新薬承認・薬価収載

【効能効果追加】7製品(2023年8月23日)

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2023年8月23日、厚労省は既存薬7製品の適応拡大を承認しました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
概要を押さえておきましょう!

 

適応拡大:5製品

●ジャカビ錠5mg、同10mg(一般名:ルキソリチニブリン酸塩)
:「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

造血幹細胞移植における移植片対宿主病(GVHD)は、ドナー由来のリンパ球がレシピエント(移植者)の正常臓器を攻撃することで引き起こされます。造血幹細胞移植については以下をご参照ください。

クレセンバ(イサブコナゾニウム)の作用機序【真菌症】

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通常、ステロイドによる治療が行われますが、効果不十分なこともしばしばあります。

ジャカビはJAK阻害薬に分類されているため、過剰なリンパ球の活性を抑制することで、GVHDを抑制すると考えられていますね。12歳以上の小児から使用可能です。

 

ジャカビ以外の経口JAK阻害薬については、以下の記事でまとめていますので、併せてご覧くださいませ♪

JAK阻害薬の一覧表(経口7製品)と作用機序のまとめ

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●ソリリス点滴静注300mg(一般名:エクリズマブ(遺伝子組換え))
:「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。

ソリリス(エクリズマブ)の作用機序【重症筋無力症】

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これまで、ソリリスの全身型重症筋無力症は成人の使用に限られていましたが、今後は小児に対しても使用可能となりましたね!

 

●エンハーツ点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))
:「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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非小細胞肺がんでは初の抗HER2抗体ですね!二次治療以降で使用します。

 

●リツキサン点滴静注100mg、同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分なループス腎炎」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

血液
リツキサン(リツキシマブ)の作用機序と副作用【悪性リンパ腫】

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本適応症については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて日本リウマチ学会から開発要望があり、公知申請されていました。

既に、ステートメント等では、大量ステロイドまたはステロイドと免疫抑制剤による治療効果が不十分な場合にはリツキサンの投与が推奨されています。

 

公知申請に係わる事前評価が完了していることから、既に保険償還可能でしたが、今回正式に効能・効果が追加されました。

 

●リムパーザ錠100mg、同錠150mg(一般名:オラパリブ)
:「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」を効能・効果とする新用量医薬品。

リムパーザ(オラパリブ)の作用機序【卵巣/乳/膵/前立腺がん】

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これまで、同効能・効果に対しては、既存のホルモン薬に抵抗性が認められた場合に単剤での使用に限られていました。

 

今回の適応拡大により、ホルモン薬のザイティガ(アビラテロン)と初回から併用して使用可能となります。

 

●ルミセフ皮下注210mgシリンジ(一般名:ブロダルマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症」を効能・効果とする新効能医薬品。

ルミセフ(ブロダルマブ)の作用機序【乾癬・脊椎関節炎】

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掌蹠膿疱症に使用する生物学的製剤としては、トレムフィア(グセルクマブ)スキリージ(リサンキズマブ)に次いで3製品目ですね。

 

●FDGスキャン注(一般名:フルデオキシグルコース(18F))
:「悪性腫瘍の診断(○胸膜中皮腫、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍、肝がん、胆道がん、膵がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、子宮がん、卵巣がん、骨軟部腫瘍、皮膚がん(他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合)の診断、○胸腺腫瘍、腎がん、精巣腫瘍、甲状腺がん(他の検査、画像診断により転移・再発の診断が確定できない場合)の診断、○多発性骨髄腫が疑われる又は多発性骨髄腫患者における骨病変又は髄外病変の可視化(他の検査、画像診断により骨病変又は髄外病変の存在が疑われる場合))、心サルコイドーシスが疑われる又は心サルコイドーシス患者における炎症部位の可視化」を効能・効果とする新効能医薬品。

 

あとがき

木元 貴祥
木元 貴祥
今回はエンハーツの肺がんの拡大が注目ですね!

 

これまで、非小細胞肺がんに対して抗HER2療法は承認されていなかったため、期待されています。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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以上、今回は2023年8月23日に適応拡大された7製品について概要をご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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