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2023年11月24日、アドセトリス点滴静注用50mg(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)の効能・効果に「CD30陽性の再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫」を追加することが承認されました!
現在の効能・効果は以下の通りです。
CD30陽性の下記疾患:
- ホジキンリンパ腫(2022年5月に小児の初回治療の適応拡大が承認)
- 末梢性T細胞リンパ腫
- 再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫
今回は、代表としてホジキンリンパ腫とアドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)の作用機序についてご紹介します。
ホジキンリンパ腫とは
ホジキンリンパ腫とは、悪性リンパ腫の種類の1つで、血液腫瘍に分類されています。
血液の血球成分の中でも「リンパ球」が腫瘍化する疾患で、予後は不良とされています。
この腫瘍化したリンパ球のことを「白血病細胞」と呼んでおり、白血病細胞の表面には「CD30」と呼ばれるタンパク質が発現していることが知られています。
最もよくみられる初発症状は、痛みのないリンパ節の腫れやしこりで、頸部や鎖骨上窩のリンパ節腫脹で発見されることが多い疾患です。
また、全身の症状としては、発熱、体重減少、大量の寝汗がみられることがあります。
ホジキンリンパ腫は、病理検査によって数種類に分類され、「古典的ホジキンリンパ腫」と「結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫」の2つに大別されます。
進行期のホジキンリンパ腫の一次治療は抗がん剤の多剤併用療法による化学療法が原則ですが、化学療法が効かない場合、次の治療は限られていました。
今回ご紹介するアドセトリスは化学療法抵抗性の場合にも使用できますが、一次治療として化学療法と併用しても使用が可能です。
アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)の構造
ベスポンサは「抗体(ブレンツキシマブ)+抗がん剤(モノメチルアウリスタチンE(MMAE))」で成り立っている薬剤です。
ブレンツキシマブは「CD30」を特異的に認識する“モノクローナル抗体”で、これにモノメチルアウリスタチンE(MMAE)と呼ばれる微小管(チューブリン)阻害作用のある“抗がん剤”が結合しています。
MMAEは強力な抗腫瘍活性を持つ抗がん剤ですが、そのまま体内に投与されると、正常細胞も傷つけてしまうため、副作用が強く発現してしまいます。
そこで、白血病細胞を特異的に認識する抗体であるブレンツキシマブに、抗がん剤のMMAEを結合させることで、抗がん剤が白血病細胞のみに作用するよう工夫した薬剤がアドセトリスです!
アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)の作用機序
まず、アドセトリスは白血病細胞表面にある「CD30」を認識して結合します。
その後、アドセトリスは白血病細胞内に取り込まれ、抗がん剤のMMAEが遊離されます。
そしてMMAEは白血病細胞内の微小管(チューブリン)を阻害し、白血病細胞の増殖を抑制するといった作用機序です!
ホジキンリンパ腫一次治療のエビデンス紹介:ECHELON-1試験
一次治療の根拠となった臨床試験を一つご紹介します。1)
本試験は未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者さんを対象に、これまでの標準治療であるABVD療法(ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)と、アドセトリス+AVD療法(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)を直接比較した第Ⅲ相臨床試験です。
本試験の主要評価項目は「修正した無増悪生存期間*」とされ、結果は以下の通りでした。
試験群 | ABVD療法 | アドセトリス+AVD療法 |
2年時点の 修正した無増悪生存率 |
77.2% | 82.1% |
HR=0.77, p=0.04 | ||
2年時点の生存率 | 94.2% | 96.6% |
HR=0.73, p=0.20 | ||
末梢神経障害 | 43% | 67% |
好中球減少症 | 45% | 58% |
*修正した無増悪生存期間:「がんの増大、死亡、完全奏効が得られない、次の治療としての抗がん剤使用」までの期間とされています。
このように今までの標準治療であったABVD療法に対してアドセトリス+AVD療法は、がんの増悪までの期間を有意に延長することが示されています。
しかし、特徴的な副作用の末梢神経障害は高く発現しているため、減量・休薬等の対処が必要です。
1)ECHELON-1試験:N Engl J Med. 2018 Jan 25;378(4):331-344.
あとがき
抗体に抗がん剤を結合したような医薬品を「抗体薬物複合体:Antibody drug conjugate(ADC)」と呼んでいます。
最近では開発が進んでいて、乳がん領域でも新規のADCが登場して非常に期待されています。
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エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】
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ホジキンリンパ腫の治療選択肢は限られていましたので、選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか。
以上、今回はホジキンリンパ腫とアドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)の作用機序についてご紹介しました。
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