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2026年5月25日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、「RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制」を対象疾患とするエヌフロンシア筋注(クレスロビマブ)の承認可否が審議される予定です!
現時点では未承認のためご注意ください。
MSD|申請のニュースリリース
基本情報
| 製品名 | エヌフロンシア筋注シリンジ105mg |
| 一般名 | クレスロビマブ(遺伝子組換え) |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | MSD(株) |
| 効能・効果 | ①生後初回のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の②以外の全ての新生児及び 乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防 ②生後初回のRSウイルス感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び 乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制 |
| 用法・用量 | |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
RSウイルス感染は世界中に広がっている一般的なウイルスで、何度も繰り返し感染します。
大人の場合は罹患してもただの風邪症状になることが多いのですが、赤ちゃんが罹患してしまうと、しばしば重症化してしまう危険性があります。
有効な治療法はなく、対症療法のみでした。また、重症化リスクの高い赤ちゃんに対してはシナジス筋注液(パリビズマブ)やベイフォータス筋注(ニルセビマブ)が使用できますが、新たな選択肢が望まれていました。
現在ではRSウイルスワクチンも登場していて、アブリスボ筋注は母子免疫として投与することも可能です。
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今回はRSウイルス感染とエヌフロンシア(クレスロビマブ)の作用機序・特徴について解説していきます。
RSウイルス感染症とは
RSウイルス(respiratory syncytial virus)に感染することによって引き起こされる呼吸器の疾患のことをRSウイルス感染症と呼んでいます。1)
ウイルス自体は日常に溢れているため、何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。
RSウイルスの潜伏期間は2~8(多くの場合4~6)日間で、「発熱・鼻汁・咳」などの軽い風邪のような症状が現れます。
通常は対症療法のみで回復するのですが、初めて感染した場合は重症化しやすく、気管支炎・肺炎・呼吸困難を引き起こすこともあります。
乳期、特に乳児期早期(生後数週間~数か月間)にRSウイルスに初感染した場合は重症化しやすいため注意が必要です。
重症化リスクの高い子供として、以下が挙げられています。2)
- 生後6か月未満の赤ちゃん
- 早産・低出生体重の赤ちゃん
- 先天性心疾患
- 慢性肺疾患
- ダウン症
- 免疫不全症など
治療・予防
有効な治療法はありませんので、対症療法が基本です。
また、重症化リスクの高い子供に対しては、シナジス筋注液(パリビズマブ)を流行初期から1か月毎に筋注することで、重篤な下気道炎症状の発症の抑制が期待できます。1-3)
ベイフォータスも同様に、重症化リスクの高い新生児、乳児、幼児に対して保険適用内で使用可能ですが、「重要化リスク」の範囲がシナジスより狭いです。4)
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会|日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン
エヌフロンシアについては、正式承認後に更新予定です。
RSウイルスの感染メカニズム
RSウイルスの分類としては「一本鎖マイナス鎖RNAウイルス」で、RNAをゲノムとしているウイルスです。
- 二本鎖DNAウイルス:アデノウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス
- 一本鎖DNAウイルス:アデノ随伴ウイルス
- 二本鎖RNAウイルス:ロタウイルス
- 一本鎖プラス鎖RNAウイルス:コロナウイルス、エンテロウイルス、C型肝炎ウイルス、ノロウイルス
- 一本鎖マイナス鎖RNAウイルス:麻疹ウイルス、RSウイルス、エボラウイルス、インフルエンザウイルス
- 一本鎖RNA逆転写ウイルス:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
- 二本鎖DNA逆転写ウイルス:B型肝炎ウイルス
ちなみに、アデノ随伴ウイルスの仕組みを用いた治療法なんかもありますね。
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プラス鎖というのはゲノムそのものがmRNAとして働くことが可能なもの、マイナス鎖というのはゲノムを鋳型として一旦mRNAを作るものを言います。RSウイルスは「一本鎖マイナス鎖RNAウイルス」の一種です。
さて、RSウイルスがヒトの細胞に感染する際、ウイルスの膜上にある「Gタンパク質」と「Fタンパク質」が重要な役割を担っています。
- Gタンパク質:ヒトの細胞への吸着(接着)に関与している。
- Fタンパク質:ウイルス膜とヒト細胞膜の膜融合(細胞内への侵入)に関与している

特にFタンパク質は膜融合前と膜融合後で、構造が大きく変化することが知られています。
エヌフロンシア(クレスロビマブ)の作用機序・特徴
エヌフロンシアは膜融合前および融合後のFタンパク質を標的とした抗体製剤です。
RSウイルスのFタンパク質に結合し、その働きを阻害することでウイルス感染を抑制すると考えられています。
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また、通常の抗体製剤(IgG抗体など)は半減期が7~20日程度ですが、エヌフロンシアは抗体の定常領域(Fc領域)のアミノ酸に「YTE修飾」が行われているため、半減期は約45〜60日に延長されています。6-7)
YTE修飾があると、なぜ半減期が延長するのでしょうか?
