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2018年8月29日、新薬9製品が薬価収載されました!
その他、2018年11月1日より、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)の薬価改定が行われます(用法用量変化再算定の適用品目)。
なお、今回も糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬のオゼンピック(一般名:セマグルチド)の薬価収載は見送られています。
今回は中医協の資料を元に、
薬価収載の新薬一覧と各薬剤の算定方法、そしてオプジーボ用法用量変化再算定についてご紹介します☆
2018年8月29日:薬価収載の9製品
2018年8月29日に薬価収載された新薬一覧は以下の通りです。
製品名 (一般名) |
規格 | 薬価 | 効能・効果 (簡略) |
ジェミーナ配合錠 (レボノルゲストレル/エチニルエストラジオール) |
1錠 | 314.10円 | 月経困難症 |
ダフクリア錠 (フィダキソマイシン) |
200mg:1錠 | 3,943.80円 | CDI感染症 |
スピラマイシン錠「サノフィ」 (スピラマイシン) |
150万国際単位:1錠 | 224.60円 | 先天性トキソプラズマ症 |
エンタイビオ点滴静注用 (ベドリズマブ) |
300mg:1瓶 | 274,490円 | 潰瘍性大腸炎 |
シグニフォーLAR筋注用キット (パシレオチドパモ酸塩) |
10mg:1キット 30mg:1キット |
103,034円 260,258円 |
クッシング病 |
イミフィンジ点滴静注 (デュルバルマブ) |
120mg 2.4mL:1瓶 500mg 10mL:1瓶 |
112,938円 458,750円 |
非小細胞肺がん |
ガザイバ点滴静注 (オビヌツズマブ) |
1,000mg 40mL:1瓶 | 450,457円 | 濾胞性リンパ腫 |
レフィキシア静注用 (ノナコグ ベータ ペゴル) |
500国際単位:1瓶 1,000国際単位:1瓶 2,000国際単位:1瓶 |
216,394円 427,968円 846,403円 |
血友病B |
オデフシィ配合錠 (リルピビリン/エムトリシタビン/テノホビル) |
1錠 | 6,043.00円 | HIV-1感染症 |
薬価の算定方法
各薬剤の薬価算定方法は2018年8月22日の中医協の資料に記載されているため、抜粋してご紹介します。
ジェミーナ:類似薬効比較方式(ルナベル)
ジェミーナは、同じく経口ホルモン製剤のルナベル配合錠(一般名:ノルエチステロン/エチニルエストラジオール)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
- ルナベル配合錠:314.10円(1日薬価:235.60円)
- ジェミーナ配合錠:314.10円(1日薬価:235.60円)
ピーク時の予測販売金額は80億円です。
作用機序については下記記事をご参照ください。
ダフクリア:類似薬効比較方式(アネメトロ)【加算あり】
ダフクリアは、同じくクロストリジウム・ディフィシルに使用するアネメトロ点滴静注液(一般名:メトロニダゾール)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
- アネメトロ点滴静注液500mg:1,252円(1日薬価:3,756円)
また、新規作用機序のため有用性加算(Ⅱ)が5%加算され、その後、外国平均価格調整が行われました。
その結果、最終的な薬価は以下の通りです。
- ダフクリア錠200mg:3,943.80円(1日薬価:7,887.60円)
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- 細菌RNAポリメラーゼ阻害作用という新規作用機序
- 狭域の抗菌スペクトルを有する(←対象の病原菌以外には作用しないという意味)
- 国内外の臨床試験より再発抑制効果が示されている
ピーク時の予測販売金額は17億円です。
作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。
スピラマイシン:原価計算方式【加算あり】
スピラマイシンは類薬がないため、原価計算方式で算定されています。
新規作用機序のため有用性加算(Ⅱ)が10%、希少疾病用医薬品のため市場性加算(Ⅰ)が10%加算されています。
製造総原価の開示度に応じた加算係数0.6を乗じて、最終的には、(10%+10%)×0.6=12%の加算とされています。
以上より、加算前の薬価は200.50円でしたが、12%上乗せ(×1.12)した224.60円とされています。
- スピラマイシン錠150万単位「サノフィ」:224.60円
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- 国内外のガイドラインで標準治療に位置づけられているため
ピーク時の予測販売金額は1億円です。
作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。
エンタイビオ:類似薬効比較方式(ヒュミラ)【加算あり】
エンタイビオは、同じく潰瘍性大腸炎に使用するヒュミラ皮下注(一般名:アダリムマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
- ヒュミラ皮下注40mg:62,384円(1日薬価:4,456円)
また、新規作用機序のため有用性加算(Ⅱ)が10%加算されています。
加算前の薬価は249,536円でしたが、10%上乗せ(×1.10)した274,490円とされています。
- エンタイビオ点滴静注用300mg:274,490円(1日薬価:4,902円)
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- α4β7インテグリンに結合するといった新規作用機序を有する
- 抗TNFα抗体薬の治療歴のある患者さんにも効果がある
ピーク時の予測販売金額は212億円です。
作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。
