新薬承認・薬価収載

【第二部会:期待の新薬】6製品+3製品(2023年5月29日)

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2023年5月29日、厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会にて、新薬として6製品の承認可否が審議され、全て承認了承されました!

その他、報告のみで適応拡大される3製品もあります。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回は概要についてご紹介します。

 

審議品目:6製品

●オンキャスパー点滴静注用3750(一般名:ペグアスパルガーゼ)
:「急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

オンキャスパー(ペグアスパルガーゼ)の作用機序・特徴【急性リンパ性白血病】

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L-アスパラギナーゼ(L-ASP)をPEG化して長時間作用するようにした製剤です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
免疫原性が減少し、過敏症の発現リスクも低下しているとのことですね。

 

●リトゴビ錠(一般名:フチバチニブ)
:「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

リトゴビ(フチバチニブ)の作用機序【胆道がん】

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新規のFGFR阻害薬ですね。

同様の効能効果・作用機序を有する薬剤としては、ペマジール錠(ペミガチニブ)についで2製品目です。

ペマジール(ペミガチニブ)の作用機序【胆道がん】

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●キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))
:「再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序【消化器がん/MSI-High固形がん】

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同様の効能効果を有する免疫チェックポイント阻害薬は初ですね。

 

●バクニュバンス水性懸濁性注シリンジ(一般名:沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体))
:「肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防及び小児における肺炎球菌(同)による侵襲性感染症の予防」を効能・効果とする新効能医薬品及び小児用量を追加する新用量医薬品。

 

これまでは高齢者や高リスク成人のみでしたが、今回、小児や高リスクの18歳未満にも適応が拡大されます。

 

●デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同ペン(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分な結節性痒疹」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

デュピクセント(デュピルマブ)の作用機序【アトピー性皮膚炎/気管支喘息/副鼻腔炎】

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気管支喘息の生物学的製剤の一覧表の中でデュピクセントについても解説しています。

テゼスパイア(テゼペルマブ)の作用機序:デュピクセント等との違い【気管支喘息】

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●リットフーロカプセル50mg(一般名:リトレシチニブトシル酸塩)
:「円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

リットフーロカプセル(リトレシチニブ)の作用機序【円形脱毛症】

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リットフーロは新規の経口JAK3/TECファミリーキナーゼ阻害薬です。

既に経口JAK阻害薬のオルミエント(バリシチニブ)が円形脱毛症に対して適応を有していますね。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今後の使い分けが期待されます!

 

報告品目:3製品

●ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL、同20%皮下注2g/10mL、同20%皮下注4g/20mL(一般名:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射))
:「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果とする新用量医薬品。

 

現在は週1回の投与ですが、今回、2週に1回の投与が追加されます。

 

●シングリックス筋注用(一般名:乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来))
:「帯状疱疹の予防」を効能・効果とする新用量医薬品。

 

現在は50歳以上を対象としていますが、高リスクの18歳以上にも使用可能となります。

 

●アディノベイト静注用キット250、同500、同1000、同1500、同2000、同3000(一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え))
:「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。

アディノベイト(ルリオクトコグ)の作用機序と副作用【血友病A】

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現在は小児・成人ともに週2回の投与が必要です。

今回、成人及び12歳以上の小児については最大7日間隔、12歳未満の小児は最大4日間間隔で投与可能となります。

 

あとがき

今回の注目は、ALL治療薬のオンキャスパーと、円形脱毛症治療薬のリットフーロでしょうか。

ALL治療ではロイナーゼ(L-アスパラギナーゼ)がよく使用されていますが、しばしば過敏症が問題となっていました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
オンキャスパーは作用時間の延長と共に、免疫原性の低下による過敏反応の低下が期待されています!

 

以上、今回は2023年5月29日の厚労省の薬食審・医薬品第二部会で承認了承された薬剤の概要についてご紹介しました。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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