「三叉神経さんさしんけい血管説」と言われています。

 

木元 貴祥
三叉神経は顔面周辺に存在している、脳神経の中でも最も大きい神経です。

 

何らかの原因で三叉神経が刺激されると、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」などの血管作動性物質が分泌されることが知られています。

 

CGRPは血管拡張作用がある物質で、血管のCGRP受容体に作用すると、血管の過度な拡張によって周囲の神経が圧迫されて痛みを生じます。

その他にもCGRPは炎症反応を増強させたり、痛みを増強させる作用もあるため、これらの作用によって片頭痛が引き起こされます。

片頭痛の発症と三叉神経血管説:CGRPが関与している

 

このように血管の過度な拡張と炎症反応によって片頭痛が生じると考えられています。

 

片頭痛の治療

片頭痛の治療薬には、

  • 急性期治療薬(片頭痛の治療目的)
  • 予防薬(片頭痛の予防目的)

があります。

 

急性期治療薬 (片頭痛の治療目的)

今起こっている片頭痛を速やかに消失させる目的の薬です。

 

重症度に応じて、

  • 軽度~中等度:アセトアミノフェン、NSAIDsなど
  • 中等度~重度:トリプタン製剤

の使用が推奨されています。

 

ただし、軽度~中等度の頭痛でも、アセトアミノフェンやNSAIDsの効果が無い場合、トリプタン製剤に変更することもあります。

【片頭痛】トリプタン製剤の作用機序と薬剤一覧まとめ比較・使い分け

続きを見る

 

吐き気や嘔吐を併発している場合、制吐薬(プリンペランやナウゼリン等)を併用します。

 

今回ご紹介するレイボーは急性期治療の新たな選択肢ですね!位置づけは気になるところ。

 

予防薬 (片頭痛の予防目的)

片頭痛発作が月に2回以上または6日以上ある場合、予防療法が行われることがあります。1)

 

木元 貴祥
片頭痛の症状が無い時に、原則、毎日服用することで発症を予防していきます。

 

主に使用される薬剤は以下です。

  • カルシウム拮抗薬
  • 抗てんかん薬
  • β遮断薬
  • 抗うつ薬
  • 漢方薬

 

2021年には新たな予防薬としてCGRP関連抗体薬も登場してきました。

エムガルティ(ガルカネズマブ)の作用機序・副作用【片頭痛の予防】

続きを見る

 

レイボー(ラスミジタン)の作用機序・特徴

レイボーは末梢および中枢のセロトニン5-HT1F受容体作動薬です。2)

中枢の三叉神経終末にはセロトニン5-HT1F受容体が存在していて、これが刺激されることでCGRPの分泌が抑制されることが知られています。

 

レイボーは三叉神経終末のセロトニン5-HT1F受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制し、血管の過度な拡張や炎症・痛みを抑える薬剤ですね!

レイボー(ラスミジタン)の作用機序:中枢三叉神経終末の5HT-1F受容体作動薬

 

ちなみに、トリプタン製剤は三叉神経終末5-HT1D受容体と血管内皮細胞5-HT1B受容体の作動薬です。

【片頭痛】トリプタン製剤の作用機序と薬剤一覧まとめ比較・使い分け

続きを見る

 

血管内皮細胞5-HT1B受容体が刺激されると血管が収縮しますが、レイボーは5-HT1B受容体への作用が無いため、血管収縮に影響を与えないといった特徴があります。2)

 

従って、トリプタン製剤で禁忌とされている

  • 心筋梗塞
  • 虚血性心疾患
  • 脳血管障害
  • 一過性脳虚血性発作の既往
  • 末梢血管障害
  • コントロールされていない高血圧症

などの患者さんに対してはレイボーが期待できるのではないかと考えます。

正式承認後に禁忌項目等は追記予定

 

エビデンス紹介:SAMURAI試験とSPARTAN試験

根拠となる臨床試験の一部をご紹介します。主には海外で行われた「SAMURAI試験」と「SPARTAN試験」が根拠で、両試験共にデザインは同じため、合算して報告されています。3)

 

木元 貴祥
ちなみに、サムライなのに日本は含まれていません・・・(笑)

 

両試験は月に3〜8回の片頭痛発作を伴う18歳以上の患者さん(MIDASスコア11以上=中等度以上)を対象に、レイボーとプラセボを比較する第Ⅲ相試験です。

2つ以上の心血管危険因子を有する患者さん、予防薬の併用、トリプタン製剤の併用も許容されていました。

 

主要評価項目は「2時間後の痛みの軽減割合」とされ、いずれのレイボー投与量でもプラセボと比較して有意な軽減が認められています。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

臨床試験では傾眠やめまいが報告されているため、車の運転等は注意が必要かもしれませんね。

 

用法・用量

通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与します。ただし、患者の状態に応じて50mg又は200mgを投与することも可能です。

 

頭痛の消失後に再発した片頭痛発作に対し、再投与することができますが、24時間以内の総投与量は200mg以内とすることとされています。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

レイボーはこんな薬

  • 5-HT1F受容体作動薬でトリプタン製剤ではない
  • 三叉神経終末からのCGRP放出を抑制する
  • 血管収縮には影響を与えない

 

片頭痛は近年、CGRP関連抗体薬等も登場し、薬剤開発が活発化しています。

エムガルティ(ガルカネズマブ)の作用機序・副作用【片頭痛の予防】

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急性期の治療薬としてはトリプタン製剤が長く使用されていますが、心血管障害や脳血管障害の患者さんには使用し辛く、新たな治療選択肢が望まれていました。

【片頭痛】トリプタン製剤の作用機序と薬剤一覧まとめ比較・使い分け

続きを見る

 

木元 貴祥
レイボーは血管収縮に影響を与えないため、上記の患者さんであっても使用しやすいのではないでしょうか。

 

以上、今回は片頭痛とレイボー(ラスミジタン)の作用機序・エビデンスについて紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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