シグニフォー:規格間調整
シグニフォーLAR筋注用キット10mg/30mgについては、既に販売されている40mg/60mg製剤との規格間で薬価が調整されました。
- シグニフォーLAR筋注用キット10mg:103,034円
- シグニフォーLAR筋注用キット30mg:260,258円
ピーク時の予測販売金額は8,200万円です。
作用機序については下記記事をご参照ください。
イミフィンジ:類似薬効比較方式(テセントリク)【加算あり】
イミフィンジは、同じく肺がんに使用する免疫チェックポイント阻害薬のテセントリク点滴静注(一般名:アテゾリズマブ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
- テセントリク点滴静注1200mg:625,567円(1日薬価:29,789円)
また、有用性加算(Ⅱ)が10%加算されています。
加算前の500mg製剤の薬価は417,045円でしたが、10%上乗せ(×1.10)した458,750円とされています。
- イミフィンジ点滴静注120mg:112,938円
- イミフィンジ点滴静注500mg:458,750円(1日薬価:32,768円)
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- StageⅢの非小細胞肺がんの維持療法として国内外の診療ガイドラインにおいて初の標準的治療法として推奨された
ピーク時の予測販売金額は374億円です。
作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。
ガザイバ:原価計算方式【加算あり】
ガザイバの類薬は抗CD20抗体薬のリツキサンですが、
という理由から、原価計算方式で算定されています。
また新規作用機序のため有用性加算(Ⅱ)が20%加算されています。
しかし、製造総原価の開示度が低いために加算係数0.2を乗じて、最終的には、20%×0.2=4%の加算とされています。
加算前の薬価は428,977円でしたが、4%上乗せ(×1.04)した446,136円とされ、その後、外国平均価格調整も行われて450,457円とされました。
- ガザイバ点滴静注1000mg:450,457円
有用性加算となった根拠は以下の通りです。
- 濾胞性リンパ腫の一次治療としてリツキサン以降、初のリツキサンを上回る治療法である
- 海外のガイドラインにおいて標準的治療法として推奨されている
ピーク時の予測販売金額は205億円です。
作用機序やエビデンスについては下記記事をご参照ください。
レフィキシア:類似薬効比較方式(イデルビオン)
レフィキシアは、同様の作用機序のイデルビオン静注用(一般名:アルブトレペノナコグ)の1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅱ)です。
- イデルビオン静注用2000:677,122(1日薬価:120,915円)
- レフィキシア静注用500:216,394円
- レフィキシア静注用1000:427,968円
- レフィキシア静注用2000:846,403円(1日薬価:120,915円)
ピーク時の予測販売金額は37億円です。
作用機序については下記記事をご参照ください。
オデフシィ:類似薬効比較方式(エジュラントとデシコビ)
オデフシィは有効成分3剤(リルピビリン/エムトリシタビン/テノホビル)を配合した薬剤です。
同様の有効成分を含有している以下の薬剤を合計した1日薬価に合わせて算定されました。
算定方式は類似薬効比較方式(Ⅰ)です。
- エジュラント錠25mg(一般名:リルピビリン):2,108.70円(1日薬価:2,108.70円)
- デシコビ配合錠HT(一般名:エムトリシタビン/テノホビル):3,934.30円(1日薬価:3,934.30円)
これらを単純に合計し、以下の薬価とされています。
- オデフシィ配合錠:6,043.00円(1日薬価:6,043.00円)
ピーク時の予測販売金額は28億円です。
作用機序については下記記事をご参照ください。
オプジーボの用法用量変化再算定
用法用量変化再算定とは、
とされています。
2018年8月21日、オプジーボの投与量はこれまで体重あたり(例:1回3mg/kg)で決められていましたが、今回、240mg製剤が追加され、以下の適応に対しては固定用量(1回240mg投与)で使用することとなりました!
- 悪性黒色腫(単剤での使用)
- 非小細胞肺がん
- 腎細胞がん(単剤もしくはヤーボイ併用)
- 古典的ホジキンリンパ腫
- 頭頸部がん
- 胃がん
例えば、肺がんに使用する場合、固定用量となることでほとんどの患者さんで使用量が増えてしまいます。
体重 | これまで(1回3mg/kg)の 投与量 |
これからの投与量 (固定用量) |
50kg | 150mg | 240mg |
60kg | 180mg | 240mg |
70kg | 210mg | 240mg |
80kg | 240mg | 240mg |
このように使用量が大幅に増えてしまうと薬剤費も増えてしまうことになるため、今回「用法用量変化再算定」が適用されています。
その結果、2018年11月1日より、現在販売されているオプジーボの薬価は以下に減額されます。
- 20mg 2mL 1瓶:57,225円 ⇒ 35,766円
- 100mg 10mL 1瓶:278,029円 ⇒ 173,768円
オプジーボはこれまでも
- 特例拡大再算定による引き下げ
- 市場実勢価に基づく改定による引き下げ
- 収載後外国平均価格調整による引き下げ
- 費用対効果評価による引き下げ
と様々な引き下げが行われてきました。
高額な薬剤ですので仕方ないのですが、製薬企業にとっては少々気の毒な印象も受けてしまいます。
今後の新薬開発に支障を来さなければ良いのですが・・・。
あとがき
注目の薬剤としては、有用性加算もあった以下でしょうか。
その他、今回初の期中に用法用量変化再算定の適用となったオプジーボも注目です。
以上、今回は2018年8月29日に薬価収載された新薬とその算定根拠をまとめてご紹介しました。
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