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2024年8月28日、ヌーカラ皮下注用(メポリズマブ)の「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎」に対する適応拡大が承認されました!
グラクソ・スミスクライン|ニュースリリース
現在の規格・剤形は以下の通りです。
皮下注100mgペン(オートインジェクター) 皮下注100mgシリンジ(プレフィルドシリンジ) |
小児用皮下注40mgシリンジ (プレフィルドシリンジ) |
|
気管支喘息 | 12歳以上 | 6歳以上 |
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 | 成人 | 成人 |
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 | 成人 | - |
ネーカラは2016年3月28日、「気管支喘息(既存治療で喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」を効能・効果として承認され、2018年5月25日には「既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」の効能・効果が追加されています。
その後、2020年3月25日には「気管支喘息」に6歳以上の小児適応を追加することが承認されました。
今回は気管支喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、そしてヌーカラ(メポリズマブ)の作用機序についてご紹介いたします♪
慢性副鼻腔炎については、デュピクセント(デュピルマブ)に次いで、2製品目の生物学的製剤となりました!
疾患概要については以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。
-
デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】
続きを見る
気管支喘息とは
気管支喘息は、呼吸をするときの空気の通り道が、アレルギーなど炎症によって敏感になり、けいれんを起こして狭くなることで起こります。
発作時の症状としては、「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった喘鳴(読み方:ぜんめい)や、激しい咳が出る、呼吸が苦しくなるといった症状が発現します。
日本では、子供の5~7%、大人の3~5%が喘息であると言われております。
子供の喘息は男子に比較的多く、アレルギーが原因であることがほとんどとされていますが、成長するに従って発作が消失することもあります。
主な原因としては、ダニ、ハウスダスト、ペット 花粉、といったアレルギー物質のほか、たばこ、過労、ストレス、感染症から誘発されることもあります。
気管支喘息の治療
気管支喘息は炎症によって引き起こされているため、抗炎症作用のある「ステロイドの吸入」による治療が基本です。
その他に、発作の予防として、以下の薬剤を適宜併用して用います。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA:Leukotriene receptor antagonist)
- 長時間作用性β2刺激薬(LABA:Long Acting β2 Agonist)
- 長時間作用性抗コリン薬(LAMA:Long-Actng anti-Muscarinic Agent)
最近では、吸入ステロイドとLABAを配合した合剤(例:レルベアエリプタ)等も販売されています。
-
レルベアエリプタ(ビランテロール/フルチカゾン)の作用機序【COPD】
続きを見る
重症喘息
上記のような治療を行っても、喘息がコントロールできない場合もあり、これを「重症喘息」と呼んでいます。
喘息の全患者のうち、重症喘息は約10%と推定されています。
喘息の諸症状は、肥満細胞や好酸球が活性化されて発現すると考えられていますが、重症喘息では、特に「好酸球」の活性化が関与していることが知られています。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)とは
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は指定難病に認定されている疾患です。
国内の患者さんは約1900人と推定されており、年間に新規罹患される患者さんは約100人と言われています。
アレルギー疾患(多くは気管支喘息)を有している患者さんで白血球の一種である好酸球が非常に増加して発症する疾患です。
増加した好酸球が様々な臓器の血管に炎症を引き起こし、血流が悪くなって臓器障害を生じてしまいます。
主な症状としては、
- 手足の血管炎による痺れや麻痺
- 皮膚の血管炎による紫斑・皮疹
- 腸の血管炎による腹痛
- 脳出血・脳梗塞
- 心筋梗塞
などがあります。
原因
明確な原因は不明とされていますが、何らかのアレルギー反応によって発症すると考えらえています。
特に気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を有している患者さんに発症します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の発症や症状の悪化には「好酸球」の活性化が関与していることが知られています。
ヘルパーT細胞(Th2)の産生するインターロイキン(IL)-5という物質が、好酸球表面にある「IL-5受容体」に結合することよって好酸球が増殖・活性化されます。
治療
通常、アレルギーを抑える目的でステロイド薬の投与が行われます。
すぐにステロイドを中止してしまうと、再発の恐れがありますので、長期間に渡ってステロイドを投与し、徐々に投与量を減らしていきます。
多くの場合(90%以上)、ステロイド治療によって症状が軽快しますが、一部の患者さんではステロイドでも症状を抑えることができず、難治となることがあります。
このような再発や難治の患者さんに対してヌーカラの治療効果が示されています。
ヌーカラ(メポリズマブ)の作用機序
ヌーカラは、Th2細胞の産生するIL-5を選択的に阻害するモノクローナル抗体製剤です。
IL-5の働きを阻害することで、好酸球の増殖・活性化を抑制し、好酸球に起因する気道炎症に伴う喘息増悪や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の症状悪化を抑える、といった新規の作用機序を有しています☆
副作用
主な副作用として注射部位反応、頭痛、鼻咽頭炎、関節痛、副鼻腔炎、過敏症などが報告されています。
重大な副作用として
- アナフィラキシー(頻度不明)
が挙げられていますので特に注意が必要です。
あとがき
重度の喘息は、高用量ステロイド等でもコントロールできないことがありますので、ヌーカラ皮下注用によって症状改善やQOL向上が期待できるかと思います!
気管支喘息に使用する抗体薬としては以下が承認・販売されています。
- ヌーカラ皮下注用(一般名:メポリズマブ)
- ゾレア皮下注用(一般名:オマリズマブ)
- ファセンラ皮下注(一般名:ベンラリズマブ)
- デュピクセント皮下注(一般名:デュピルマブ)
各薬剤の一覧・比較表については以下の記事で解説していますので、是非ご覧ください。
-
テゼスパイア(テゼペルマブ)の作用機序:デュピクセント等との違い【気管支喘息】
続きを見る
以上、今回は気管支喘息・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症とヌーカラ皮下注用をご紹介いたしました♪
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