3.呼吸器系

レルベアエリプタ(ビランテロール/フルチカゾン)の作用機序【COPD】

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2024年6月24日レルベア(ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の「気管支喘息」の適応症について、12歳以上の小児に対する適応拡大が承認されました。

それに伴い、以下の剤形が追加されています。

  • 小児用レルベア50エリプタ14吸入用
  • 小児用レルベア50エリプタ30吸入用

 

レルベアは、2013年に成人の気管支喘息治療薬として承認され、その後、2016年には成人の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して適応拡大されました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今後は、小児の気管支喘息に対しても期待されていますね!

 

本剤は、

  • 長時間作用性β2刺激薬(LABA)のビランテロール
  • 吸入ステロイド薬(ICS)のフルチカゾン

を配合した薬剤です。

 

ちなみに、LABAは“ラバ”、ICSは“アイシーエス”と読みます。

 

今回は慢性閉塞性肺疾患(COPD)とレルベアエリプタの作用機序についてご紹介します。

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、喫煙を主な原因として発症する肺の炎症性疾患です。

基本的には不可逆的の慢性疾患で、徐々に症状が進行していきます。

 

主な症状は、咳、痰や動作時の呼吸困難などで、患者さんのQOLが著しく低下するだけでなく、症状の進行によって、やがては呼吸不全を起こし、生命を脅かす可能性のある病気です。

 

ではここで、COPDがどのような症状か体験してみたいと思います。

まず息を大きく吸って下さい。そのまま吐かずに吸って吸って吸って・・・・。

ちょっと吐いて下さい。

そしたらまた吸って吸って吸って・・・。ちょっと吐いてください。これを繰り返します。

このような状態がずっと続くのがCOPDの主な症状だとお考えください。

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因と病態

COPDの最大の原因は喫煙です。

喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。従って、発症予防としては「禁煙」が最も効果的です。

 

喫煙によって気管支に炎症が生じ、それに伴い気管支平滑筋の収縮や肥厚(平滑筋が厚くなってしまう)してしまいます。

また、喫煙による痰も絡みやすくなり、次第に気管支は狭窄していってしまいます。

 

進行してしまうと、酸素を取り込む肺胞自体も炎症によって破壊され、呼吸機能が低下していってしまいます。

呼吸機能が低下しすぎてしまうと、人工呼吸器を用いることもあります。

 

気管支平滑筋の収縮と弛緩(拡張)

通常、気管支平滑筋の収縮や弛緩(拡張)は副交感神経と交感神経によって調節されています。

  • 副交感神経:平滑筋の収縮
  • 交感神経:平滑筋の弛緩(拡張)

 

副交感神経から産生される「アセチルコリン」が平滑筋の「アセチルコリンM3受容体」に作用することで平滑筋が収縮します。

また、交感神経から産生される「ノルアドレナリン」が平滑筋の「アドレナリンβ2受容体」に作用することで平滑筋が弛緩(拡張)します。

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療

COPDの治療の基本は気管支拡張薬による薬物療法が中心です。

主な気管支拡張薬には以下があります。

  • 抗コリン薬
  • β2刺激薬
  • テオフィリン薬

 

また、上記薬剤は基本的には「吸入」で使用し、長時間持続タイプのものが使用されます。

 

抗コリン薬の長時間持続タイプを「LAMA」、β2刺激薬長時間持続タイプを「LABA」と呼んでいます。

治療を開始する際には、LAMAやLABAを単剤から使用していきますが、最近ではLAMAの単剤が第一選択として推奨されています。

 

単剤で治療効果が不十分な場合に併用療法(LAMA+LABA)が検討されますが、症状や重症度によっては最初から併用療法が行われることもあります。

アノーロエリプタ(ウメクリジニウム/ビランテロール)の作用機序【COPD】

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また、喘息を併発している場合、適宜、吸入ステロイド薬(ICS)も併用します。

 

今回ご紹介するレルベアエリプタはLABAとICSを配合した薬剤です!

 

レルベアエリプタ(ビランテロール/フルチカゾン)の作用機序

レルベアエリプタは、

  • 長時間作用性β2刺激薬(LABA)のビランテロール
  • 吸入ステロイド薬(ICS)のフルチカゾン

を配合した薬剤です。

 

ビランテロールの作用機序

ビランテロールはβ2刺激薬に分類されています。

アドレナリンβ2受容体を刺激することで気管支平滑筋を弛緩(拡張)させるといった作用機序を有しています。

 

フルチカゾンの作用機序

フルチカゾンはステロイド薬であり、抗炎症作用を有しています。

COPDで特に喘息を併発している場合、気管支の炎症によって平滑筋が収縮してしまいますが、フルチカゾンによって、炎症を抑制することができます。

 

このようにレルベアエリプタは、

  • LABAによる気管支拡張
  • ICSによる炎症抑制

により、炎症によって狭窄した気管支を広げ、呼吸機能の緩和が期待されています。

 

レルベアエリプタの副作用と注意事項

主な副作用として、口腔カンジダ症、中咽頭カンジダ症、肺炎、発声障害などが報告されていますが、いずれも頻度は高くありません。

 

ステロイドのフルチカゾンには免疫低下作用もあるため、口腔内の感染症(カンジダ症など)が発現することがあります。

従って、吸入後には「うがい」をするなどして予防することが望ましいです。

 

レルベアエリプタの用法・用量

COPDに使用する場合、
通常、成人にはレルベア100エリプタ1吸入を1日1回吸入投与します。

 

なお、吸入する時間帯は、なるべく同じ時間帯に吸入することが望ましいとされています。

 

レルベアには200エリプタ製剤もありますが、200エリプタ製剤にはCOPDの適応はありませんのでご注意ください。

 

あとがき

COPDに使用できるLABA/ICS配合薬は、

  • アドエア(1日2回)
  • シムビコート(1日2回)
  • フルティフォーム(1日2回)

といった類薬も販売されています。

 

レルベアエリプタは1回の吸入で治療ができますので、患者さんにとっては簡便な方法だと思います。

 

最後に・・・COPDは喫煙をしなければほぼ発症しない病気です。もし喫煙されている方がいらっしゃれば、今のうちから禁煙をお勧めいたします☆

以上、今回はCOPDとレルベアエリプタの作用機序についてご紹介しました。

 

2020年には新規のLABA/ICS配合薬であるアテキュラ吸入用カプセルも登場しましたね。

アテキュラ吸入用カプセル(LABA/ICS)の作用機序【気管支喘息】

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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