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エピデュオゲル(アダパレン/過酸化ベンゾイル)の作用機序【尋常性ざ瘡(ニキビ)】

厚労省は2016年7月4日、「尋常性ざ瘡」を効能・効果とするエピデュオゲル(一般名:アダパレン/過酸化ベンゾイル)を承認したと発表がありました!

エピデュオゲルは、ディフェリン(アダパレン)ベピオ(過酸化ベンゾイル)の配合剤です。

 

尋常性ざ瘡は、いわゆる「ニキビ」です。

今回は尋常性ざ瘡とエピデュオ(アダパレン/過酸化ベンゾイル)の作用機序についてご紹介します。

 

皮膚のターンオーバー(分化)

皮膚の細胞は、基底層という一番下の層で作られ、徐々に変化を伴いながら表面へと押し上げられていきます。

具体的には、
基底層⇒有棘層(有棘細胞)⇒顆粒層(顆粒細胞)⇒角質層(角質細胞)の順番に徐々に表面へ押し上げられます

そして最終的には角質細胞が剥がれ落ちます。

このような一連の流れをターンオーバー(分化)と呼んでおり、約28日を1サイクルとして繰り返されています。

また、顆粒細胞から角質細胞への分化は「トランスグルタミナーゼ」と呼ばれるタンパク質によって促進されています。

 

尋常性ざ瘡(ニキビ)とは

尋常性ざ瘡は、様々な原因で毛穴の角質層が厚くなっていて、毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌などの細菌が繁殖することで炎症を引き起こす疾患です。

 

よくできる部位としては顔ですよね。

思春期の男女に多く発症することが知られていますが、30歳前後までみられることもあります。

 

主な原因としては、

  • 食生活(脂が多めの食事の過量摂取)
  • ホルモンバランスの崩れ
  • 便秘
  • ストレスや睡眠不足

などがあります。

 

尋常性ざ瘡(ニキビ)の症状

症状としては、

  • 毛穴に皮脂が詰まる「面皰(めんぽう)」
  • 赤く腫れて痛む「紅色丘疹」
  • 膿が溜まる「膿疱」

などがあります。

 

これらの症状は、見た目にも関わるため、進行してしまうとQOLを著しく低下させてしまいます。

従って、初期の段階からしっかりと治療を行うことが重要です。



尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療

面皰・紅色丘疹・膿疱などの症状や程度に応じて、薬剤による治療が行われます。

 

主に用いられる薬剤しては以下があります。

<炎症を抑える薬>

 

<アクネ菌等を殺菌する薬>

これらの薬剤を単剤もしくは適宜併用して治療を行います。

 

今回ご紹介するエピデュオゲルは、上記のディフェリン(アダパレン)ベピオ(過酸化ベンゾイル)の配合剤です。

それではそれぞれの作用機序についてご紹介します。

 

ディフェリン(アダパレン)の作用機序

前述顆粒細胞から角質細胞への分化は「トランスグルタミナーゼ」と呼ばれるタンパク質によって促進されています。

トランスグルタミナーゼの合成は、表皮に存在する「レチノイン酸受容体(RARγ)」によって調節されていることが知られています。

ディフェリンはレチノイン酸受容体(RARγ)に作用する薬剤です。

レチノイン酸受容体(RARγ)に結合し、いくつかの反応を経ることでトランスグルタミナーゼの合成が抑制されます。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

ベピオ(過酸化ベンゾイル)の作用機序

ベピオには以下の2つの作用があります。

  1. アクネ菌の殺菌作用
  2. 角質層の剥離作用(ピーリング作用)

詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

エピデュオゲルの作用機序

エピデュオゲルは、

  1. アダパレンのRARγ作用によるトランスグルタミナーゼの合成抑制⇒角質層が薄くなる
  2. 過酸化ベンゾイルによるアクネ菌の殺菌作用⇒原因菌の減少
  3. 過酸化ベンゾイルによる角質層の剥離作用⇒角質層が薄くなる

といったの作用機序によって、原因菌を減らし、毛穴の詰まりを解消させることで尋常性ざ瘡の症状が改善すると考えられます。



あとがき

ディフェリン(アダパレン)とベピオ(過酸化ベンゾイル)はそれぞれ単剤や併用で使用されることもしばしばありました。

既に両薬剤を併用している患者さんにとっては1剤で治療ができますので、手間が省けると考えます♪

 

各薬剤についてはそれぞれの記事をご参考ください。


 

以上、本日は尋常性ざ瘡に対するエピデュオゲルの作用機序についてご紹介しました!

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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