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2021年9月27日、「難治性リンパ管疾患」を対象疾患とするラパリムス錠1mg(一般名:シロリムス)の適応拡大が承認されました。
ラパリムス錠は2014年7月4日に「リンパ脈管筋腫症」を効能・効果として承認されている薬剤です。今回は代表疾患としてリンパ脈管筋腫症とラパリムス(シロリムス)の作用機序についてご紹介します。
リンパ脈管筋腫症(LAM)とは
リンパ脈管筋腫症(LAM:lymphangioleiomyomatosis)は、異常な平滑筋様細胞(LAM細胞)が、肺・リンパ節・腎臓などで増殖する疾患です。
LAM細胞が肺の組織を破壊することにより肺に小さな穴が複数生じることが特徴の疾患で、厚労省の難病指定に認定されています。
主に妊娠可能な年代の女性が発症する非常に稀な疾患で、平均発症年齢は30歳台中頃と言われています。
リンパ脈管筋腫症には、結節性硬化症(TSC)に伴って発生する「TSC-LAM」と、伴わないで単独で発生する「孤発性LAM」の2種類があります。
結節性硬化症については、以下の記事をご覧ください。
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ラパリムスゲル(シロリムス)の作用機序と副作用【結節性硬化症】
続きを見る
リンパ脈管筋腫症(LAM)の症状と治療
主な症状は肺の病変により出現するもので、労作時の息切れ、咳、痰、血痰、喘息様の喘鳴、などです。
また、肺が破れて空気が漏れる気胸を生じることがあり、胸痛や呼吸困難がみられます。
このような症状や合併症のある場合はその対処療法としての治療を行います。
酸素が低下し呼吸不全となった場合は酸素の吸入、繰り返す気胸には胸膜の癒着や外科的治療が必要です。
このように今までは対処療法としての治療しかなく、根本的な原因治療はありませんでした。
リンパ脈管筋腫症(LAM)の原因
通常、正常な細胞が増殖する際に、様々な因子・遺伝子によって増殖の度合いがコントロールされています。
正常細胞に増殖因子が作用すると、細胞内では刺激が伝達(“シグナル伝達”と言います)され、途中、「mTOR(“エムトール”と読みます)」を経由して核に伝わります。
刺激が核に伝わると、細胞の増殖が活性化されます。
また、このmTORの働きをコントロールしている遺伝子に「TSC1遺伝子」と「TSC2遺伝子」が知られています。
これらの遺伝子は、mTORが過剰に活性化しないようにブレーキのような役割を担っています。
そのため、正常細胞では過剰な増殖は起きず、必要な分だけ増殖するようにコントロールされています。
リンパ脈管筋腫症では
LAM細胞のTSC1遺伝子またはTSC2遺伝子が変異してしまっているため、mTORのブレーキがかからなくなってしまっています。
そのため、mTORが常に活性化している状態になり、LAM細胞の増殖が活性化されることで様々な症状の発現・リンパ脈管筋腫症の進行が引き起こされます。
ラパリムス(一般名:シロリムス)の作用機序
ラパリムスはmTORを選択的に阻害する薬剤です。
LAM細胞で過剰に活性化しているmTORの働きを抑制することで、LAM細胞の増殖が抑制され、リンパ脈管筋腫症の症状緩和につながると考えられます。
ラパリムス(一般名:シロリムス)の副作用
ラパリムスの主な副作用には、口内炎、鼻咽頭炎、上気道炎症、発疹、下痢、頭痛などがあります。
重篤な副作用には間質性肺疾患や重度の感染症がありますので特に注意が必要です。
あとがき
このように今まで治療法がなかったリンパ脈管筋腫症に初めての治療薬がラパリムスですので患者さんにとっては朗報ではないでしょうか☆
以上、今回は稀な疾患ではありますが、リンパ脈管筋腫症とラパリムスの作用機序についてご紹介しました!
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