疾患・作用機序まとめ

【第二部会:期待の新薬】3製品+6製品(2021年11月4日)

2021年11月4日、厚労省の薬食審医薬品第二部会にて既製品3製品の適応拡大が審議され、全て承認が了承されました。その他、報告のみで承認了承された6製品もあります。

 

木元 貴祥
注目はロナプリーブの予防の適応拡大でしょうか。原則はワクチンによる予防が大事ですが。

翌日の11月5日に正式特例承認済

 

今回は概要をご紹介します。

 

審議品目:3製品

●ハーセプチン注射用60、同注射用150(一般名:トラスツズマブ(遺伝子組換え))
:「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

ハーセプチン(トラスツズマブ)の作用機序と副作用【胃がん】

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唾液腺がんの治療薬は初ですね。上記は後発品の記事ですが、作用機序を中心に解説しています。

 

●ハイヤスタ錠10mg(一般名:ツシジノスタット)
:「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。

ハイヤスタ(ツシジノスタット)の作用機序【末梢性T細胞リンパ腫】

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●ロナプリーブ点滴静注セット(一般名:カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え))
:「SARS-CoV-2による感染症の発症抑制」の効能追加と、単回皮下注射の用法追加

ロナプリーブ注射液セット(カシリビマブ/イムデビマブ)の作用機序【COVID-19】

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予防適応の追加により効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」に、皮下注製剤の追加により製品名は「ロナプリーブ注射液セット300/1332」と変更される予定です。

 

予防は全員ではなく、重症化リスクの高い人が対象とのこと。まずはワクチンによる予防が重要です!!!

コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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ロナプリーブの予防および皮下注は翌日には正式に特例承認されています!

 

報告品目:6製品

●ロイコボリン錠5mg(一般名:ホリナートカルシウム)
:「葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減」を効能・効果とする新用量医薬品。

 

再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫において、プララトレキサート投与時の用法・用量が追加されています。

 

●キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))
:「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【消化器がん/MSI-High固形がん】

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これまで、食道がんに対しては「二次治療以降」、「PD-L1陽性」、「扁平上皮がん」に限定されていましたが、今後は一次治療からPD-L1や組織型に関わらず使用可能となります。

 

●オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg、同点滴静注240mg(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))
:「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品、「食道がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

オプジーボ(ニボルマブ)の作用機序【胃/尿路上皮がん】

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これまで胃がんに対しては3次治療以降の単剤に限られていましたが、今後は化学療法(CAPOXやFOLFOXなど)との併用において一次治療から使用可能となります!

 

また、食道がんについてはこれまで2次治療だけでしたが、今後は術後補助療法としても使用可能です。

 

木元 貴祥
いずれも免疫チェックポイント阻害薬では初の適応ですね。

 

●ローブレナ錠25mg、同錠100mg(一般名:ロルラチニブ)
:「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。

ローブレナ(ロルラチニブ)の作用機序と副作用【ALK陽性の肺がん】

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これまでは「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容」の場合にしか使用できませんでしたが、今後は初回治療から使用可能となります。

 

●サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(一般名:イサツキシマブ(遺伝子組換え))
:「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。

サークリサ(イサツキシマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】

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これまでは「ポマリドミド+デキサメタゾンとの併用」のみでしたが

  • カイプロリス+デキサメタゾン(Cd療法)との併用
  • デキサメタゾンとの併用
  • サークリサ単独療法

も可能となります。

 

●5-FU注250mg、同注1000mg(一般名:フルオロウラシル)
:「食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

木元 貴祥
一次治療におけるキイトルーダとの併用に関する適応拡大ですね。

 

あとがき

今回の注目はロナプリーブの予防適応拡大と皮下注製剤の追加でしょうか。翌日11月5日には正式に特例承認されています。

ロナプリーブ注射液セット(カシリビマブ/イムデビマブ)の作用機序【COVID-19】

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予防の基本はワクチンですが、以下の対象に対してのみ予防投与が可能となりました。

  1. SARS-CoV-2による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者、又は無症状のSARS-CoV-2病原体保有者。
  2. 原則として、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する者。
  3. SARS-CoV-2による感染症に対するワクチン接種歴を有しない者、又はワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考えられる者。

 

木元 貴祥
ワクチンについては以下の記事でまとめていますので、併せてご参考ください。
コミナティ、ダイチロナ、コスタイベなどの作用機序【新型コロナウイルス】

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その他、キイトルーダやオプジーボの適応拡大も注目&期待大です!!

 

胃がんの初回治療や食道がんの初回治療において、化学療法との併用で治療成績の向上が見込まれますね。要チェックです♪

オプジーボ(ニボルマブ)の作用機序【胃/尿路上皮がん】

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以上、今回は2021年11月5日の厚労省の薬食審医薬品第二部会にて承認了承された薬剤をまとめてご紹介しました。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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