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2024年1月18日、「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群」と「プロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー」を対象疾患とするゾキンヴィカプセル(一般名:ロナファルニブ)が承認されました!
アンジェス|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ゾキンヴィカプセル50mg、75mg |
一般名 | ロナファルニブ |
製品名の由来 | 不明 |
製造販売 | アンジェス(株) |
効能・効果 | ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群及び プロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー |
用法・用量 | 通常、ロナファルニブとして開始用量115 mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中又は食直後に経口投与し、 4カ月後に維持用量150mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中又は食直後に経口投与する。 なお、患者の状態に応じて適宜減量する。 |
収載時の薬価 | 50mg:91,796.40円 75mg:136,544.00円 |
発売日 | 2024年5月27日(HP) |
ゾキンヴィは国内初のファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(ファルネシル化阻害薬)です。
また、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS:Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome)とプロジェロイド・ラミノパチー(PL:Progeroid laminopathies)に対する初の治療薬でもあります。
今回は、代表疾患としてハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の概要と、ゾキンヴィ(ロナファルニブ)の作用機序について解説します。
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群
ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS:Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome)は、遺伝性早老症に分類されていて、特に症状が重い疾患です。
動脈硬化による重篤な脳・心臓の血管障害が10歳台で起こることが多く、平均寿命は14.6歳と報告されています。1)
また、約400~800万人に1人の発症率と推定されていて、国内では10名ほどの患者さんがいると推定されています。ちなみに、全世界でも350~400人の患者数と考えられています。
これまで有効な治療薬はなく、症状に対する対症療法が中心でした。
原因
HGPSの原因は、核膜を構築するタンパク質の一つであるラミンAをコードするLMNA遺伝子の変異によると考えられています。2)
正常なLMNA遺伝子から翻訳された未成熟のラミンA(プレラミンA)は、ファルネシル化と呼ばれる修飾が行われます。これにより、プレラミンAの末端に疎水性のファルネシル基(プレニル基とも呼ばれます)が結合し、疎水性の部分が核膜内に挿入されることで、核膜内に留まると考えられています。
その後、メタロプロテアーゼによりファルネシル化された部位を含む領域が切断されることで成熟ラミンAが産生されます。
一方、LMNA遺伝子に変異を有する場合、メタロプロテアーゼによる切断部位が欠損してしまうことから、ファルネシル基が結合したままの変異プレラミンA(プロジェリンと呼ばれます)が産生されてしまいます。
プロジェリンは、ファルネシル基が結合したままのため、分解されることなく核膜に蓄積することで、核膜の構造・機能の異常をきたすと考えられています。
ちなみに、プロジェロイド・ラミノパチー(PL:Progeroid laminopathies)もファルネシル化によってプロジェリン様タンパク質が蓄積することで発症すると考えられています。
ゾキンヴィ(ロナファルニブ)の作用機序
ゾキンヴィは国内初のファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(ファルネシル化阻害薬)です。
変異したLMNA遺伝子から翻訳された変異プレラミンAのファルネシル化を抑制することで、HGPSの原因となるプロジェリンの産生を抑制します。
ファルネシル化されなかったタンパク質は、細胞内で分解されるため、蓄積することはありません。
その結果、HGPSの進行抑制効果が得られると考えられていますね!
エビデンス紹介
根拠となったのは、HGPSまたはPLの患者さんを対象に国際共同(日本人を含む)で実施された第Ⅱ相臨床試験(×2本)のみです。2)
いずれも主要評価項目は「ベースライン時の年間体重増加率」とされ、僅かであるものの、体重の増加傾向が認められていました。
そこで、既存の情報から本剤の未投与患者さんでの生存時間データを構築し、上記の2つの臨床試験におけるゾキンヴィ単剤の生
存時間と比較解析を行うこととされました。
主要評価項目は「死亡までの時間(3 年時点で打切り)」とされ、ゾキンヴィ群で統計学的に有意な生存期間の延長が認められた(p=0.0002)とされています。
ちなみに、本解析は米国FDAとも協議を行った上で計画していて、この結果に基づき米国・欧州にてゾキンヴィが承認されていますよ!
副作用
後日更新予定です。
用法・用量
通常、ロナファルニブとして開始用量115 mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中又は食直後に経口投与し、4カ月後に維持用量150mg/m2(体表面積)を1日2回、朝夕の食事中又は食直後に経口投与します。
なお、患者の状態に応じて適宜減量します。
収載時の薬価
収載時(2024年4月17日)の薬価は以下の通りです。
- ゾキンヴィカプセル50mg:91,796.40円
- ゾキンヴィカプセル75mg:136,544.00円
算定根拠については、以下で解説しています。
-
【新薬:薬価収載】10製品(2024年4月17日)
続きを見る
まとめ・あとがき
ゾキンヴィはこんな薬
- 国内初のファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(ファルネシル化阻害薬)
- HGPSとPLに対する初の治療薬
- 1日2回、食事中または食直後に経口投与する
HGPSとPLは超希少疾病のため、現場で見かけることはほぼ無いと思われます。
しかし、ファルネシル化は、他の疾患でも関与していることが知られています。例えば、がんのRAS変異によるRASタンパク質もファルネシル化によって恒常的に活性化していると考えられています。
参考までに、RAS変異とRAS阻害薬については以下の記事をご参照ください。
-
ルマケラス(ソトラシブ)の作用機序【KRAS変異陽性の肺がん】
続きを見る
以上、今回は代表疾患としてハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の概要と、ゾキンヴィ(ロナファルニブ)の作用機序について解説しました。
引用文献・資料等
- 難病情報センター|ハッチンソン・ギルフォード症候群
- ゾキンヴィ 審査報告書
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