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今回は片頭痛の治療薬として使用される「トリプタン製剤」の作用機序と薬剤一覧についてご紹介します。
2018年7月時点では以下の5種類のトリプタン製剤が販売されています。
各薬剤の特徴や使い分け、比較についてもまとめています!
片頭痛とは
片頭痛は日本人の約10%(約1000万人)に認められる疾患です。
年代としては20歳~40歳代、性別は女性に多いとされています(男:女=1:4)。
もしかしたら今ご覧の方々でも経験されたことがあるかもしれません。
症状としては
- ズキズキと脈打つような痛み
- 頭の片側に急に起こる
- 一度発症すると4~72時間くらい持続する
が特徴的です。
その他にも吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
人によっては前兆症状として
- 目のちらつき(キラキラした感じ)
- 視野が狭くなる
- しびれ
- 言語障害
といった症状が現れることもあります。
片頭痛を発症しやすい要因として、
- ストレス
- 睡眠不足
- 高血圧
- ホルモンバランスの乱れ
などが知られています。
片頭痛の原因:三叉神経血管説
片頭痛の原因は、明確には解明されていませんが、
- 血管説(セロトニン説)
- 神経説
- 三叉神経血管説
などが提唱されています。
最近では、最も有力なのは「三叉神経血管説」と言われています。
三叉(さんさ)神経は顔面周辺に存在している、脳神経の中でも最も大きい神経です。
何らかの原因で三叉神経が刺激されると、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」などの血管作動性物質が分泌されることが知られています。
CGRPは血管の拡張作用を有しているため、血管の過度な拡張によって周囲の神経が圧迫されて痛みを生じます。
その他にもCGRPは炎症反応を増強させたり、痛みを増強させる作用もあるため、このような作用によって片頭痛が引き起こされます。
このように血管の過度な拡張と炎症反応によって片頭痛が生じると考えられています。
片頭痛の治療
片頭痛の治療薬には、
- 急性期治療薬(片頭痛の治療目的)
- 予防薬(片頭痛の予防目的)
があります。
急性期治療薬 (片頭痛の治療目的)
今起こっている片頭痛を速やかに消失させる目的の薬です。
重症度に応じて、
- 軽度~中等度:NSAIDsなど
- 中等度~重度:トリプタン製剤
の使用が推奨されています。
ただし、軽度~中等度の頭痛でも、NSAIDsの効果が無い場合、トリプタン製剤に変更することもあります。
吐き気や嘔吐を併発している場合、制吐薬(プリンペランやナウゼリン等)を併用します。
予防薬 (片頭痛の予防目的)
症状が無い時に、原則、毎日服用することで発症を予防する薬です。
主に以下が用いられます。
- カルシウム拮抗薬
- 抗てんかん薬
- β遮断薬
- 抗うつ薬
- 漢方薬
2021年頃には新規の予防薬も登場しました!
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トリプタン製剤の作用機序
トリプタン製剤は、
- セロトニン5HT1D受容体作用(刺激):三叉神経終末
- セロトニン5HT1B受容体作用(刺激):血管内皮細胞
を有する薬剤です。
三叉神経終末にはセロトニン5HT1D受容体が存在していて、これが刺激されることでCGRPの分泌が抑制されることが知られています。
トリプタン製剤は三叉神経終末のセロトニン5HT1D受容体を刺激することでCGRPの分泌を抑制し、血管の過度な拡張や炎症・痛みを抑えると考えらえています。
また、トリプタン製剤が血管内皮細胞に存在するセロトニンHT1B受容体を刺激すると、「血管収縮」が引き起こされます。
この作用によって血管の過度な拡張が抑制され、片頭痛の痛みを抑制すると考えられています。
トリプタン製剤の副作用と注意事項
トリプタン製剤に共通している主な副作用として、
- のどや胸の圧迫感、締め付け感
- 息苦しさ
- 悪心・嘔吐
- めまい
などがあります。
特に圧迫感や息苦しさは服用後30分程で起こりやすいと言われています。
トリプタン製剤を含む片頭痛薬の使用が過多になってしまうと、薬を飲んでいるのに頭痛がするといった「薬物乱用頭痛」が発現する可能性があります。
従って、トリプタン製剤も使用頻度が多くならない(10回以内/月を目安)ように注意する必要があります。
また、トリプタン製剤は血管収縮作用があるため、
- 心筋梗塞
- 虚血性心疾患
- 脳血管障害
- 一過性脳虚血性発作の既往
- 末梢血管障害
- コントロールされていない高血圧症
などの患者さんには投与禁忌のため注意が必要です。
2022年に登場したレイボー(ラスミジタン)は血管への作用が少ないため、禁忌が少ないといった特徴があります!
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トリプタン製剤の一覧と使い分け
2018年7月時点でのトリプタン製剤は5製品が販売されています。
以下に薬剤の一覧と特徴をまとめた表を作成しましたのでご参照ください。
錠剤製剤では効きの早さと効きの長さに違いがありますので、
- 発症時にすぐに痛みを取りたい場合:イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、(レルパックス)
- 痛みの再発を抑えたい場合:アマージ、(レルパックス)
を患者さんの希望に沿って使い分けができます。
剤型別では、錠剤は水(白湯)で服用する必要がありますが、口腔内崩壊錠は水無しで服用可能です。
仕事で外出が多い方でしたら、急な発症時に水無しで服用可能な口腔内崩壊錠(ゾーミッグやマクサルト)が望ましいと考えます。
イミグランは最も古い薬剤ですが、剤型が豊富(錠剤、点鼻、注射)なのが特徴です。
発症時に悪心や嘔吐が強くでる方でしたら、経口投与は難しいため、点鼻薬や自己注射可能なイミグランが選択肢になり得ます。
その他、MAOで代謝される薬剤ではMAO阻害薬との併用が禁忌です。
代表的なMAO阻害剤には以下があります。
- エフピー(一般名:セレギリン)
- アジレクト(一般名:ラサギリン)
- エクフィナ(一般名:ラサフィナミド)
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上記の薬剤を服用されている方では、CYP代謝薬であるアマージやレルパックスが選択肢になります。
以上を考慮し、患者さんの日常生活やご希望に沿って各薬剤を使い分けてはいかがでしょうか。
※ただし、効きの早さや持続性、効果については患者さん個々に変わる可能性があります。
あとがき
片頭痛に使用するトリプタン製剤には現在までに5製品が販売されており、ジェネリック医薬品も登場しています。
それぞれ効果発現までの早さや持続時間が異なったり、剤形や併用禁忌薬が異なったりしていますので一覧表としてまとめてみました!
以上、今回はトリプタン製剤の作用機序と薬剤一覧、そして使い分けのヒントについてご紹介しました。
2021年にはCGRPに関連する抗体薬も多数登場しましたので、併せてご確認ください♪
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エムガルティ(ガルカネズマブ)の作用機序:アジョビ・アイモビーグとの違い【片頭痛】
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2022年に登場したレイボー(ラスミジタン)は血管への作用が少ない新規経口薬です!こちらも併せてご覧くださいませ~。
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