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2019年2月21日、「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に使用するジカディアカプセル150mg(一般名:セリチニブ)の用法・用量が「750mgの1日1回空腹時投与」から「450mgの1日1回食後投与」に変更されました。
それに伴い、新剤形としてジカディア錠150mgが承認されています!
製薬会社
- 製造販売:ノバルティス ファーマ(株)
ジカディカは2016年3月にALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんの二次治療として承認され、その後2017年9月に初回治療から使用可能となりました。
しかし、以前までの50mgの空腹時投与では悪心、嘔吐、下痢といった消化器症状が高く発現し、治療継続が困難となるケースがしばしばありました。
今回の用法・用量変更により、有効性を担保しながら消化器症状を軽減することが期待されています!
今回は非小細胞肺がんとジカディア(セリチニブ)の作用機序についてご紹介します☆
非小細胞肺がんと治療について
肺がんは性質や薬の効き方によって“小細胞肺がん”と“非小細胞肺がん”に分類されています。
早期に発見できた場合、手術の適応になりますが、発見時に他の臓器に転移がある場合(StageⅣ)や再発してしまった場合、化学療法(抗がん剤や分子標的薬)の治療が中心となります。
非小細胞肺がんの初回化学療法(一次化学療法)は、がんの遺伝子状況によって以下の優先順位で使用する薬剤が細かく使い分けられています。
ドライバー遺伝子変異など | 初回化学療法例 |
EGFR遺伝子変異陽性 |
|
ALK融合遺伝子陽性 |
|
ROS1融合遺伝子陽性 | |
BRAF遺伝子変異陽性 | |
MET遺伝子変異陽性 | |
RET融合遺伝子陽性 | |
遺伝子変異/転座陰性 (または不明) |
|
上記のうち、最も頻度が高いのがEGFR遺伝子変異陽性で、約半数を占めています。
一方、ALK融合遺伝子陽性は約2~5%とされ、推定患者数は1600~3900人と少数です。
それではここから、ジカディアが関与するALK融合遺伝子についてご紹介します。
ALK融合遺伝子陽性の肺がん
がん細胞が増殖するメカニズムは様々な仕組みが存在していますが、がん細胞は増殖因子の結合する受容体を持っています。
受容体を構成する遺伝子の1つに「ALK遺伝子」が知られていますが、正常なALK遺伝子を持つ受容体では、増殖因子が結合することで、その刺激が細胞内を伝達(シグナル伝達)し、核内に刺激が届けられます。
核内まで刺激が伝達すると、増殖・活性化が促進され、がん細胞の増殖に繋がります。
ただし、増殖因子が存在しない場合、刺激が核に伝達しないため、がん細胞は増殖しません。
しかし、非小細胞肺がんの約2~5%の患者さんでは、ALK遺伝子と別の遺伝子が入れ替わって融合してしまうことが知られています。
融合してしまった遺伝子のことを「ALK融合遺伝子」と呼んでおり、これを元に「ALK融合タンパク」が合成されます。
ALK融合タンパクは、増殖因子が存在しないにも関わらず、恒常的にシグナル伝達が核へと伝達されています。
そのため、常にがん細胞は増殖が活性化されている状態です。
ジカディア(セリチニブ)の作用機序
ジカディアはALK融合遺伝子から合成されたALK融合タンパクを特異的に阻害する薬剤です!
ALK融合タンパクを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用機序を有しています。
ALK融合タンパクは、がん細胞にしか存在していないため、ジカディアは正常細胞には影響を及ぼしにくいといった特徴があります。
用法・用量
今回の用法・用量変更によって、「通常、成人にはセリチニブとして450mgを1日1回、食後に経口投与」と変更されました。
それに伴い、副作用(特に消化器症状)の軽減が期待されています。
副作用
主な副作用として下痢、悪心・嘔吐、ALT/AST増加、γ-GTP増加などが報告されています。
稀に間質性肺炎が発現する可能性があるため、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等がないか確認することが大切です。
あとがき
近年、肺がんの治療薬は様々な薬剤が登場してきています。
2018年には
- ALK阻害剤抵抗性に使用するローブレナ(一般名:ロルラチニブ)
- 免疫チェックポイント阻害薬と化学療法(抗がん剤)の併用療法(キイトルーダやテセントリク)
も登場してきました。
今後も肺がん領域では新規の治療法の開発が期待されているため、注目していきたいと思います☆
以上、今回は非小細胞肺がんとジカディア(セリチニブ)の作用機序についてご紹介しました。
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