新薬承認・薬価収載

【新薬承認+効能効果追加】8製品+3製品(2024年1月18日)

2024年1月18日、厚労省は新薬(新有効成分含有医薬品)として8製品を承認しました。その他、既存薬の適応拡大等が3製品が承認されていますね。

 

木元 貴祥
概要を押さえておきましょう!

 

新薬:8製品

●ヒフデュラ配合皮下注(一般名:エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え))
:「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

ヒフデュラ/ウィフガート(エフガルチギモド)の作用機序【重症筋無力症】

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ウィフガート点滴静注(一般名:エフガルチギモド アルファ)にボルヒアルロニダーゼを配合させた皮下注製剤ですね。

 

最近、ボルヒアルロニダーゼの配合によって皮下注かつ投与時間を短縮した製剤が相次いで開発されています。

 

木元 貴祥
投与時間は30~90秒とのことですので、ウィフガートと比較して大幅に短縮されています!

 

●ボイデヤ錠50mg(一般名:ダニコパン)
:「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

 

発作性夜間ヘモグロビン尿症では、補体C5阻害薬のソリリス(エクリズマブ)ユルトミリス(ラブリズマブ)が使用されていますが、補体C5を阻害すると、その上流にあるC3やC3bが活性化してしまうことがあり、C3bが活性化すると脾臓などで血管外溶血のリスクが知られていました。

 

ボイデヤは、国内初の補体D因子阻害薬で、補体C3の形成抑制作用が期待されています。

 

ちなみに、最近では補体C3阻害薬のエムパベリ(ペグセタコプラン)も登場しました。

エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン)の作用機序【PNH】

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●ゾキンヴィカプセル50mg、同カプセル75mg(一般名:ロナファルニブ)
:「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

ゾキンヴィ(ロナファルニブ)の作用機序・特徴【HGPS】

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木元 貴祥
超希少疾病かつ、作用機序が難しいですが、上記で解説しています!

 

●エヴキーザ点滴静注液345mg(一般名:エビナクマブ(遺伝子組換え))
:「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

 

国内初の抗ANGPTL3モノクローナル抗体です。

 

LDL受容体を介さずにLDL-Cを低下させると考えられているため、LDL受容体が活性をほとんど示さないホモ接合体家族性高コレステロール血症に対して効果が期待されています!

 

●イブグリース皮下注250mgシリンジ、同皮下注250mgオートインジェクター(一般名:レブリキズマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

イブグリース(レブリキズマブ)の作用機序と類薬比較【アトピー性皮膚炎】

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IL-13に対する抗体薬(生物学的製剤)です。

 

作用機序的にはアドトラーザ皮下注(トラロキヌマブ)と同じですが、結合部位が異なるためか、遮断する経路が若干異なります。

 

木元 貴祥
12歳以上の小児から使用可能とのことですね。

 

上記記事では、アトピー性皮膚炎に使用する生物学的製剤4製品を比較していますので、ご参考にしてみてください。

 

●アブリスボ筋注用(一般名:組換えRSウイルスワクチン)
:「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アブリスボ筋注用の作用機序:アレックスビーとの違い【RSVワクチン】

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新生児及び乳児におけるRSVによる下気道疾患の予防を目的とした初のワクチンです!

高齢者のRSVのワクチンとしては、アレックスビー筋注用が承認されていますが、母子免疫を目的としてワクチンはアブリスボが初となりました。

 

●①ターゼナカプセル0.1mg、②同カプセル0.25mg、③同カプセル1mg(一般名:タラゾパリブトシル酸塩)
:①②「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」、
②③「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ターゼナ(タラゾパリブ)の作用機序:リムパーザ、ゼジューラとの違い【乳/前立腺がん】

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国内では3製品目となる新規のPARP阻害薬です。

去勢抵抗性前立腺癌に対してはイクスタンジ(エンザルタミド)と併用で使用します。

 

●レブロジル皮下注用25mg、同皮下注用75mg(一般名:ルスパテルセプト(遺伝子組換え))
:「骨髄異形成症候群に伴う貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

国内初となるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF‒β)阻害薬です。

 

骨髄異形成症候群(MDS)では、高頻度で貧血を呈すため、対症療法として赤血球輸血やエリスロポエチン製剤のネスプ(ダルベポエチン)などが使用されていました。

 

レブロジルは、造血幹細胞から赤血球への分化を促進させることで、赤血球数を増加させると考えられていますね。

 

適応拡大等:3製品

●フィコンパ点滴静注用2mg(一般名:ペランパネル水和物)
:「一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するペランパネル経口製剤の代替療法:●てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、●他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果とする新投与経路医薬品。

フィコンパ(ペランパネル)の作用機序と副作用【てんかん】

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現在は錠剤と細粒剤が承認されています。

 

てんかん患者さんの一部は、経口投与が困難なこともあるため、今回、新たに点滴静注製剤が追加されました。

 

類薬のイーケプラ(レベチラセタム)ビムパット(ラコサミド)は既に点滴静注製剤がありますね。

 

●アイリーア8mg硝子体内注射液114.3mg/mL(一般名:アフリベルセプト(遺伝子組換え))
:「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫」を対象疾患とする新剤形医薬品。

アイリーア(アフリベルセプト)の作用機序【加齢黄斑変性】

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これまで、加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫の維持期については、2か月毎の投与が必要でした。

今回の高用量製剤の登場によって、維持期では4か月(16週)毎の投与で治療が可能となりました。

 

以下の記事で類薬との違い・比較について一覧表をまとめています。

バビースモ(ファリシマブ)の作用機序:類薬との違い・比較【加齢黄斑変性】

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●①ラパリムス顆粒0.2%②同錠1mg(一般名:シロリムス)
:「下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形:リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症、血管内皮腫、房状血管腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群」を対象疾患とする①新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品②新効能・新用量医薬品。

ラパリムス錠(シロリムス)の作用機序と副作用【リンパ脈管筋腫症】

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適応拡大に伴い、「顆粒剤」の剤形が追加されました!

 

あとがき

今回の注目は、

などだと思います。

 

木元 貴祥
その他は希少疾病が多い印象ですね。

 

また、近年ではアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤の開発の活発で、4製品目となるイブグリース皮下注も注目したいとことです。

イブグリース(レブリキズマブ)の作用機序と類薬比較【アトピー性皮膚炎】

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上記記事では生物学的製剤4製品の一覧表も作成していますので、ご参考にしてみてください♪

 

以上、今回は2024年1月18日に承認された新薬について概要をご紹介しました!

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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