通常、抗体が細胞内に取り込まれると、細胞内に存在しているFcRn(胎児性Fc受容体)という受容体に結合し、再度血中に放出されてリサイクル(再循環)されます。
FcRnに結合しなかった一部の抗体は、そのまま細胞内のリソソームで分解されてしまいます。

YTE修飾があると、FcRnへの結合親和性が高まるため、リサイクル率が向上し、より長く血中に滞留することが可能です!
従って、RSウイルス流行期につき1回の投与で予防効果が持続します。シナジスでは1か月に1度の投与が必要でしたので、利便性が向上すると考えられますね!
なお、類薬のベイフォータスも同様の修飾が行われていますね。
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ちなみに、FcRnのリサイクルを応用して、逆に疾患の原因となっている抗体の分解を促進する薬もありますよ~!面白いですよね♪
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エビデンス紹介:CLEVER試験
根拠となった臨床試験(CLEVER試験)をご紹介します。8)
本試験は、初めてRSウイルス感染流行期を迎える健康な早産児(妊娠29週以上)および正期産児(計3,614名)を対象に、エヌフロンシア(105mgの単回筋肉内注射)とプラセボを比較する国際共同第Ⅱb/Ⅲ相臨床試験です。
主要評価項目は、投与後150日目までにおける「RSウイルス関連の医療介入が必要となった下気道感染症(MALRI)の発生率」および「RSV関連入院率」の結果は以下の通りでした。
| エヌフロンシア群 | プラセボ群 | |
| RSウイルス関連の医療介入が必要となった 下気道感染症の発生率 |
2.6% | 6.5% |
| 有効性:60.4%、p<0.001 | ||
| RSV関連入院率 | 0.4%未満 | 2.3% |
| 有効性:84.2%、p<0.001 | ||
副作用
正式承認後に更新予定です。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
基本的には、エヌフロンシアは用量設定が不要で、105mgの単回投与で完了する見込みです。
シナジスとベイフォータスとの違い・比較
シナジスとベイフォータスとの違い・比較については、正式承認後に更新予定です。
いずれもFタンパク質を標的としますが、その中でも対象とするサイト部位が異なっているようです。
- シナジス:サイトⅡ(融合前後に存在)
- ベイフォータス:サイト Ø(融合前のみに存在)
- エヌフロンシア:サイトⅣ(融合前後に存在)
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
エヌフロンシアはこんな薬
- RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制する
- RSウイルスのFタンパク質(融合前後)を特異的に阻害する
- Fc領域の修飾によって、通常の抗体製剤よりも半減期が延長している
RSウイルス感染症には有効な治療法が存在していないことから、重症化リスクの高い赤ちゃんに対してはシナジス筋注液(パリビズマブ)を使用していました。
ただ、月に1回の投与が必要なことや、重症化リスクの高い乳幼児にしか使用できません。
その後、単回投与で完結するベイフォータス筋注(ニルセビマブ)も登場しましたので、徐々に選択肢が増えてきていますね。
以上、今回はRSウイルス感染とエヌフロンシア(クレスロビマブ)の作用機序・特徴、エビデンスについて解説しました。
参考資料・文献等
- 厚生労働省|RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日)
- 国立成育医療研究センター|RSウイルス感染症にご注意ください!!
- 小児RSウイルス呼吸器感染症診療ガイドライン2021
- 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会|日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン
- International Committee on Taxonomy of Viruses (国際ウイルス分類委員会)による分類
- Biomed Pharmacother. 2023 Dec 31:169:115851.
- Sci Transl Med. 2017 May 3;9(388)
- CLEVER試験:N Engl J Med 2025;393:1292-1303
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